2023/3/16
糖尿病でも団信の審査に通る?住宅ローンを利用できないときの対策を紹介
監修者:竹下 昌成
住宅ローンを組む際、多くの金融機関が団信(団体信用生命保険)への加入を求めます。
しかし、糖尿病などの持病がある場合は、団信の審査に通過できず、結果として住宅ローン自体を利用できないケースがあります。
本記事では、糖尿病などの持病があるときに団信に加入するにはどうすればよいのか、また、団信の審査に通らなかったときはどういった方法を検討できるのかを解説します。
住宅ローンの団信とは
団信とは、住宅ローンを利用する際に加入する生命保険です。住宅ローンの借入れ先である金融機関が保険契約者兼保険金受取人となり、住宅ローン利用者が被保険者となって加入します。
団信に加入すると、住宅ローン利用者が死亡した場合や高度障害状態になった場合に、生命保険会社によって住宅ローンの残債に相当する保険金が金融機関に支払われます。つまり、住宅ローンの返済が完了した状態となり、住宅ローン利用者や家族はローン返済の負担なしにマイホームに住み続けられます。
なお、団信によっては、死亡や高度障害状態以外にも、がんや急性心筋梗塞、脳卒中などのいわゆる3大疾病になったときにも保険金支払いの条件を満たすケースがあります。
3大疾病に、高血圧症や糖尿病などの4つの生活習慣病にかかることも保険金支払いの条件に加えた7大疾病対応型の団信、さらに保険金支払いの対象となる疾病が多い11疾病対応型などもあります。
団信のある住宅ローンを組むと、万が一に備えられるため、家族の生活費と暮らす場所を守れる可能性があります。
住宅ローンを組むとき、団信への加入は必須?
先述した通り、住宅ローンを組む際は、多くの金融機関が団信への加入を必須条件としています。
もし団信に加入せずに住宅ローンを借りた場合、住宅ローン利用者が死亡や高度障害状態などになっても、住宅ローンの返済は予定通りに続ける必要があります。また、利用者の収入がなくなった、あるいは著しく減ったことで返済を続けられなくなったときは、家族などを借入人として新たに住宅ローンの審査を受け、借換える必要があります。
借換えに際して審査に通過しなかった場合は、返済が滞るとマイホームを手放さなければならない可能性があります。審査に通過しても、毎月の返済が負担となり、家族の生活が厳しくなる可能性もあります。
万が一に備えるためにも、団信に加入できる住宅ローンを選択するとよいでしょう。
住宅ローンの団信は糖尿病でも通る?
住宅ローンは他のローンと比較して借入額が多額になり、なおかつ返済期間が長期になる傾向があります。
返済中に健康上のトラブルが発生したり、事故や病気などで死亡したりする可能性がないとはいい切れません。長期にわたる安心を手に入れるためにも、住宅ローンを組むときは団信に加入するとよいでしょう。
しかし、団信には審査があります。団信審査に通過しなかった場合、団信への加入が条件となっている住宅ローンの利用は難しいでしょう。
糖尿病だと団信に入れない場合もある
団信の審査では、主に健康に関する内容が問われます。
「過去一定期間に特定の病気で治療や手術、投薬を受けていないか」「身体に特定の機能障害がないか」、糖尿病に関しても治療や投薬の有無を尋ねられる場合があります。
もし該当していたとしても、団信の審査に通過できないわけではありません。
しかし、生命保険会社が総合的に判断した結果、審査に通過せず、団信に加入できない可能性はあります。
糖尿病でも住宅ローンの団信に加入する方法
糖尿病で治療や入院、投薬を受けた経験がある場合でも、団信に加入できる場合があります。以下の方法を実施しましょう。
- 告知書、医師の診断書を提出する
- 特約がつかない種類を検討する
告知書、医師の診断書を提出する
糖尿病などの持病がある場合や、過去に入院や手術、治療を受けていた場合は、生命保険会社から追加書類の提出を求められるケースがあります。
状況や金融機関にもよりますが、所定の告知書や、定期健康診断の結果通知書などを求められることが一般的です。糖尿病の方はスムーズに提出できるよう、事前に準備しておきましょう。
特約がつかない種類を検討する
住宅ローンによっては、団信の種類がいくつか用意されています。
死亡時と高度障害状態になったときだけ保険金の支払いを受けられるスタンダードなタイプ以外にも、7大疾病や11大疾病などの支払い対象となる疾病が多いタイプ、がんと診断されたときやがんの治療を受けたときにも保険金が支払われるタイプもあります。
特約がついているタイプや保険金支払い対象となる疾病が多いタイプを選択すると、保障の幅が広がり、より大きな安心を得られます。
しかし、保障の幅が広がる分、告知する内容が多くなる点にご注意ください。持病や病歴、手術歴などがあるときは、特約などがつかないスタンダードタイプを検討してみましょう。
糖尿病の方が住宅ローンの団信に加入できなかった場合の対処方法
団信の審査に通過できない理由は、生命保険会社や金融機関に尋ねても、通常は明らかにされません。
しかし、糖尿病などの持病が原因だと思われるときは、以下の方法で対処できる場合があります。
- 糖尿病ではない方が住宅ローンを借りる
- 連帯債務型では主たる債務者を配偶者にする
- ワイド団信を利用する
糖尿病ではない方が住宅ローンを借りる
共働き世帯など、収入がある方が2人以上いる場合は、糖尿病ではない方が住宅ローンを借りることも検討できます。
糖尿病ではない方の収入が少なく、必要な金額を借りることが難しいときは、収入を合算して住宅ローンの審査を受ける方法も検討しましょう。
連帯債務型では主たる債務者を配偶者にする
収入を合算して住宅ローンの審査を受ける方法としては、連帯債務型と連帯保証型の2つの種類があります。
連帯債務型とは、一方が主たる債務者、もう一方が連帯債務者になる返済方法です。2名とも返済義務があり、また、住宅ローン控除の利用が可能なだけでなく、所有権も獲得できます。連帯債務型を利用する際は、糖尿病ではない方を主たる債務者とすることも検討しましょう。
また、連帯保証型とは、一方が債務者、もう一方が連帯保証人になる返済方法です。連帯保証人は、債務者が返済できなくなったときに返済義務が生じますが、住宅ローン控除の利用はできず、所有権も獲得できません。
夫婦や親子で話し合い、病状や収入などに合う方法で住宅ローンに申込みましょう。
ワイド団信を利用する
ワイド団信とは、通常の団信よりも引受範囲が広くなっているタイプです。
持病がある場合や、過去の一定期間内に治療や入院、手術などをした場合でも、通常の団信より加入しやすくなっているため、団信への加入が難しそうなときは、ワイド団信を検討するとよいでしょう。
保障内容は通常の団信と同じなので、死亡時や高度障害状態になったときに備えられます。
しかし、ワイド団信は加入条件が緩和されるため、通常の団信よりも保険料が割り増しとなります。住宅ローンの金利に上乗せして支払う場合は、適用される金利が高くなる点にご注意ください。
糖尿病でもあきらめず、団信への申込みを検討してみよう
団信の審査では、持病や病歴、手術歴などが問われるため、糖尿病などの持病がある方は、審査通過が難しくなるケースもあるでしょう。
しかし、持病があるからといって、必ずしも団信が利用できないわけではありません。検討している住宅ローンに特にワイド団信のお取扱いがあるなら、まずは諦めずに申込みを検討してみましょう。
なお、団信の審査に不利になる可能性がある情報でも、尋ねられた質問に対して正直に答える姿勢が大切です。
ご自身にとって不利と思われる情報を意図的に隠していたと後日に判明した場合は、保険金が支払われない、もしくは団信契約が解除される場合もあります。必要な保障を受けるためにも、正直に告知しましょう。