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特集 | 住宅ローン

2023/12/20

年収800万円の人が組める住宅ローンの金額|上限や適正借入額も解説

執筆者:新井智美

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自宅購入は、住宅ローンを利用する人が多い傾向です。住宅ローンを利用するためには、金融機関へ借入れ申込みをして審査を受ける必要がありますが、審査項目の一つに年収があります。

年収が800万円だと、どのくらいの金額を借入れできるのでしょうか。今回は、年収800万円の人が組める住宅ローンの金額について上限や適正な借入額について解説します。

■年収800万円で住宅ローンを利用する際の借入可能額

一般的に住宅ローンで借りられる可能額は、年収の5~7倍程度といわれています。これに当てはめると年収800万円の人の場合、4,000万~5,600万円程度までの借入れが可能というわけです。また金融機関によっては、返済負担率を基準にして借入可能額を算出するところもあります。

返済負担率とは、年収における年間ローン返済額総額の割合のことです。ローン返済額には、住宅ローンだけでなく他社からの借入れも含めます。一般的には、返済負担率が30%を超えると返済が困難になる可能性が高くなるといわれており、できるだけ20%程度に収めるほうがよいでしょう。

そうなると他社からの借入れがない場合、年収800万円の人の返済負担率から算出できる年間返済額は160万円(800万円×20%)、月に換算すると約13万3,300円までということになります。

■年収800万円で無理なく返済できる額とは?

返済負担率は、年収を基準に計算しています。しかし実際の手取り額は、所得税や住民税のほか社会保険料などが引かれた額です。そのためより現実な数値を考えるなら手取り額で計算する必要があります。手取り額は、年収や家族構成などによっても異なります。概算で収入の7割程度とイメージしておくとよいでしょう。例えば年収800万円の人であれば年間手取り額は560万円程度といった具合です。

返済負担率を20%と仮定するなら年間返済金額は、112万円(560万円×20%)となり毎月の返済額は9万3,300円程度となります。無理のない返済を考えている場合は、年収800万円でも毎月の返済額は9万~10万円の範囲内にしておくことがおすすめです。

■住宅ローン利用者の現状

実際に住宅ローンを利用している人は、どのくらいの金額を借入れできるのでしょうか。住宅金融支援機構が公表している「2022年度 フラット35利用者調査」によると、2022年度・全国の物件別の借入額と年収倍率は以下のようになっています。

物件のタイプ 平均世帯年収 年収倍率 平均借入額

注文住宅

623万7,000円

6.9倍

2,967万2,000円

土地付き注文住宅

659万5,000円

7.7倍

4,017万7,000円

建売住宅

593万8,000円

6.9倍

3,184万9,000円

マンション

844万2,000円

7.2倍

3,691万8,000円

中古戸建住宅

529万円

5.7倍

2,291万9,000円

中古マンション

621万5,000円

5.9倍

2,509万4,000円

参考:住宅金融支援機構|2022年度 フラット35利用者調査別ウィンドウで開きます

物件別に見ると年収倍率が最も高いのは、土地付き注文住宅を購入する人で7.7倍、平均借入額も4,017万7,000円と高額です。次いで高かったのは、新築マンションの購入者で年収倍率7.2倍、平均借入額は3,691万8,000円でした。また住宅を購入する人の多くが頭金を用意しており、物件価格に対する頭金の割合は約8~20%と物件によっても異なります。

■頭金を入れるメリット・デメリット

住宅購入の際に頭金をいくら用意するか悩む人も多いのではないでしょうか。ここでは、頭金を入れることのメリット・デメリットについて解説します。メリットとデメリットの内容を理解したうえで、頭金を準備するのか、準備するならどのくらいの額かなどを判断するとよいでしょう。

●頭金を入れるメリット

頭金を入れることで得られる大きなメリットは、借入金額を少なくできることです。住宅ローンは、高額な借入れを行い長期にわたって返済していくため、借入金額が少なければその分総支払利息の負担を少なくしたり、総返済額を抑えたりする効果が期待できます。また借入金額を少なくすることで、毎月の返済額を抑えることも可能です。

●頭金を入れるデメリット

頭金を入れるデメリットは、手元資金が少なくなってしまうことです。例えば「住宅購入後に子どもの進学などでまとまった資金が必要」という人は、できるだけ手元資金を残しておきたいと考えるのではないでしょうか。また頭金を用意することを考えるあまり住宅購入のタイミングを逃してしまうことも考えられます。

●頭金を入れることで返済額はどのくらい変わる?

実際に頭金を入れる場合と入れない場合では、毎月の返済額そして総返済額にどのくらいの差が生じるのでしょうか。以下の条件を仮定し、シミュレーションしました。

  • 物件価格:4,000万円
  • 金利年1.9%(全期間固定金利)
  • 返済期間35年
  • 元利均等返済
  • ボーナス払いなし
頭金の額 借入金額 毎月の返済額 総返済額 利息負担額

0円

4,000万円

13万461円

5,479万3,602円

1,479万3,602円

400万円

3,600万円

11万7,415円

4,931万4,193円

1,331万4,193円

800万円

3,200万円

10万4,369円

4,383万4,787円

1,183万4,787円

  • 下記住宅ローンシミュレーターを使って計算

新規お借入れ - auじぶん銀行の住宅ローンシミュレーション

頭金を入れない場合、毎月の返済額は13万461円です。年収800万円の返済負担率以内には収まっているものの、手取り収入から考えると家計に負担がかかる可能性があります(前述の無理なく返済できる額9万3,300円よりは多い)。

また返済期間も35年と長いため、約1,500万円の利息を負担しなければなりません。しかし借入金額の1割の頭金を用意することで、毎月の返済額は11万7,415円(▲1万3,046円)まで減少します。

さらに2割の頭金が用意できれば、毎月の返済は10万4,369円(▲2万6,092円)となり、利息負担額も約296万円の差が出ます。住宅を購入する際には、事前にどのくらいの頭金を用意できるか、また頭金を用意することで毎月の返済額や最終的な利息負担がどのくらいになるのかをシミュレーションしたうえで判断するようにしましょう。

■住宅ローンの金利タイプ

住宅ローンを利用する際には、金利タイプを慎重に選ぶことも必要です。ここでは、それぞれの金利タイプの特長とメリット・デメリットについて解説します。

●変動金利

変動金利とは、原則半年ごとに金利が見直される金利タイプです。3つの金利タイプのなかで最も金利が低く設定されているため、変動金利タイプを選ぶことで利息負担を抑えることができます。また見直された金利は、すぐに毎月の返済額に反映されるのではなく「5年ルール」「125%ルール」が設けられていることが多い傾向です。

5年ルールとは、見直された金利をもとに返済額を見直すのは5年後になることで、さらに見直し後の返済額が見直し前の返済額の125%を超えてはならないとされています。これが125%ルールです。ただし近年のネット銀行のなかには「5年ルール」「125%ルール」を設けていないところもあるため、申込時には商品概要説明書をよく確認するようにしましょう。

変動金利は、金利が低い点がメリットですが金利上昇局面には返済額が上がってしまうというデメリットがあります。もちろん大きく金利が上昇したとしても「125%ルール」が適用されるため、返済額が大幅に増えることはありません。しかし返済額に占める利息の割合が元本を上回る可能性もあります。この上回った部分のことを「未払利息」といい、最終返済時にまとめて支払うことが一般的です。

●固定期間選択型

固定期間選択型とは、2年・3年・5年・10年などあらかじめ決められた期間について固定金利が適用されます。特約期間終了後は変動金利と固定金利を選択できる場合が一般的です。ただし特約期間満了後、金利の優遇幅が縮小されてしまう場合がある点には注意が必要です。一定期間の返済額が固定されるため、住宅購入後に子どもの教育費などの出費が予定されているような人に向いています。

利率は、変動金利と全期間固定金利の中間に位置し、固定期間については金融機関によって選べる期間が異なるため、事前に確認しておきましょう。

●全期間固定金利

全期間固定金利は、住宅ローンの契約時から完済時まで適用される利率が変わらない金利タイプです。そのため将来にわたって返済額を固定させておきたい人に向いています。ただし利率は、3つの金利タイプのなかで最も高い水準となっているのが一般的です。

そのため金利負担をできるだけ少なくするためにも、余裕があるときには繰上返済を活用するなどして返済期間の短縮を心がけましょう。

■借入期間や金利タイプによっても返済額は異なる

住宅ローンの返済額は、借入期間や金利タイプによっても異なります。ここでは、借入金額を4,000万円と仮定し、借入期間と金利タイプの違いでどのくらい返済額に差が生じるのかについて「auじぶん銀行のシミュレーション」を使って試算しました。

1.変動金利:年0. 319%(最長で35年間金利が変わらない前提で計算)

借入期間 毎月の返済額 総返済額

25年

13万8,738円

4,162万1,360円

30年

11万6,527円

4,194万9,646円

35年

10万666円

4,227万9,628円

  • 運良く金利が変わらなければ総返済額は他の金利と比較して少ないが、金利が大きく上がる可能性もあるため、どの金利タイプが安いなどは一概には言えません
  • 金利の見直しは、通常、半年ごとに行われます。

2.固定金利選択型:(当初10年:年1.325%、固定期間終了後:年1.6%)

借入期間 毎月の返済額
(固定期間)
毎月の返済額
(固定期間終了後)
総返済額

25年

15万6,706円

15万9,866円

4,758万531円

30年

13万4,714円

13万8,296円

4,935万6,638円

35年

11万9,073円

12万2,990円

5,118万5,721円

3.全期間固定金利(年1.9%)

借入期間 毎月の返済額 総返済額

25年

16万7,601円

5,028万144円

30年

14万5,855円

5,250万7, 790円

35年

13万461円

5,479万3, 602円

毎月の返済額は、借入期間が短いほど大きくなりますが、総返済額は抑えられることが分かります。また固定期間選択型の場合、固定期間終了後に選ぶ金利タイプによっても最終的な返済額は異なる点は押さえておきましょう。借入れする前の段階で必ずシミュレーションを行い、無理のない返済額に収まるような金利タイプや借入期間を設定することが大切です。

返済中に急なまとまった出費が生じる可能性も考慮し、借入期間には若干の余裕を持たせておき途中で繰上返済を行うことで返済期間を短くする方法をイメージしておくとよいでしょう。

■住宅ローン控除の適用

住宅ローンを利用した場合、要件を満たすことで住宅ローン控除の適用が受けられます。住宅ローン控除は、所得控除ではなく税額控除です。年収800万円ともなれば課税される所得税額も大きくなるため、住宅ローン控除が適用されることで節税につながります。住宅ローン控除が適用されるための主な要件は、以下のとおりです(2023年11月時点)。

  • 購入する住宅は自分が居住する住宅である
  • 利用している住宅ローンの返済期間が10年以上ある
  • 床面積が50平方メートル以上あり、居住部分の割合が2分の1以上ある ・住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下

これらの要件を満たせば、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が所得税額から差し引かれます。適用される期間は最長13年ですが、給与所得者の場合、最初の1年目は確定申告を行わなければなりません。また購入物件や入居する時期によって、借入金額の上限が定められている点にも注意しておきましょう。高性能の住宅は、借入金額の上限が比較的高めに設定されているのが特徴です。

なお2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅については、住宅ローン控除を受けるには省エネ基準に適合する必要があります。

  • 表の右、緑色の網掛けは借入限度額
図

出典:国土交通省|住宅ローン減税省エネ要件化等についての説明会資料別ウィンドウで開きます

■まとめ

年収800万円の人が組める住宅ローンの金額は、4,000万~5,600万円程度です。ただし購入資金全額を借入れるのではなく頭金を用意するなどで毎月の返済額を抑えられます。また、住宅ローンを組むときには金利タイプを選ぶ必要があります。借入期間により異なりますが、金利タイプにより総返済額が大きく違ってきます。事前にシミュレーションし、無理のない返済額に収まるような金利タイプや借入期間を設定することが大切です。

本文内で説明した返済負担率を考えながら無理のない返済額に落ち着くように借入金額や借入期間、金利タイプを選ぶようにしましょう。

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