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特集 | 住宅ローン

2022/12/30

住宅ローンの借換えにはデメリットがある?悩んだらシミュレーションを行おう!

監修者:新井 智美

住宅ローンの返済を行っている方ならば、「借換え」の用語を見聞きした経験があるかもしれません。知人や友人、同僚、上司、家族などから「住宅ローンの借換えを行うと、さまざまなメリットを享受できる」と聞いて、興味や関心を持つ機会もあるかもしれませんが、借換えにはデメリットもある点にご注意ください。

本記事では、住宅ローンの借換えを検討している方に向けて、デメリットやメリット、シミュレーションを行う大切さを解説します。借換えに適したタイミングや、借換えを行う際の流れも紹介するので、参考にしてください。

住宅ローンの借換えとは

住宅ローンの借換えとは、「住宅ローンの返済期間中に、新たな金融機関で住宅ローンを借りて、現在契約している住宅ローンを一括で返済すること」です。
金利の高い住宅ローンから金利の低い住宅ローンに借換えると、毎月の返済額や総返済額が減る可能性があります。
また、同じ金融機関が提供している別の住宅ローン商品のほうが、条件が有利なケースがあるかもしれません。しかし、基本的に同じ金融機関が取り扱っている住宅ローン商品間での借換えはできないので、他の金融機関の住宅ローン商品を探しましょう。

住宅ローンの借換えのデメリット

住宅ローンの借換えには、以下のようなデメリットがある点にご注意ください。

  • 諸費用がかかる
  • 手続きに手間がかかる
  • 金利動向を読み間違える可能性がある
  • 審査に通りにくくなる可能性がある

デメリット①諸費用がかかる

一般的に住宅ローンの借換えには、下表に示す諸費用がかかります。

現在の住宅ローンを完済する手続きで必要になる費用

  • 全額繰上返済手数料:数千円~3万円程度
  • 抵当権抹消費用:登録免許税は土地や建物1筆につき1,000円、司法書士報酬・その他は1件につき2万円程度

新規に借入れる住宅ローンの契約手続きで必要になる費用

  • 事務手数料:定額(「一律数万円程度」など)の場合と、定率(「借入金額の数%程度」など)の場合がある
  • 保証料:保証会社を利用しない場合は無料、利用する場合は数十万円程度かかるケースもある(借入金額や返済年数によって異なる)
  • 印紙税:数万円程度が一般的(電子契約の場合は不要)
  • 抵当権設定費用:登録免許税は借入金額の0.4%、司法書士報酬・その他費用は6~10万円程度

具体的な金額は、金融機関や、住宅ローンの借入金額、期間、金利などによって異なります。必ず事前に金融機関に問い合わせたり、ウェブサイトで確認するようにしましょう。

デメリット②手続きに手間がかかる

借換えを行う際は、新規に住宅ローンを組む場合と同じように「審査」が必要なので、審査に必要な書類(「住民票」「所得証明書」「物件資料」など)を用意しなければなりません。

審査通過後も、契約手続きを行うためにまとまった時間を確保する必要があると認識しておきましょう。

デメリット③金利動向を読み間違える可能性がある

「今後金利が下がりそうだから、固定金利型の住宅ローンから、変動金利型の住宅ローンに借換えよう」と考えていても、実際には金利が上がって、借換え前よりも負担が大きくなる可能性があります。

将来の金利動向を自分だけで読み解くのではなく、金融機関やファイナンシャルプランナーなどの専門家の意見も参考にしながら、「想定から外れる可能性」も踏まえて借換えの判断を行ってください。

デメリット④審査に通りにくくなる可能性がある

一般的に住宅ローンを借換える際は団体信用生命保険への再加入が必要です。しかし、年齢を重ねると、さまざまな持病を抱えやすくなります。若い時期には健康上の問題がなく、団体信用生命保険の審査に通過できた方であっても、借換えの際に通過できない可能性があります。

住宅ローンの借換えのメリット

以下は、住宅ローンの借換えのメリットです。

  • 毎月の返済額および返済総額を減らせる
  • 長期固定金利に切り替えることが可能
  • 団体信用生命保険の内容を充実させられる

メリット①毎月の返済額および返済総額を減らせる

住宅ローンの借換えの最大のメリットは、これまでよりも金利の低い住宅ローンに借換えることで、毎月の返済額および返済総額を減らせる可能性があることです。

しかし、借換えの際に「返済期間の短縮」を行うと、毎月の返済額が増えるケースがあるためご注意ください。

メリット②長期固定金利に切り替えることが可能

変動金利の住宅ローンを借入れている場合、借換えによって長期固定金利に切り替えることが可能になります。

通常、変動金利の住宅ローンでは6ヶ月ごとに金利が変動し、5年ごとに返済金額が見直されるため、将来、金利の上昇に伴って返済金額が増加するかもしれません。

金利上昇リスクを回避するために、金利が低いうちに長期固定金利の住宅ローンへの借換えを行うことも検討してみましょう。

メリット③団体信用生命保険の内容を充実させられる

住宅ローンの借換えを行う際は、新たに団体信用生命保険への加入が求められます。

昨今、団体信用生命保険の保障内容が充実する傾向にあり、「死亡」や「高度障害」だけではなく、「がん(所定の悪性新生物)診断が確定された場合」や「10種類の生活習慣病が原因で、所定の期間、入院した場合」でも住宅ローン残高がゼロになるケースがあると覚えておきましょう。

通常、住宅ローンの返済期間中に団体信用生命保険の内容を見直すことはできないので、借換えの際には団体信用生命保険の内容も確認しましょう。

住宅ローンの借換えに悩んだら、シミュレーションを行おう

例えば、借換えによって返済総額が50万円減少しても、諸費用で80万円かかってしまう場合、トータルでは損になります。

住宅ローンの借換えを行うべきか、「借換え前の返済総額」と「借換え後の返済総額」の差を試算したうえで、「諸費用」と比較して決めましょう。各金融機関のウェブサイト上で「シミュレーション機能」が提供されているので、活用してください。

一般的に、「借換え後の金利差が年1%以上」「住宅ローン残高が1,000万円以上」「返済期間が10年以上」の場合、借換えによって返済額や総返済額を減額できる可能性があるといわれています。

なお、金額だけの問題ではなく、上述したように「書類を集める時間、労力」「契約手続きを行うための手間」も含めて、総合的に借換えをすべきかを検討しましょう。

自分で考えても答えが出ない場合は、各金融機関の担当者やファイナンシャルプランナーに相談してはいかがでしょうか。有益なアドバイスをもらえる可能性があります。

住宅ローンの借換えに適した状況やタイミング

以下は、住宅ローンの借換えに適した状況やタイミングです。

  • 金利差が年1%以上あるとき
  • 金利のタイプを変更したいとき
  • 固定金利の優遇期間(特約期間)が終了するとき

金利差が年1%以上あるとき

上述したように、金利差が年1%以上ある状況なら、借換えを検討するべきです。

しかし、「住宅ローン残高」や「完済までの残り年数」「諸費用」にもよるので、しっかりとシミュレーションを実行し、金融機関やファイナンシャルプランナーに相談したうえで決断を行いましょう。

なお、年0.5%程度の金利差であってもメリットを享受できる可能性があるので、まずはシミュレーションを行うことが大切です。

金利のタイプを変更したいとき

住宅ローンの金利タイプを変更したい場合も、借換えを検討すると良いでしょう。

金利を低くしたいのであれば「固定金利型から変動金利型に変更」、金利変動リスクを抑えたいのであれば「変動金利型から固定金利型や固定金利期間選択型に変更」など、さまざまなパターンが選択肢として挙げられます。

しかし、固定金利型から変動金利型に借換える場合、必ずしも返済額が減るとは限りません。将来の金利上昇により、借換え当初よりも返済金額が増える可能性があることを認識したうえで、金利動向をしっかりとチェックし、金融機関などに相談しましょう。

固定金利の優遇期間(特約期間)が終了するとき

固定金利期間選択型の住宅ローンでは、一般的に優遇期間(特約期間)の終了後に金利タイプを再選択することが出来ます。しかし、優遇期間(特約期間)終了後は金利が上昇する可能性があることを理解しておきましょう。

固定金利期間選択型の住宅ローンを借入れている方は、当初の固定金利の優遇期間(特約期間)が終了するタイミングで借換えを検討してはいかがでしょうか。

住宅ローンの借換えを行う際の流れ

以下は、住宅ローンの借換えを行う際の流れです。

①相談および申込み
②必要書類の提出および審査の実施
③契約の締結および融資の実行

借換えの流れ①相談および必要書類の準備

はじめに、各金融機関のウェブサイトで提供されているシミュレーション機能で試算を行って、住宅ローン商品の内容を比較してください。

しかし、さまざまな金融機関、住宅ローン商品が存在するため、「どれにすべきなのかわからない」と悩むかもしれません。

ご自身で判断できない場合は、1人で悩み続けずに、金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーなどに借換えについて相談しましょう。

申し込む旨を伝えると、必要な書類の案内があります。一般的に住宅ローンの借換えでは、「本人確認書類(住民票、運転免許証など)」「所得証明書(直近の源泉徴収票など)」「物件購入時の資料一式(売買契約書など)」などの提出が求められますので、準備を進めましょう。

借換えの流れ②審査への申込み

必要書類を提出すると、審査が実施されます。なお、金融機関によっては、本審査の前に「事前審査」が実施されるケースもあると覚えておきましょう。

事前審査に通過しても、本審査に通過できない場合があります。住宅ローンの借換えの際には、新たに団体信用生命保険への加入が求められるため、健康状態が悪化している場合、収入面では問題がなくても、健康面の不安などで否決される可能性がある点にご注意ください。

借換えの流れ③契約の締結および融資の実行

審査に通過したら、今まで契約していた金融機関に対して「残額を全額繰上返済する旨」を連絡し、完済受付可能日、完済に必要な金額や振込先を確認します。また、完済日当日には「抵当権抹消書類」が必要となるため、借入中の金融機関から書類を受け取れるように忘れずに手配しましょう。

借換え先の金融機関に対して、借入希望日と完済に必要な借入金額を申告し、契約内容に問題がなければ、契約を締結します。その後、実行日に借換え先の金融機関から全額繰上返済の手数料なども含めたローン残額に相当する金額が送金され、一括返済が行われます。

そして、以前の住宅ローンを借入れていた金融機関の抵当権が抹消され、新しい住宅ローンを借入れる金融機関の抵当権が設定されます。

住宅ローンの借換えではメリットとデメリットをよく理解しよう

本記事で紹介したように、住宅ローンの借換えにはメリットとデメリットがあります。

住宅ローンの借換えのメリットは、「毎月の返済額および返済総額を減らせる」「長期固定金利に切り替えが可能」「団体信用生命保険の内容を充実させられる」点です。

しかし、「諸費用がかかる」「手続きに手間がかかる」「金利動向を読み間違える可能性がある」「審査に通りにくくなる可能性がある」というデメリットもある点にご注意ください。

借換えを行う際には、さまざまな要素を勘案しなければなりません。借換え前後の金利差や諸費用といった金銭面だけではなく、書類を集める手間や契約に要する時間なども考慮するべきです。

借換えによって返済総額がどのくらい減るのかを知りたい場合は、各金融機関のウェブサイト上で提供されているシミュレーションをご利用ください。

一般的に、借換えを行うのに適した状況やタイミングは、「金利差が年1%以上あるとき」「金利のタイプを変更したいとき」「固定金利の優遇期間(特約期間)が終了するとき」の3つです。

1人で考え込んでいても、「借換えを行うべきなのか、行わないほうが良いのか」の結論が出ない場合は、各金融機関の窓口にご相談ください。

また、ファイナンシャルプランナーに相談し、アドバイスをもらう姿勢も有益です。

監修者:新井 智美
顔写真:監修者:新井 智美

プロフィール:
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)をおこなうと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績 は2,000本を超える。

資格情報:CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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住宅ローンをシミュレーションしてみましょう!

本記事では、住宅ローンの借換えのメリットやデメリット、適したタイミングや具体的な流れを解説しました。住宅ローンの借換えを行うべきか迷ったら、まずは借換え前後の返済総額を把握するためにシミュレーションしてみましょう。

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