子育て世代は慎重に!住宅ローン繰り上げ返済のメリットとは?
執筆者:福島佳奈美(ファイナンシャルプランナー)
2017年11月24日
住宅購入の際、『とりあえず長期で組んで、お金が貯まったら繰り上げ返済しよう』という考えで住宅ローンを組んだ人は多いのではないでしょうか?ある意味、それは正しい選択と言えるでしょう。それというのも、最初に設定した返済期間は、基本的にあとから延ばすことができないからです。
しかし子育て世代は、「お金が貯まったら繰り上げ返済」を慎重に検討する必要があります。なぜその必要があるのか、さっそく見ていきましょう。
住宅ローンの繰り上げ返済には2種類ある
住宅ローンの繰り上げ返済をする場合、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの方法が考えられるでしょう。前者は、毎月の返済額はそのままで返済期間を短くして、早くローン返済を終えることができる方法です。一方、後者は返済期間はそのままで、毎月の返済額を抑える方法です。
「期間短縮型」は「返済額軽減型」より利息の軽減効果が大きいので、繰り上げ返済の効果を重視したい人に向いています。ただし、ローン返済がきつくなったからといって、一度縮めた返済期間を再度、延ばして毎月の返済額を減らすということは基本的にはできません。そのため、「期間短縮型」の選択には注意が必要です。
一方「返済額軽減型」は、利息軽減効果は「期間短縮型」より小さくなりますが、借入時の返済期間をそのまま残すことができます。毎月の返済額を抑えて生活を安定させたい人に向いていると言えるでしょう。
なお、金融機関によっては、別途繰り上げ返済手数料が発生する場合もありますので、あわせて確認しておきましょう。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」のメリットとデメリット
期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
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メリット |
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デメリット |
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子育て世代が確認しておきたいポイント
繰り上げ返済をすると利息軽減効果が得られます。そのため、貯蓄を繰り上げ返済にまわすことは家計にとってプラスになりますが、子育て世代は、繰り上げ返済をする前に確認しておいた方が良いことがあります。
たとえば、繰り上げ返済の前には子どもの教育費について考えておきましょう。繰り上げ返済をしたために、子どもの大学進学資金が不足することも考えられます。奨学金や教育ローンを借りなければならなくなったということにでもなったら、せっかくの繰り上げ返済効果も無駄になってしまいます。
また、万が一の事故や病気による入院についても考慮が必要です。医療保険に加入しているから大丈夫と思っていても、入院が長引いたり、差額ベッド代がかさんだりすることもあります。収入減などにも備えるために、予備資金は今の生活費の6ヵ月分程度は確保しておいたほうがいいと言われていますから、その分は貯蓄しておく必要があるでしょう。
事前に利息軽減効果をシミュレーションしよう
繰り上げ返済で早めに返済を終えたい、返済額を抑えたい、という気持ちもわかりますが、いざというときにお金が足りなくなることは避けたいものです。
また、借入時の金利や条件によっては、繰り上げ返済するより住宅ローンの借り換えを行ったほうが良い場合もあります。繰り上げ返済を検討する際には、借り換えとの利息軽減効果をシミュレーションで比較してみてもいいでしょう。
ライフプランに必要なお金は貯蓄で確保しておこう
繰り上げ返済のメリットばかりを重視して返済に励んでいると、「こんなはずではなかった…」ということにもなりかねません。繰り上げ返済は、いざというときの予備資金や、今後のライフプランに必要なお金がきちんと確保できているかを確認した上で、貯蓄とのバランスを見ながら行うことが大切です。