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特集 | 住宅ローン

2024/03/29

住宅ローンの変動金利とは?仕組みや固定金利との違いについて解説

執筆者:大西洋平

住宅ローンの金利には、変動金利タイプと固定金利タイプがあります。変動金利タイプは提示されている金利の低さが目を引きますが、どのような仕組みになっていて、固定金利タイプとはどういった点が異なっているのでしょうか?

この記事では、変動金利タイプの住宅ローンの仕組みや固定金利タイプとの違い、メリット・デメリットについて解説します。

1.住宅ローンの金利タイプは大きく分けると2種類

住宅ローンに適用される金利は、その仕組みの違いによって、変動金利と固定金利の2つに大別されます。

1.1.変動金利タイプ

変動金利はそのネーミングからも想像できるように、情勢に応じて定期的に適用金利の見直しが行われる仕組みになっています。

一般的には、金融機関は銀行が優良企業に短期(1年未満)の融資を行う際に用いる優遇金利である「短期プライムレート」と呼ばれる指標(基準金利)の変化に応じて、半年ごと(4月・10月)に利率を見直します。

そして、この「短期プライムレート」の変化に影響を及ぼしているのが日本銀行の金融政策(政策金利の推移)です。一般的に、日本銀行は景気がよくなると政策金利を引上げ、逆に悪くなってくると引下げます。

こうして金融政策に連動し、変動金利タイプの住宅ローンに適用される金利も上がったり下がったりするわけです。

足元ではコロナ禍を抜け出して経済活動が本格的に再開し、それに伴う需要の急拡大で物価も上昇傾向(※1)にあり、海外では政策金利を引上げる動きも活発化しています。しかしながら、急激な金融政策の見直しは大きな混乱を招きかねないことから、まだ日本銀行は政策金利の引上げを行っていません。

1.2.固定金利タイプ

一方、固定金利は経済情勢の変化にかかわらず、借入れの際に提示された利率が所定の期間中はずっと適用される仕組みになっています。ただし、新たな借入れにおいては、折々の指標(基準金利)の推移に応じた利率が適用されます。

一般的に、固定金利タイプの適用金利を決める際に指標としているのは長期金利(10年もの国債の利回り)で、国債市場の取引に参加している投資家の動向によって変化しています。「先々で金利が上昇しそうだ」と市場参加者の多くが予想すれば長期金利も上昇傾向を示し、逆の考えが大勢を占めれば下降傾向を示します。

市場参加者の予想に大きな影響を及ぼしているのは金融政策の行方です。そういった意味では、変動金利と固定金利はどちらも日本銀行の動向がそれぞれの推移を左右しているといえるでしょう。

2.変動金利タイプの住宅ローンとは?

変動金利タイプの住宅ローンは、半年ごとに適用金利が見直される仕組みになっています。そのため、指標としている基準金利が上昇すると、毎月の返済額が増えてしまう可能性が考えられます。

そこで、金利が上昇した場合の家計への負担を緩和することを目的に、「5年ルール・125%ルール」が設けられています。ただし、比較的低水準の金利で提供している金融機関などは「5年ルール・125%ルール」を設けていないケースもあるため、各金融機関のウェブページで確認するようにしましょう。

2.1.5年ルール・125%ルール

「5年ルール」とは、「元利均等返済」の変動金利タイプで住宅ローンを組み、半年ごとの見直しで適用金利が上がったとしても、5年間は毎月の返済額が変わらないというものです。
「125%ルール」とは、同じく「元利均等返済」の変動金利タイプで住宅ローンを組み、半年ごとの見直しで適用金利が上がったとしても、次の5年間における返済額は旧返済額の125%(1.25倍)を上限とするというものです。

これら2つのルールは、月々の返済が「元利均等返済」の変動金利タイプだった場合に適用されるもので、「元金均等返済」の場合は対象外となります。

次に「元利均等返済」と「元金均等返済」それぞれの返済方式がどういったものなのか、詳しく見ていきましょう。

2.2.元利均等返済方式

「元利均等返済」とは、毎月の返済額(元金+利息)が均等になるように計算された返済方法です。毎月の支払いがずっと変わらないので返済計画を立てやすく、後述する「元金均等返済」と比べて、返済開始当初の負担を抑えられるのがメリットです。

その半面、「元金均等返済」よりも借入残高の減り方が遅くなります。その結果、同じ借入期間の「元金均等返済」と比べて総返済額が増えてしまうわけです。

2.3.元金均等返済方式

「元金均等返済」とは、毎月の返済額に含まれる元金の金額が一定となる返済方法です。返済が進むにつれて、月々の支払額は少なくなっていきます。

同じ借入期間の「元利均等返済」よりも元金の返済が早くなるため、総返済額が少なくなるのが魅力です。ただし、返済開始当初の返済額がもっとも多くなり、その負担が家計を圧迫するおそれがあります。

3.固定金利タイプとの違い

巷の金利情勢に応じて定期的に金利が見直される変動金利タイプに対し、固定金利タイプは借入れの際に定められた金利が所定の期間中はずっと適用されます。つまり、その間は毎月の返済金額が変わらないわけです。

もしも、常態的に日本銀行が政策金利の引上げを続けていった場合、変動金利タイプはその影響を受けて適用金利が上昇傾向を示すことになります。しかし、すでに固定金利タイプで借りている人に対し、所定期間に適用される金利は据え置かれたままです。

固定金利タイプは、金利を据え置く所定期間の違いによって、「固定金利期間選択型」と「全期間固定金利型」の2つに分類できます。

3.1.固定金利期間選択型

「固定金利期間選択型」は、ローンを組む人が選択した期間中は固定金利が適用される仕組みになっています。金融機関によって選択肢は異なっていますが、固定金利の期間は2年、3年、5年、7年、10年、15年、20年などのなかから選べます。

先々で指標となる金利が上昇傾向を示したとしても、固定金利の期間が長いものほど、その影響を抑えられます。ただ、固定期間が短いものと比べて、期間が長いものに適用される金利は高めに設定されるのが一般的です。

3.2.全期間固定金利型

「全期間固定金利型」はその名称の通り、借入れ当初に定められた金利が完済まで適用される仕組みになっています。毎月の支払い額が変わらないので返済計画を立てやすいのがメリットですが、金融機関は長期にわたって金利変動に伴うリスクを負うことになるため、変動金利タイプや「固定金利期間選択型」と比べて、もっとも高めの金利が設定されるのが通常です。

住宅ローンの固定金利についてさらに詳しく知りたい人は「住宅ローンの固定金利とは?メリット・デメリットもご紹介」もご覧ください。

4.変動金利のメリット

変動金利タイプは世の中の情勢に応じて機動的に見直しを図ることが可能なため、金融機関は金利変動リスクを軽減できます。こうしたことから、借入れ当初の時点において変動金利タイプには、同じ時期に設定される固定金利タイプよりも低い利率が適用される傾向が見られます。

金融機関によっては、変動金利と固定金利との利率に倍以上の差が生じることもあります。そうなると、ローンを組んだ当初の返済額は固定金利タイプよりも大幅に抑えられます。

そして、その後も指標となっている基準金利が中長期的に目立った上昇を遂げなければ、高めの金利が適用されている固定金利タイプと比べて、変動金利タイプの方が利息負担が軽くなる可能性が高まります。

また、政策金利が低水準となっている現状では考えがたいことではあるものの、指標が低下傾向を示せば、変動金利タイプの適用金利も引下げられます。つまり、その分だけ利息の負担も軽減されるのです。

5.変動金利のデメリット

変動金利のデメリットは、指標が上昇すると適用金利が引上げられ、その傾向が続いていくと毎月の返済額が増えてしまう可能性があることです。返済方法が「元利均等返済」なら「5年ルール・125%ルール」が適用されて急激な負担増は避けられるものの、指標の上場傾向が長期化すると、利息負担も増えてしまいます。

金利が上昇した場合は繰上返済を行うのも一考でしょう。毎月の支払いとは別に臨時でまとまった資金を返済する方法です。そのやり方次第で毎月の返済額が増えるのを抑えたり、総返済額の増加を抑えたりする効果が得られます。

また、金利上昇の兆候がうかがえる場合は、変動金利タイプから固定金利タイプに条件変更を行うという有効策が考えられます。ただし、金融機関によっては条件変更時に手数料が発生するケースがあるので注意してください。

住宅ローンの金利タイプを変更するタイミングや方法、注意点についてより詳しく知りたい人は、以下の記事もご覧ください。

6.それぞれ、どんな人に向いている?

ここまで、変動金利タイプとともに「固定金利選択型」や「全期間固定金利型」といった固定金利タイプの仕組みや特徴、メリット・デメリットについて触れてきました。では、それぞれどのような人に向いているといえるのでしょうか?

6.1.変動金利が向いている人

当初の返済額はできるだけ抑えたいという人にとって、固定金利タイプよりも適用金利が低い傾向にある変動金利タイプの住宅ローンは魅力的な選択肢となってくるでしょう。
また、借入金額が少ない・期間が短い人は変動金利の方が金利上昇のリスクが低いため向いているといえます。
しかしながら、金利情勢の先行きは専門家でも完全に読み解くのは困難なのが現実です。将来的に金利の上昇傾向が強まってきた場合、変動金利タイプを選んだ人は固定金利タイプへの借り換えや繰上返済を検討するのが賢明でしょう。なお、金融機関によって、金利の変更に条件がある場合や手数料がかかる場合があります。借入後の金利変更の条件・手数料等について、事前に確認しておきましょう。

6.2.固定金利期間選択型が向いている人

借入当初から一定期間は、金利の上昇を伴う返済額の増加を避けたいと考える人には、「固定金利期間選択型」が向いているといえます。

産休・育休や子どもの進学など、個々のライフプランに応じて、「少なくとも今後○年間は返済額の増加で家計を圧迫させたくない」という意向がはっきりしていれば、それに応じて固定金利が適用される期間を選択しやすいでしょう。

6.3.全期間固定金利型が向いている人

「全期間固定金利型」が向いているのは、たとえ当初の適用金利が変動金利タイプや「固定金利期間選択型」よりも高めであっても、完済まで返済額が変わらないという安心感を最優先したいという人です。

また、返済額が変わらないということは返済計画も立てやすく、金利の変動を常に気にかけておくことが難しい人にとっても全期間固定金利は向いているといえるでしょう。

7.住宅ローンの金利を選択する際に気をつけるべきポイント

住宅ローンは人生でもっとも大きな借入れとなる可能性が高く、返済期間も長くなるだけに、金利タイプを決める際に気をつけておくべきポイントがいくつか存在します。それらをしっかりと押さえながら、慎重に最終決定を下すようにしましょう。

7.1.住宅ローンのシミュレーションを行う

住宅ローンの利用を考える際には、金融機関のウェブサイトに設けられているツールを利用し、まずはさまざまな角度からシミュレーションを行ってみることが大切です。新規の借入れなら毎月の返済額や借入可能額を試算できますし、借り換えの場合もその効果を検証することが可能です。

こうしたシミュレーションは、金利のタイプを選択するうえでも参考になってきます。リアルな数字を見ると、適用金利の違いが返済総額にどのような差をもたらすのかも実感できるでしょう。

7.2.ミックスタイプも検討してみる

返済額がずっと変わらないという固定金利タイプの安心感と、当初に適用される金利が低い変動金利の魅力のどちらも捨てがたいという人は、「ミックスタイプ」を選択するのも一考でしょう。「ミックスタイプ」とは、固定金利タイプと変動金利タイプの2つを組合わせて借りられる住宅ローンです。

借入れの一部に変動金利が適用されて金利が低いという変動金利のメリットを享受できる一方、固定金利が適用される借入れもミックスされることで、先々の金利変動リスクを軽減できます。

住宅ローンのミックスタイプについて詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。

8.住宅ローンの金利タイプは自分にあったものを選ぼう

当初の適用金利がもっとも低めに設定される傾向にある変動金利タイプは、将来的に金利が上昇傾向を示すとそれが反映されて返済額も増えるという難点も抱えています。変動金利よりも当初の適用金利が高めであることがデメリットの固定金利タイプは、所定の期間中は返済額が変わらないという安心感も持ちあわせています。

つまり、どちらにも一長一短があるということです。マイホームは人生の中でも非常に大きな買物であるだけに、それぞれのメリットとデメリットをきちんと理解したうえで、自分のニーズに合った金利タイプの住宅ローンを選択することが大事です。

執筆者:大西洋平

プロフィール:
出版社勤務などを経て独立し、フリーのジャーナリストとして「ダイヤモンドZAI」などのマネー誌や、「AERA」、「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌、ネットメディア、企業のオウンドメディアにおいて幅広く執筆中(キャリアは20年超)。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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