2024/09/30
定期預金にデメリットはある?|仕組みやメリットと合わせて詳しく解説
執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)

定期預金は、リスクが低く堅実な資産形成方法として人気がありますが、デメリットとなるような注意しておきたい点もあります。
この記事では、定期預金のデメリットとあわせ、定期預金の仕組みやメリット、おすすめの活用方法を紹介しますので、ぜひ定期預金を検討する際の参考にしてください。
■そもそも定期預金とは
本題に入る前に、そもそも定期預金とは何なのか、簡単に整理しておきましょう。
定期預金は銀行などが提供するサービスの一つで、あらかじめ預ける期間を決めて預金を行うのが特徴です。
いつでも自由に引出せる普通預金と違い、原則として満期までは預け続けることになります。一定期間にわたって制限がかかる分、一般的には普通預金よりも金利が高めに設定されます。
■定期預金のデメリット・注意点
定期預金には「普通預金より金利が高いことが多い」「将来に備えた貯蓄ができる」「元本割れの可能性が低く、低リスクである」など、いくつものメリットがあるため幅広く支持されている一方で、以下のような点には注意が必要です。
- 中途解約時には金利が低くなる可能性がある
- 大きくお金を増やすのは難しい
それぞれどういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
●中途解約時には金利が低くなる可能性がある
定期預金は、あらかじめ「定」めた「期」間、お金を預け続けることを前提とする預金です。期間の途中で解約して引出すこともできますが、その際は元々約束されていた金利ではなく中途解約した場合の金利が適用され、結果的に金利が低くなることが多いので注意しましょう。
なお、中途解約時には、一般的な定期預金は元本割れする(預けたお金が減る)ことはありません。
●大きくお金を増やすのは難しい
多くの定期預金の金利は、普通預金より高めですが、投資信託や株式などの金融商品で資産運用を行う場合と比べると、大きな利益を得るのは難しいといえます。
また、インフレが進行すると、同じ金額でも買える物の量が少なくなったり、質が下がったりします。定期預金などの場合、インフレが進行して物の値段が上がっても、お金の増え方がそれに追いつかず、結果として実質的な資産価値が目減りしてしまう可能性があります。
「リスクとリターンは比例する」という原則があり、定期預金はリスクが低い分、期待できるリターンも低くなることを押さえておきましょう。
■定期預金のメリット
ここまで定期預金のデメリットを紹介してきましたが、以下のようなメリットもあります。
- 元本割れするリスクが低い
- 普通預金より金利が高いことが多い
- 将来設計に合わせて預入期間を選べる
- 手数料がかからない
これらの点に魅力を感じて、デメリットを知りながら定期預金を選んでいる人も多数います。それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
●元本割れするリスクが低い
定期預金は、株式や投資信託などの金融商品に比べて、元本割れのリスクが低いのが特徴です。
一般的な定期預金は、定められた期間が何事もなく経過すれば、預けていた元金と利息が手元に戻ってくる金融商品となっているため、相場の変動に一喜一憂したり、タイミングを見計らったりする必要がなく、「投資はちょっと怖い」「使う予定があるお金だから減らしたくない」という人でも利用しやすいでしょう。
また、万が一預金している金融機関が破綻してしまった場合は、最大で元本1,000万円までとその利息分が保証される「預金保険制度(ペイオフ)」のルールの対象となっており、一定額まで元本が保証の対象となる点も安心です。
ただし、仕組預金や外貨定期預金などのように仕組みが複雑な定期預金は、運用リスクや為替リスクがあり、元本割れになることがあります。
また、ペイオフの対象とならない定期預金もあるため、定期預金を検討する際は、仕組みやリスクをよく理解した上で利用しましょう。
●普通預金より金利が高いことが多い
定期預金は、一般的に普通預金よりも高い金利が設定されます。また、預ける期間が長くなるほど金利が高くなるものが多い傾向です。
金融機関によっては期間限定でキャンペーンを行っていたり、特定の条件を満たした人に優遇措置を用意していたりすることもあるので、うまく使えばよりお得に預金ができるでしょう。
●将来設計に合わせて預入期間を選べる
定期預金は、金融機関が定めた期間の中から、預ける期間を自分で決められます。期間の選択肢も豊富で、多くの金融機関では数ヶ月~数年の間で自分の計画に合った期間を設定できるため、将来に向けた資金確保に向いています。
また、普通預金と違って満期を迎えるまでは引出しにくいため、「お金があるとつい使ってしまう」という人でも貯めやすいでしょう。
●手数料がかからない
通常、定期預金は口座開設時はもちろん、預けるときも引出すときも手数料はかかりません。
いつでも無料で利用できるため気軽に始められます。また、複数の定期預金を同時に利用しても負担になりにくいので、「教育費」「住宅購入費」など貯金の目的ごとに分けて定期預金を管理して、計画的に貯めていくといった使い方もおすすめです。
■定期預金を有効活用するポイント
定期預金の利点を生かしてより活用していくために、以下は知っておきたいポイントです。
- 目的を定めた預金に利用する
- 自動的に預金される仕組みを利用する
- 他の金融商品と使い分け、組み合わせる
- なるべく金利が高い金融機関を選ぶ
それぞれについて解説します。
●目的を定めた預金に利用する
定期預金は、時期と目的を定めた貯金に利用するのがおすすめです。例えば、「3年後に車を買い替えるための費用」や「来年の結婚式のための費用」などです。
普通預金より金利が高めなので、特に「今すぐに使うわけではないけれど数年以内に使う予定がある資金」の“置き場”として最適です。
●自動的に預金される仕組みを利用する
自動積立定期預金など自動的に預金される仕組みを活用することで、コツコツとお金を貯めることができます。
「老後に必要なお金が心配…」
「将来のことを考えてお金を貯めたいけど苦手…」
と思っている人はぜひ活用したい機能です。自分で手間をかけてお金を口座に預ける必要がなく、一定の期間ごとに一定額ずつ自動で預金されるため、意識せずとも貯まっていくのです。
貯金について詳しく説明したコラムもあるので合わせて読んでみてください。
●他の金融商品と使い分け、組み合わせる
定期預金は低リスク・低リターンの金融商品です。安全性に優れていますが、その分収益性は低くなります。また、お金の引出しには一定の制限がかかります。
そのため、定期預金だけを利用するのではなく、「すぐ使うお金は普通預金」「しばらく使う予定がないお金は投資信託などで運用する」など、他の金融商品と使い分けるのがおすすめです。
各金融商品をどのような割合で組み合わせるのが最適かは、人によって異なります。お金を分類して整理し、自分に合ったバランスを考えてみましょう。
●なるべく金利が高い金融機関を選ぶ
定期預金の金利は、各金融機関がそれぞれ独自に設定しています。そのため、同じ「1年定期」であっても、金融機関によって金利が大きく異なる場合があります。
よりお得に定期預金を利用するためには、できるだけ定期預金の金利が高い金融機関を選ぶとよいでしょう。金利は各金融機関の公式サイトなどで公表されているので、手元のスマホなどを使って簡単に比較できます。
■定期預金を選ぶポイント
最後に、定期預金を選ぶ際に確認しておきたいポイントを5つ紹介します。
【定期預金を選ぶポイント】
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預ける期間や金利の高さだけを見て選ぶ人が多いのですが、その他の項目もお金の増えやすさやリスクに影響するため重要です。どのような預金なのかをよく理解した上で利用しましょう。
■まとめ
定期預金は、普通預金より金利が高いなどのメリットがある一方で、一定期間はお金の引出しが制限される、お金が大きく増えにくいなどのデメリットもあります。安全性は高いものの、定期預金も金融商品の一種なので、きちんと内容を理解した上で始めることが大切です。
リスクとリターンを考慮して、他の金融商品と組み合わせて利用するのもおすすめです。特徴を生かしてうまく活用し、資産形成に役立てましょう。