今から100年前「大正時代」はどんな時代だった?物価は?初任給は?
執筆者:株式会社ZUU
2020年7月2日
大正時代を舞台にした少年漫画が人気を博しています。大正時代といえば今からちょうど100年前くらい。当時はどんな時代だったのでしょうか。振り返ってみましょう。
大正時代はどんな時代だった?
「大正デモクラシー」「大正ロマン」など多くの言葉が生まれた大正時代は、1912〜1926年の15年間です。
大正デモクラシーとは、大正時代に起きた政治に関する動きです。大正時代はまだ普通選挙が行われておらず、選挙権を持つのは一部の人たちだけでした。大正末期の1925(大正14)年にやっと普通選挙法が成立し、満25歳以上の男子だけに選挙権が与えられました(女性の選挙権が認められたのは1945年です)。
大正ロマンは、大正時代に花開いた大衆文化の様子を言い表す言葉です。大正時代は仕事をする職業婦人が登場し、洋装に断髪という特徴的な装いが生まれました。西洋文化の影響を受けた装いの彼女たちは、モダンガールと呼ばれました。
大正時代で忘れてはいけないのは、第一次世界大戦が起きたことです。1914(大正3)年から1918(大正7)年の大正初期に起こりました。戦時中は世界的な品不足から、貿易を積極的に行った日本は好景気になりましたが、戦後は大不況に陥ります。
また、第一次世界大戦の反省を踏まえ、1920(大正9)年には、国際連盟が発足します。発足時点で、日本は常任理事国に就任しましたが、昭和に入って脱退しています。
1920(大正9)年には、箱根駅伝の第1回も開催されています。また、ベルギーで開催されたアントワープオリンピックでは、日本人選手がテニスで銀メダルを獲得し、日本初のメダル獲得に日本は熱狂しました。
このように大正時代は、政治においても文化の面でも、大きな変化があった時期といえそうです。
大正時代のお給料やモノの値段は?
ところでこの頃、市民生活はどのようなものだったのでしょうか。
大正末期の大卒サラリーマンの初任給(月給)は、50~60円というデータがあります。また、職業婦人の平均月給はタイピストが40円、電話交換手が35円、事務員が30円だったそうです。
当時と今とでは物の値段がまったく違います。例えば、当時の米の値段は1升(約1.8L、約1.5kg)が50銭でした。タクシーの運行が始まったのも大正時代なのですが、初乗り料金は最初の1哩(約1.6km)が60銭だったそうです。また、純金1gあたりの小売年間最高価格は、1925(大正14)年で1円73銭でした。
ちなみにそれぞれ現在はどうなっているかというと、大卒初任給は21万円程度、米一升で1,000〜2,000円程度、タクシーの初乗りは410〜730円程度、金1gは6,500円程度です(2020年5月上旬現在)。何となく当時の生活がイメージできたでしょうか。
大正時代の「100年先の未来」を生きる私たち では今から100年後はどうなる?
そんな時代から約100年経った2020年。インターネットやスマートフォンなどのおかげで、場所にとらわれず働いたり、遠方の人とコミュニケーションがとれたりと、当時からすると想像もつかないような社会になり、生活のあり方は大きく変わったと言えるでしょう。100年という時間は、私たちの社会をこうも大きく変えるのです。
さて、逆に今から100年後は一体どんな社会になっているのでしょうか。5年、10年ならともかく、50年、100年後を想像するのは簡単ではありません。それはおそらく100年前の人たちが今の社会を想像できなかったのと同じです。
しかしそれでも、ずっと先の未来にも思いをめぐらせてみたいものです。当たり前のことですが、100年後とは、今年生まれた赤ちゃんが100歳になる頃です。自分の子供や孫たちは100年先の時代を生きているかもしれません。そう考えると「100年後」がちょっと身近に感じられないでしょうか。
日々忙しく過ごしていると、なかなか遠い先の未来に思いを馳せることは難しいかもしれません。広く長い視野でものごとを見て、感じて、考え、日々の変化も楽しんでいきたいものです。