2023/07/26
住宅ローンの金利相場は?過去の推移や金利タイプ、選び方、計算方法を紹介
監修者:新井 智美
住宅は高額なので、一括で購入するのが困難な方もいるかもしれません。その場合は、住宅ローンの利用をご検討ください。一括で購入できる場合でも、子どもの教育費などに充当するための資金を手元に残しておくために、住宅ローンを利用するほうがよい場合もあります。
特に、住宅ローンを借入れる際には、「金利相場」を把握することが大切です。
本記事では、住宅ローン金利相場の歴史的推移や、金利タイプごとに現在の相場をご紹介します。金利タイプの選び方や金利の計算方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
住宅ローン金利相場の過去の推移
そもそも金利とは、「借り手から貸し手に支払われる利息(貸借料)の元金に対する割合」を意味し、資金を借入れるうえで必要なコストです。
金利は原則として、市場において需要と供給のバランスによって決まります。過去を振り返ると、住宅ローン金利は時代ごとに大きく変化してきました。
1990年代初頭のバブル期には民間金融機関の住宅ローン金利が高騰し、変動金利型の場合は年8%を超えましたが、バブル崩壊後は景気の悪化とともに金利が低下し、2023年6月時点における住宅ローン金利(変動金利型)は年2.475%の水準になっています。
これまでの住宅ローン金利の推移や今後の見通しについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
住宅ローンの金利タイプ
住宅ローンの金利タイプは、以下の3種類に大別されます。
- 変動金利型
- 固定金利型
- 固定期間選択型
各金利タイプの特徴を、詳しくみていきましょう。
変動金利型
変動金利型は、情勢の変化に伴って定期的に金利が変動するタイプです。通常、金利は半年ごと、毎回の返済額は5年ごとに見直されます。なお、見直し後の返済額は「従前の1.25倍以内」というルールがある場合が多いですが、金利変動の幅には制限がありません。
変動金利型のメリットには、借入後に金利が低下した場合は返済額が減少する点や、他の金利タイプよりも金利が低い傾向にある点が挙げられます。
ただし、借入後に金利が上昇した場合は返済額が増加する、将来の返済額が確定しないため、返済計画を立てにくいなどのデメリットもあるため注意しましょう。
固定金利型
固定金利型とは、借入れの全期間にわたって金利が固定されているタイプです。「全期間固定金利型」とも呼ばれます。
金利が低い時期に借入れると、完済まで低金利のままであることや、将来の返済額が確定しているため、ライフプランを立てやすく家計管理が容易であることがメリットといえます。
ただし、変動金利型や固定期間選択型に比べて金利が高い傾向にある、借入後に金利が低下しても、恩恵を受けられないなどといったデメリットにはご注意ください。
固定期間選択型
固定期間選択型とは、一定期間、固定金利が適用されるタイプのことで、契約時に2年、3年、5年、10年といった期間を選択し、その期間中は金利が固定されます。なお、固定期間終了時に再び固定期間選択型にするか、変動金利型に移行するかを決定します。
固定期間選択型は、固定期間中は、毎月の返済額が確定している、固定期間終了時に金利下降局面になっている場合は変動金利型に移行すれば借換えをしなくても金利低下の恩恵を受けられる、全期間固定金利型より低い金利が適用されるなどがメリットといえます。
ただし、固定期間終了後の返済額が確定しないため返済計画を立てにくい、固定金利期間終了後に優遇幅が縮小され返済額が上昇する可能性があるといったデメリットもあるので注意しましょう。
下表に、ここまで説明した3つの金利タイプの特徴をまとめました。
金利タイプ | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
変動金利型 |
情勢の変化に伴って定期的に金利が変化する |
|
|
固定金利型 |
借入れの全期間、金利が変わらない |
|
|
固定期間選択型 |
一定期間、固定金利が適用される |
|
|
住宅ローンの金利タイプについて詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
現在の住宅ローン金利相場
冒頭で住宅ローン金利の歴史的推移をご紹介しましたが、現在の住宅ローン金利相場はどのようになっているのでしょうか。
以下、金利タイプごとに、全国各地に支店を構えている「都市銀行」、および、インターネットを通じて全国からアクセスできる「ネット銀行」について、2023年6月時点の住宅ローン金利相場(優遇金利適用がある場合は、適用後の数値)をご紹介します。
- ※いずれも新規申込の場合
変動金利型
都市銀行 |
年0.345%~年0.475%程度 |
---|---|
ネット銀行 |
年0.319%~年0.447%程度 |
固定金利型
都市銀行 |
年1.275%~年1.81%程度 |
---|---|
ネット銀行 |
年1.33%~年2.68%程度 |
固定期間選択型(固定期間10年)
都市銀行 |
年0.68%~年1.325%程度 |
---|---|
ネット銀行 |
年0.95%~年2.01%程度 |
ご紹介した数値は、あくまでも「目安」です。銀行ごとに、多種多様なプランが用意されており、利用するプランによって金利が変動することにご注意ください。最新の情報は、各金融機関のウェブサイトで確認しましょう。
住宅ローンの金利タイプの選び方
上述したように、金利タイプには「変動金利型」「固定金利型」「固定期間選択型」の3種類があります。
現在は金利が低くてもこれから金利が上昇する可能性が高い場合は、「固定金利型」や「固定期間を長期に設定した固定期間選択型」を利用するとよいでしょう。
逆に、現在は金利が高くてもこれから金利が低くなる可能性が高い場合は、「変動金利型」か「固定期間を短期に設定した固定期間選択型」の利用がおすすめです。
その他、ご自身のライフプランという観点から金利タイプを選択することも大切です。例えばこれから子どもの教育費がかかる方は、支出のピークが終了するまでは固定金利選択型などで金利を固定するのもよいでしょう。
住宅ローンの利息の計算方法
ここからは、住宅ローンの利息の計算方法を元利均等返済と元金均等返済に分けて解説します。
元利均等返済の場合
元利均等返済とは、毎月の返済額を一定にする方式です。返済額が一定なので、返済計画を立てやすいというメリットがあります。
ただし、返済当初は元金が減らないため元金にかかる利息の総額が多くなり、総返済額が元金均等返済に比べて大きくなります。
以下は、元利均等返済における利息(総返済額の元金に対する実質的な利率)の計算式です。
毎月の返済額={借入金額×(利率/12)×(1+利率/12)返済回数}/{((1+利率/12)返済回数)-1}
元金均等返済の場合
元金均等返済とは、元金を一定の額で返済していく方式です。元金の返済額が一定なので、その分利息も少なくなっていき、総返済額が元利均等返済に比べて小さくなります。
ただし、返済開始をスタートしたばかりの時期は、元利均等返済に比べて毎月の返済額が大きくなるのでご注意ください。
以下は、元金均等返済における利息(総返済額の元金に対する実質的な利率)の計算式です。
毎月の返済額=(借入金額÷返済回数)+(借入残高×利率)×(日数/365)
2つの返済方式のメリットや注意点は以下の記事で詳しく解説しています。
住宅ローンの金利タイプと相場は事前に確認しておこう
過去を振り返ると、住宅ローンの金利が高い時期もあれば、低い時期もありました。永久に同じ金利が続くわけではないため、住宅ローンの借入れを検討している方は、あらかじめ金利の動向をチェックしておきましょう。
なお、住宅ローンの金利タイプには、「変動金利型」「固定金利型」「固定期間選択型」の3種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、特徴を正確に把握したうえで金利タイプを決めることが大切です。
また、金利は金融機関ごとに異なり、プランによっても差があります。本記事でご紹介した相場は、おおよその「目安」であることにご注意ください。