2023/4/20
年収1,000万円の方の住宅ローン借入可能額は?年齢別の目安や決め方をご紹介!
監修者:新井 智美
住宅の購入は、人生でもっとも高額な買い物の一つと言われていますが、年収1,000万円の高所得者の方であっても、「一括払いで購入するのは厳しいので住宅ローンを利用したい」と考えている方がいるかもしれません。
そこで、本記事では、年収1,000万円で住宅購入を検討中の方に向けて、住宅ローンの借入可能額をご紹介します。年齢別の借入可能額の目安や借入額の決め方も解説するので、ぜひ参考にしてください。
年収1,000万円の方の住宅ローン借入可能額は?
年収1,000万円の方が借入れできる住宅ローンの借入額を、「最大借入額」と「無理なく返済できる最適な借入額」の2パターンに分けて紹介します。
最大借入可能額
金融機関が住宅ローンの審査(融資可能額の判断)を行う際に参考にする数値に、「年収倍率」があります。年収倍率とは、購入する予定の住宅の価格が、年収の何倍であるかを表す数値です。
金融機関によって異なりますが、一般的には「住宅ローンの借入額は、年収倍率の約7倍までが借入可能」とされています。つまり、年収1,000万円の場合、「7,000万円」が最大借入可能額の目安といえます。
なお、auじぶん銀行の「住宅ローンシミュレーション」を用いて、「借入額7,000万円」「借入期間35年」「全期間引下げプラン・変動金利 年0.389%(2023年4月適用)」「元利均等返済」「ボーナス返済なし」という条件で試算したところ、毎月の返済額は「178,296円」と算出されました。
- ※借入利率が期間中に変動しない場合
無理なく返済できる最適な借入額
住宅ローンの返済に関する用語の一つに、「返済比率」があります。返済比率とは、年収に占める年間返済額の割合を表す数値です。無理なく住宅ローンの返済を行うためには額面年収ではなく「手取り年収」を用いて、計算した返済比率が20~25%以下になるよう借入額を決めることが推奨されています。
年収1,000万円の場合、手取り年収は約730万円になるため、年間返済額が「730万円×0.25=182.5万円」(毎月の返済額が「152,083円」)よりも低い場合は、返済比率が25%以内になります。
- ※手取り年収は配偶者や子どもの有無等で変わります。
なお、auじぶん銀行の「住宅ローンシミュレーション」を用いて、条件を「毎月の返済額15万円・ボーナス返済なし」「借入期間35年」「全期間引下げプラン・変動金利 年0.389%(2023年4月適用)」「元利均等返済」で試算したところ、無理なく返済できる借入額は5,880万円と算出されました。
- ※借入利率が期間中に変動しない場合
【年齢別】年収1,000万円の方の住宅ローン借入額の目安は?
住宅ローンは、何歳であっても借入れを行えるわけではありません。金融機関によって借入れできる年齢は異なりますが、借入時および返済完了予定時に関する「年齢制限」が設けられています。
例えば、auじぶん銀行の条件は、「最終返済時が満80歳の誕生日まで」です。
定年退職の概念がない企業の経営者などの場合は、最終返済時を79歳に設定しても問題ないと思われる方もいるかもしれません。しかし、会社員や団体職員(病院職員、学校職員など)、公務員などのサラリーマン(給与所得者)は、基本的に定年退職後は年金に頼る生活となるため、現役時代と同じ金額を返済し続けるのが困難な可能性もあります。
そこで、auじぶん銀行の「住宅ローンシミュレーション」を用いて、「65歳までに完済する」「毎月の返済額15万円(ボーナス返済なし)」「全期間引下げプラン・変動金利 年0.389%(2023年4月適用)」「元利均等返済」という条件で、年齢別に「無理なく返済できる借入額の目安」を試算した結果を下表にまとめました。
- ※すべて借入利率が期間中に変動しない場合
借入時の年齢 | シミュレーションの内容・結果 |
---|---|
30歳 |
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35歳 |
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40歳 |
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上表の内容は、あくまで参考値です。昨今、定年退職後に再就職して働き続ける方も増えています。各金融機関が提供しているシミュレーターを活用し、ご自身の状況に応じて、さまざまな条件を変えて試算しましょう。
年収1,000万円の方が住宅ローン借入額を決める際のポイント
以下は、年収1,000万円の方が住宅ローン借入額を決める際のポイントです。
- 借入額を年収の7倍までに設定する
- 返済比率は20~25%以下になるように借入額を設定する
- 定年退職までに完済できる借入額に設定する
それぞれについて詳しく説明します。
借入額を年収の7倍までに設定する
金融機関によって差があるものの、一般的には年収倍率が7倍を超えない金額までが借りることができる金額とされています。
年収倍率のみで審査が実施されるわけではありませんが、無理なく返済できると判断してもらうためには、借入額を年収の7倍までに設定しましょう。
返済比率は20~25%以下になるように借入額を設定する
借入額は年収の最大7倍までに設定することを前章でおすすめしましたが、この数値はあくまでも「最大借入可能額」です。しかし、借入れることが可能という点をクリアしても、それだけでは不充分であり、返済していけるのかどうかも検討しなければなりません。
例えば、auじぶん銀行の「住宅ローンシミュレーション」を用いて、「借入額7,000万円」「借入期間35年」「全期間引下げプラン・変動金利 年0.389%(2023年4月適用)」「元利均等返済」「ボーナス返済なし」という条件で試算すると、毎月の返済額は「178,296円」(年間返済額は「2,139,552円」)になります。
- ※借入利率が期間中に変動しない場合
借入時にはこの金額であれば支払えると考えていても、20年後、30年後の未来は誰にも予測できません。「勤務先企業の倒産」などの事情により、現在と同じ収入を確保し続けられないケースや、子どもの教育費や老後資金など、住宅ローンの返済以外にもさまざまな資金が必要になるかもしれません。
そのため、長期間、無理なく返済できる金額という観点から、返済比率(手取り年収に占める年間返済額の割合)は20~25%となるように借入額を設定することが推奨されています。
額面年収1,000万円(手取り収入は約730万円)の場合、「毎月の返済額が152,083円(年間返済額が182.5万円)よりも低ければ、理想的な返済比率になります(年0.389%で借入れかつ借入金利が期間中変動しない場合)。しかし、生活スタイルなどの違いにより実際に毎月返済できる金額は人によって異なるため、ご自身で各金融機関のシミュレーターで試算を行い、借入額を決めましょう。
定年退職までに完済できる借入額に設定する
高年齢者雇用安定法により、事業主に対して「65歳までの安定した雇用」を確保する義務が課されています(2023年3月時点)。なお、同法において「70歳まで雇用する努力義務」が定められているものの、あくまでも「努力義務」であり、65歳以降に関しては雇用が継続されない可能性があります。
今後の法整備の動向を注視しつつも現行法でのルールを正しく把握したうえで、定年退職(あるいは継続雇用終了)を迎える年齢までに住宅ローンを完済できるようにしましょう。
年齢ごとに借入額の目安が異なることを認識したうえで契約しよう
年収1,000万円の方が無理なく返済できる毎月の返済額の目安は、おおよそ152,083円以下です(年0.389%で借入れかつ借入金利が期間中変動しない場合)。最大借入可能額は年収の7倍が目安ですが、子どもの教育資金や老後資金なども必要になることや、定年退職後は現役時代と同様には返済できない可能性があることを考慮し、上限までは借入れないほうがよいかもしれません。
大切なのは、「現在の年齢から定年退職までに何年残されているのか」「毎月の返済額を152,083円以下にする」という点から逆算し、無理のない借入額に設定することです。各金融機関の公式ウェブサイト上で提供されているシミュレーション機能を活用して、ご自身に適した借入額を見極めてください。
なお、借入額に関して悩みがある場合は、1人で考え続けるのではなく、金融期間の窓口やファイナンシャルプランナーなどの専門家に質問・相談してアドバイスをもらいましょう。