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特集 | 住宅ローン

2023/3/16

住宅ローンの「収入合算」と「ペアローン」の違いは?メリットや注意点を紹介

監修者:竹下 昌成

総務省統計局「労働⼒調査特別調査」によると、1980年には、日本における専業主婦世帯は1,100万世帯を超えていました。

しかし、年々、専業主婦世帯の割合が減少し、2021年には566万世帯になっています。他方、共働き世帯は1,247万世帯に達しており、もはや当たり前になっていると言えるでしょう。
参考:総務省統計局「労働⼒調査特別調査」

共働きで夫婦双方に収入がある場合、住宅ローンの「収入合算」や「ペアローン」を活用すれば、借入可能な金額が大きくなるため、希望する物件に手が届きやすくなります。また、夫婦の関係だけではなく、親子などでも「収入合算」や「ペアローン」を利用すれば、借入額を大きくすることが可能です。なお、「収入合算」や「ペアローン」を利用して、結果として無理な借入れになるケースもあります。月々の返済はどのくらいであれば問題ないか熟慮のうえ、「収入合算」や「ペアローン」を検討しましょう。

しかし、「収入合算とペアローンの違いがよくわからない」「自分たちの場合、どちらが向いているのだろうか」と悩む方もいるかもしれません。

本記事では、住宅ローンの借入れを検討している方に向けて、「収入合算」と「ペアローン」の違いを解説します。各メリットおよびデメリット、注意点も紹介するので、参考にしてください。

住宅ローンの「収入合算」と「ペアローン」の違い

住宅の購入は一般的には「人生でもっとも高い買い物」と言われており、住宅ローンを利用する方が多いでしょう。一方で、住宅ローンに関して、ひとりで借入れをすることに不安を感じたり、審査が通るのか気になったりする方もいるのではないでしょうか。

しかし、「収入合算」や「ペアローン」の手法により、夫婦や親子などと協力して利用することも可能です。

「収入合算」も「ペアローン」も単独で利用する場合に比べて借入額を増やせますが、両者にはさまざまな違いがある点にご注意ください。

収入合算とは?

収入合算とは、申込者の収入だけに基づいて審査が実施されるのではなく、親族(夫婦や親子など)の収入を合算し、金額に基づいて住宅ローンの審査が実施され、借入可能額が決定される方法です。なお、収入合算者は、連帯保証人になることを求められます。

金融機関によっては、法律上の親族に限定されず、「同居予定の婚約者(入籍を証明する書面の提出を求められる場合あり)」や「同性パートナー(公正証書などの提出が必要)」の収入を合算できる場合もあるので、各金融機関のウェブサイトで詳細(収入合算者として認められる人物の範囲や条件)を確認してください。

ペアローンとは?

ペアローンとは、同一物件に対して、親族(夫婦や親子など)と、個々人の収入を基準に、合計で「2本」の住宅ローンを組む方法です。収入合算とは異なり、両者とも「主たる債務者」となり、互いに相手の連帯保証人になると理解しておきましょう。

なお、ペアローンに関しても、金融機関によっては「同居予定の婚約者」や「同姓パートナー」の関係であっても利用できる場合があります。詳細は、各金融機関のウェブサイトを確認してください。

収入合算のメリット

収入合算の主なメリットは、「ペアローンと比較して諸費用が安く済む」点です。

ペアローンと比較して諸費用が安く済む

収入合算の場合、住宅ローン契約の本数は、申込者(主債務者)の「1本」になります。そのため、契約に伴って必要になる諸費用(事務手数料、保証料、登記にかかる登録免許税、司法書士への報酬、印紙税など)が、契約が2本となるペアローンと比較すると、諸費用が抑えられることがメリットです。
「諸費用を節約しつつ、借入可能額を増額したい」と考えている方は、収入合算の利用を検討するとよいでしょう。

収入合算のデメリットと注意点

収入合算には、メリットだけではなく、「収入合算者は住宅ローン控除の適用対象外」「収入合算者は団信の保障を受けられない」デメリットと注意点も存在と理解しておきましょう。

収入合算者は住宅ローン控除の適用対象外

収入合算の場合、住宅ローン控除の恩恵を受けられるのは、申込者(主債務者)のみです。

収入合算者は連帯保証人ではあるものの、住宅ローンの主債務者ではないため、住宅ローン控除が適用されない点にご注意ください。

収入合算者は団信の保障を受けられない

収入合算の場合、基本的に団体信用生命保険に加入できるのは主債務者のみです。多くの住宅ローンでは、収入合算者は、団体信用生命保険に加入できません。そのため、収入合算者に万が一のことがあっても、団体信用生命保険による保障を受けることは出来ません。不安を感じる方は、別途「収入合算者が団体信用生命保険以外の生命保険に加入する」対応が必要になります。

なお、金融機関によっては、「連生団体信用生命保険」が取り扱われているケースがあると覚えておきましょう。連生団体信用生命保険とは、主債務者ではない方に万が一のことがあった場合でも、住宅ローンの債務が免除される団体信用生命保険です。

連生団体信用生命保険に加入しておけばデメリットを打ち消せますが、取り扱われていない金融機関も多いです。また、取り扱いがある場合も保険料が金利に上乗せされる場合が多いので、あらかじめ各金融機関に確認してください。

ペアローンのメリット

ペアローンの主なメリットは、「両者が住宅ローン控除の恩恵を受けられる」「ペアの両者が団信による保障を受けられる」の2つです。

両者が住宅ローン控除の恩恵を受けられる

上述したように、ペアローンでは、ペア(夫婦や親子など)の両者が「主債務者」になり、合計で「2本」の住宅ローンを組むことになります。

両者とも住宅ローン控除の恩恵を受けることが可能で、世帯全体で大きな節税効果が期待できると認識しておきましょう。

ペアの両者が団信による保障を受けられる

ペアローンでは、ペア(夫婦や親子など)の両者が団体信用生命保険に加入します。

ペアローンを組む一方に万が一の事態(「死亡」「所定の高度障害状態になる」など)があった場合、契約者(債務者)の分の債務は完済されますが、もう一方のローンは残ると覚えておきましょう。

住宅ローンの返済期間は、20年あるいは30年以上の長期にわたるケースもあります。契約時には健康に自信があっても、年齢を重ねるにつれて、病気になる可能性が高まります。

団体信用生命保険にペアの両者が加入でき、保障(万が一の際の債務免除等)を受けられることは大きなメリットでしょう。

ペアローンのデメリットと注意点

ペアローンには、メリットだけではなく、「ローン2本分の諸費用がかかる」「両者とも、団信への加入が必要」といったデメリットと注意点があると把握しておきましょう。

ローン2本分の諸費用がかかる

上述したように、ペアローンの場合、ペア(夫婦や親子など)の両者が主債務者となり、合計2本の住宅ローンを組むことになるため、諸費用が2本分かかります。

しかし、ペアローンでは、ペアの両者が住宅ローン控除の恩恵を受けられます。「諸費用の合計」と「住宅ローン控除で減税される金額の合計」を比較し、メリットがデメリットを超えるかどうかを慎重に検討しましょう。

収入合算が向いている例と、ペアローンが向いている例

では、収入合算が向いている例と、ペアローンが向いている例を紹介します。

収入合算は、ペアローンよりも諸費用を抑えつつ、単独での借入れよりも借入額を増額できる可能性があることがメリットです。単独で借りられるか不安だけど手数料を抑えたい方は収入合算を検討すると良いでしょう。

住宅ローン控除をフル活用したいのであれば、ペアローンがおすすめです。収入合算の場合、主債務者しか住宅ローン控除が適用されないため、世帯全体としては節税効果が限定されてしまいます。

ペアローンを組めば、両者が住宅ローン控除の恩恵を受けられるので、トータルでは大きな減税効果が期待できると認識しておきましょう。

例えば、2023年末までに「長期優良住宅・低炭素住宅」に入居した場合、毎年、年度末の住宅ローン残高の0.7%が控除されるため、年間控除額の上限は35万円となり、控除期間(13年間)の合計控除額は1人あたり最大455万円、ペアローンなら2人あわせて最大910万円の控除になります。

一方、収入合算の場合は主債務者にしか控除が適用されないため、世帯全体として13年間で最大455万円までしか控除を受けられません。

住宅の性能や入居時期などによって、住宅ローン控除の対象となる年末残高の上限や、最大の控除額が異なるので、詳細は国土交通省のウェブサイトを確認してください。

なお、収入合算・ペアローンともに出産や育児などで片方が一時的に専業主婦(主夫)になる可能性がある場合は、世帯収入が減少したタイミングでも家計が圧迫されないように、慎重に毎月の返済額を設定してください。

メリットと注意点を把握し、ご自身に適した住宅ローンを組みましょう

「住宅ローンを組もうと考えているけれど、1人分の収入で審査を受けても、希望する物件の購入価格を借入れできるか不安」と悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。そうした場合は、収入合算やペアローンといった借入方法を活用することで、借入可能額を増やせる可能性があります。

本記事で紹介したように、収入合算にもペアローンにも、メリットだけではなく、デメリットと注意点があります。ご自身やペア相手(夫婦や親子など)と人生設計や節税効果などをふまえ、慎重に借入方法を選択してください。

なお、金融機関によって、ペア相手に設定できる人物の範囲や条件が異なります。例えば同性パートナーでもペアとして認められるケースもあります。

「法律上の親族ではないから、収入合算やペアローンを利用するのは無理だろう」と諦めずに、各金融機関のウェブサイトを確認してください。

監修者:竹下 昌成
顔写真:監修者:竹下 昌成

プロフィール:
竹下FP事務所代表、TAC講師、㈱メディエス代表取締役。兵庫県西宮市在住、昭和46年生まれ、立教大学卒業後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績。30歳でサラリーマン投資家として大家業をスタート、38歳で本格化、45歳でFIRE。現在は大家業をメインに講師や執筆監修活動、相談業務。

資格情報:CFP®、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザーほか

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借入可能金額や、月々の借入金額をシミュレーションしましょう

「収入合算」と「ペアローン」の違いやメリット・デメリット、注意点などが分かりましたね。
「収入合算」や「ペアローン」を活用することでどのくらい借入可能金額が変わるのか、また月々の返済額がどのくらいになるのか、シミュレーションで確認してみましょう。

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