2022/10/4
住宅ローンの借換えタイミングはいつがベスト?注意点もご紹介
監修者:浦上 登
住宅ローンを借換えると、支払う利息を減らせるケースがあります。
しかし、タイミングによってはあまり利息削減の効果を得られなかったり、手間がかかるだけでメリットがなかったりする場合もあります。
本記事では、住宅ローンの借換えタイミングはいつがベストなのか解説します。借換えによって得られるメリットや想定されるデメリットも紹介するので、参考にしてください。
住宅ローンを借換えする目的とは?
住宅ローンは必ず借換えなくてはいけないものではありません。
しかし、借換えをすると毎月の返済額を減らしたり、返済期間を短縮したりできる可能性があります。
住宅ローンは他のローンと比べて借りる金額が多く、返済期間も長くなることが一般的です。返済している間に収入や家族構成、家計状況などが変わり、住宅ローンの契約内容が合わなくなることもあるでしょう。
そうした際に借換えを検討し、現況に合った住宅ローンに変更できます。つまり、住宅ローンの借換えの目的は、現況に合わせた住宅ローンの見直しです。
よりご自身に合う住宅ローンを利用するためにも、他の金融機関も視野に入れ、幅広い選択肢から借換え先を検討しましょう。
住宅ローンを借換えするメリットとデメリット
住宅ローンを借換えると、よりご自身に合う返済方法や借り方に変えることができます。まずは住宅ローンの借換えを行う前に、どういったメリットやデメリットがあるのかチェックしましょう。
住宅ローンを借換えるメリット
住宅ローンを借換えると、以下のメリットを得られる可能性があります。
- 総返済額を減らせる
- 毎月の返済額を減らせる
- 返済期間を短縮できる
- 金利タイプを変更できる
- 団体信用生命保険の保障内容を変更できる
借換え先の住宅ローンの金利が現在の金利よりも低いときは、総返済額を減らすことができる場合があります。借入期間が同一であれば、毎月の返済額は現在よりも減るケースが多いため、家計に余裕が生まれます。
なお、毎月の返済額を増やし、返済期間を短くすることも可能です。返済期間があまりにも長いと、老後の資金計画に影響が及ぶ場合もあります。毎月の返済額を増やして返済ペースを速めれば、老後資金や子どもの教育資金などを貯める時間を作りやすくなるでしょう。
また、借換えの際に、金利タイプの変更もできます。例えば、現在の金利タイプが変動金利であれば、将来的に金利が変わる可能性もあるため、詳細な返済計画を立てづらく、老後資金などの計画も立てづらいでしょう。
しかし、借換えによって固定金利に変えるなら、利用前に正確な総返済額を把握でき、返済計画や他の資金計画も立てやすくなります。
借換えのタイミングで、団体信用生命保険の保障内容を見直すこともできます。金融機関で住宅ローンを借り入れた後、団体信用生命保険を変更することは出来ないケースが一般的なので、借換えのタイミングで団体信用生命保険を見直すことが出来るのもメリットです。保障適用の条件を三大疾病やケガなどにも拡大すると、より大きな安心を得られるでしょう。また、現在、団体信用生命保険に加入していないのであれば、加入することで死亡した場合や高度障害状態になった場合に返済を免除されるようになります。
住宅ローンを借換えるデメリット
住宅ローンの借換えで生じる主なデメリットは以下です。
- 諸費用がかかる
- 審査に通過する必要がある
- 手間や時間がかかる
- 住宅ローン控除額が減ることがある
住宅ローンを借換える際、金融機関に支払う事務手数料や保証料、抵当権を変更する際の登記関連費用など諸費用がかかるため、少々金利が下がる程度では、借換えても支払い額が減る効果は得られない場合もあります。
諸費用も含めてどの程度支払額が変わるのかシミュレーションしておきましょう。
また、借換えには審査が必要です。審査に通過しない場合は借換えができず、現状に合わせた住宅ローンに変更もできません。
手間や時間がかかることもデメリットです。借換えには、住宅ローンを新たに契約するだけでなく、現在の住宅ローンの解約も含まれます。提出する書類も多くなるため、手間が多く利用しづらいと感じるかもしれません。
もし現在、住宅ローン控除が適用されている場合は、借換えると住宅ローン控除額が減ることもあります。住宅ローン控除額は年末時の住宅ローンの残高の影響も受けるため、借換えによって返済ペースが速まり、住宅ローン残高も少なくなると控除額が減る場合があります。
住宅ローンを借換えるならタイミングはいつがいい?
住宅ローンの借換えによって多くのメリットを得るためにも、適切なタイミングを見極めることが大切です。借換えに適した4つのタイミングを紹介します。
- 低金利の住宅ローンに出会ったとき
- 変動金利の金利が変わるとき
- 住宅ローンの固定期間が終わったとき
- 毎月の返済が厳しくなりそうなとき
低金利の住宅ローンに出会ったとき
金融機関では時期に合った住宅ローンを提供しています。最初に住宅ローンを借りたときにはなかったような低金利の住宅ローンや、保障が充実した住宅ローンが見つかる場合もあります。
金利や貸付条件は住宅ローンごとに異なるため、少しタイミングがずれるだけで、同じ住宅ローンでも適用金利や条件が変わってしまう場合があります。
条件の良い住宅ローンに出会えたときは、早めに金融機関に相談し、借換えるほうが良いかシミュレーションしてもらいましょう。
変動金利の金利が変わるとき
変動金利で住宅ローンを借りている場合は、定期的に金利の見直しが実施されます。見直し後の適用金利が現在の金利よりも高くなるケースもあるため、ご注意ください。金利変更のルールは、住宅ローンの契約書にも記載されているので、確認してみましょう。
なお、変動金利の金利は、基本的には短期プライムレートに連動していることが一般的です。ウェブサイトなどで確認し、以前よりも上昇しているときは住宅ローンの適用金利も高くなると予想できるでしょう。
住宅ローンの金利が高くなりそうなときは、変動前に他の住宅ローンへの乗り換えも検討できます。よりご自身に合う条件で利用できる住宅ローンがないか、探してみましょう。
住宅ローンの固定期間が終わったとき
固定金利選択型の金利タイプを選んでいるときは、固定期間が終わったタイミングで他の住宅ローンへの乗り換えを検討するのも良いでしょう。
固定金利選択型では最初の数年は固定金利で返済しますが、優遇金利が適用されているため、全期間固定型よりも低金利で利用できることがあります。
固定期間が終了すると適用金利が高くなる可能性があり、現在よりも利息の負担を感じる可能性があると知っておきましょう。
毎月の返済が厳しくなりそうなとき
収入が減り、住宅ローンの返済が難しくなることもあります。例えば、育児に専念するために夫婦のいずれかが仕事を辞めたときや、残業のない部署に異動になったときは手当が期待できず、収入が減ることが予想されるでしょう。
住宅ローンを借換えると、毎月の返済額を減らすことも検討できます。返済に行き詰まり滞納してしまうと、遅延損害金が発生するだけでなく、住宅を失うことにもなりかねません。無理なく返済し続けるためにも、収入減が予想されるときは早めに借換えを視野に入れましょう。
住宅ローンを借換えるなら事前シミュレーションしよう
住宅ローンを借換えるときは、事前のシミュレーションが大切です。金利や金利タイプ、毎月の返済額、ボーナス時の返済額が変わると、総返済額が減ることもあれば、増えることもあり、家計への影響も大きく変化します。
住宅ローンを提供している金融機関では独自のシミュレーションツールを公開していることが多いので、借換えを検討している金融機関のウェブサイトでチェックしてみましょう。
auじぶん銀行のシミュレーションでは、借換えの際の事務手数料や登記費用も含めてどの程度支払額が変わるのか調べることができます。
総返済額が減っても総支払額が増えることもあるので、シミュレーションを利用するときは借換え時の諸費用が含まれているか確認しておきましょう。
例えば、2,000万円を借換える場合をシミュレーションしてみましょう。適用金利が年1.5%から年0.41%、返済期間が20年の場合、ボーナス払いを利用しないならば、諸費用も含めて1,722,545円も総支払い額を減額できます。
借換え前 | 借換え後 | |
---|---|---|
借入れ金額 |
2,000万円 |
2,000万円 |
適用金利 |
年1.5% |
年0.41% |
返済期間 |
20年 |
20年 |
毎月の返済額 |
96,509円 |
86,810円 |
総返済額 |
23,162,045円 |
20,834,500円 |
事務手数料 |
- |
440,000円 |
登記関連費用(概算) |
- |
165,000円 |
総支払い額 |
23,162,045円 |
21,439,500円 |
- ※本シミュレーションは2022年9月時点のもので、実際の事例と異なる場合がございます。
- ※登記関連費用、火災保険の保険料などの諸費用は含まれておりません。
住宅ローンを借換える際の注意点
住宅ローンを借換える際には、以下の点にご注意ください。
- 諸費用を含めてシミュレーションする
- 変動後の金利も考慮する
変動後の金利も考慮する
変動金利の住宅ローンに借換える際は、変動後の金利も考慮しておく必要があります。シミュレーションツールによっては、住宅ローン利用後に金利が変動したケースも表示できるものがあります。金利が高くなっても乗り換えるほうがお得なのか、調べておきましょう。
住宅ローンの借換えは慎重に選ぼう
住宅ローンを借換えると総返済額を減らせる場合もありますが、諸費用を含めるとあまりメリットがないこともあります。借換えるほうが良いか迷ったときは、諸費用も含めてシミュレーションしましょう。