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住宅ローンの借換え手数料とは?支払い方法と注意点も確認しよう

執筆者:中田 真(ファイナンシャルプランナー)

2021年8月26日

住宅ローンを比較する場合、適用される金利に注目する方は多いのではないでしょうか。しかし、比較して借換えを検討したとしても、住宅ローンの新規契約や借換えの手続きでは手数料や諸費用が必要です。また、その金額は金融機関によって異なります。今回は、住宅ローンの新規契約や借換えの手続きに必要な手数料や諸費用について解説します。

新規住宅ローンの手続きで発生する手数料

住宅ローンの新規契約や借換えなどの手続きで発生する主な費用について確認します。
住宅ローンを新規契約した場合に発生する主な費用は、以下の通りです。

印紙税

印紙税は、作成する契約書や領収書など特定の文書に課税される税金です。印紙税額は住宅ローンの借入額(契約書に記載される金額)によって異なります。なお、紙の契約書が発行されない金融機関等(ネット銀行など)では印紙税はかかりません。契約書へ印紙の貼付が発生しないためです。

(表1:住宅ローンの借入額に対する印紙税額の例)

住宅ローンの借入額 印紙税額

100万円超、500万円以下

2,000円

500万円超、1,000万円以下

1万円

1,000万円超、5,000万円以下

2万円

5,000万円超、1億円以下

6万円

1億円超、5億円以下

10万円

5億円超、10億円以下

20万円

  • 2021年8月現在

保証料

保証料は、住宅ローンの返済がやむを得ず滞ってしまった場合、保証会社に保証を依頼する(保証会社が代わりに借入金を完済する)ための費用です。保証会社に支払います。保証料は、借入額や返済期間などによって異なります。

ただし、返済がやむを得ず滞ってしまい保証会社が住宅ローン残高を立て替えたとしても、返済が免除されるわけではありません。住宅ローンの返済先が金融機関から保証会社に変わります。
なお、ネット銀行など保証会社を持たない銀行などでは、保証料がかからない場合もあります。

事務手数料

住宅ローンに関する事務費用として支払う手数料です。金融機関によって名称は異なりますが、「事務手数料」「融資手数料」などが該当します。

事務手数料は借入金額に関係なく一定の金額を支払う「定額型」、借入金額に対して一定の割合で支払う「定率型」の2種類に分けられます。

現住宅ローンの完済手続きで発生する手数料

返済中の住宅ローンの完済手続きで発生する手数料について確認します。

全額繰上返済手数料

現住宅ローンの残債を一括して返済する際に発生する手数料です。手数料の金額は金融機関によって異なりますが、一部の金融機関では無料の場合もあります。

保証会社事務手数料

全額繰上返済に伴い、保証料返戻手続きの事務費用として支払う手数料です。一般的に、保証料の支払い方法が一括前払い型の場合は、所定の計算方法で計算された保証料が返戻されます。保証料金利上乗せ型の場合は、保証料の返戻はありません。

登記手続きでかかる2つの手数料

住宅ローンを利用する場合、自宅を担保に入れる必要があります。その際に抵当権の設定登記が必要となり、登記の手続きの際に手数料が発生します。また、借換えの場合は、現在借入れ中の金融機関の抵当権を抹消し、新しく借りる金融機関の抵当権を設定しなければなりません。

抵当権抹消費用

住宅ローンを完済後、設定されている抵当権を抹消する手続きに必要な費用です。抵当権の抹消登記は登録免許税を納付する必要があり、税額は抵当権を抹消する不動産1つ(土地であれば1筆、建物であれば1棟)につき1,000円となります(20個以上の不動産の抵当権を抹消する場合は、20,000円となります)。なお、司法書士等に登記を依頼した場合は、別途報酬を支払う必要があります。

抵当権設定費用

住宅ローンの契約時に、抵当権を設定する手続きで必要な費用です。抵当権の抹消登記と同様、抵当権の設定登記においても登録免許税を納付する必要があります。税額は、借入金額(債権金額)に税率0.4%を乗じた金額です。
なお、司法書士等に登記を依頼した場合は、別途報酬を支払う必要があります。

借換え手数料の2つの支払い方法

住宅ローンを借換えた場合の手数料の支払い方法について確認します。

住宅ローンに含めて支払う

住宅ローンの借換え手数料を借入金額に含める方法です。自己資金から手数料を支払う必要がないというメリットがあります。一方で、住宅ローンの残高が増えてしまうデメリットもあります。

自己資金から支払う

借入金額とは別に自己資金から支払う方法です。住宅ローンの残高が増えないメリットはありますが、自己資金(手数料分の金額)を準備する必要があるというデメリットもあります。

借換え時の返済シミュレーション

現在借り入れている住宅ローンから、他の金融機関の住宅ローンに借換えた場合の返済シミュレーション例を見てみましょう(手数料などを含みます)。

【住宅ローン借換え前後の返済シミュレーション例(※1)】

  • 現在借り入れている住宅ローン
    住宅ローン残高:3,000万円
    借入残期間:30年
    返済方法:元利均等方式
    金利:年2.0%(全期間固定)
    毎月の返済額(概算):110,885円(ボーナス返済なし)
  • 借換え先の住宅ローン
    住宅ローン借入額:3,000万円
    借入期間:30年
    返済方法:元利均等方式
    金利:年1.5%(全期間固定)
    ボーナス返済なし
    借換え手数料などの諸費用総額:90万円(自己資金から支払う)

(表2:住宅ローン借換え前後の返済シミュレーション例)

借換え前 借換え後 軽減額
返済総費用 39,918,769円 38,172,768円(※2) 1,746,001円
毎月返済額 110,885円/月 103,536円/月 7,349円/月
年間返済額 1,330,620円/年 1,242,432円/年 88,188円/年

上記の条件で住宅ローンの借換えをした場合、住宅ローン借換え後の返済総費用は、1,746,001円軽減できることになります。

  1. ※1住宅ローン借換え前後の返済シミュレーション例で用いた数値、結果等については、すべて概算となります。
  2. ※2借換え後の返済総費用=借入金額+利息+借換え手数料+登記関連費用など

住宅ローン借換え時の注意点

住宅ローンの借換えにおける主な注意点を解説します。

1.金利差だけでなく、手数料なども考慮する
住宅ローンの借換え前後の金利差も大切ですが、住宅ローンの借換えには、手数料が発生します。手数料や諸費用なども考慮し、総合的に計算した上で借換え先を選択しましょう。

2.借換え先でも審査がある
最初に住宅ローンを借入れしたときと同じように、借換え先の金融機関でも新たに審査を受ける必要があります。現在の住宅ローン以外の借入れや転職・転籍、健康状況などによって、審査結果に影響を及ぼす可能性があります。また、現在の住宅ローンで返済が滞ってしまっている場合なども、借換え先の審査に影響がある可能性があります。

住宅ローンの借換えは総合的に判断する

住宅ローンの借換えで考慮すべきなのは、借換え前後の金利差だけではありません。ほかに、借換え時に発生する手数料や住宅ローン残高、返済残年数なども考え、借換えの必要性の有無や借換え先を総合的に判断することをおすすめします。また、一部の金融機関のホームページでは住宅ローンの借換えシミュレーションを行うことができますので、ぜひ活用してみましょう。

ライター:中田 真
顔写真:ライター:中田 真

プロフィール:
中田FP事務所 代表/CFP®認定者/終活アドバイザー/NPO法人ら・し・さ 正会員/株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師/日本FP協会 くらしとお金のFP相談室 相談員(2020年)/日本学生支援機構認定 スカラシップ・アドバイザー(平成29年10月認定)/元システムエンジニア・プログラマー
給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンでしたが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP®資格を取得。
現在、生活に身近なお金・終活・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。

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