2026年3月9日(2024年5月31日公開、2026年3月9日更新)
住宅ローンを借り換えるタイミングとは?注意点も紹介
執筆者:新井智美(ファイナンシャル・プランナー)
所要時間:11分
借り換えタイミングについて知りたい方におススメ
住宅ローンの借り換えとは、現在借り入れている金融機関とは別の金融機関で住宅ローンを組み直すことです。
借り換えの際には、現在借り入れている残債を一括返済しなければなりませんが、新たに組んだローンの条件が良ければ、その後の毎月の返済額を減らすこともできるなど、多くのメリットがあります。
ただ、借り換えるのはいつでもよいわけではありません。住宅ローンの借り換えにはタイミングがあり、それを見誤ると想定したメリットが受けられない可能性もあります。
今回は、住宅ローンの借り換えを検討している人に向けて解説するとともに、得られるメリットや注意点を合わせて紹介します。
■住宅ローンを借り換えるタイミングとは?
一般的に住宅ローンを借り換えるタイミングは、残りの返済期間が10年以上かつ残高が1,000万円以上あるときです。また借り換え先との金利差が年0.5%以上あると総返済額が下がる可能性が大きいでしょう。
また、固定期間選択型を利用しており、その固定期間が終了する時も借り換えを考えるのに適したタイミングといえるでしょう。
■住宅ローンの借り換えで得られるメリット
住宅ローンの借り換えで得られるメリットは、以下のとおりです。
- 毎月の返済額を削減できる
- 金利タイプを変更できる
- 団体信用生命保険の保障内容を充実させることができる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
●毎月の返済額を削減できる
今よりも低い金利の住宅ローンに借り換えることにより、毎月の返済額を減らすことができます。借り換えを考える多くの人が、毎月の返済負担を軽くしたいと思っているのではないでしょうか。
例えば、現在4,000万円を年利1.834%、返済期間35年、元利均等返済で借り入れている場合、毎月の返済額は12万9,122円です。これを10年後に年利0.834%のものに借り換えるとすると、どのくらい返済額が削減されるのか、auじぶん銀行のシミュレーターを利用して調べてみました。
- ※下記住宅ローンシミュレーションを使って計算
auじぶん銀行の住宅ローンシミュレーション
10年後のローン残高は3,105万2,709円です。そのため、3,100万円を年0.834%で新たに借り入れるとすると、返済期間を25年で設定した場合の毎月の返済額は11万4,515円と約14,000円減ります。また、借り換えをしなかった場合と比較すると総返済額は以下のようになりました。
| 借り換えをしなかった場合 | 借り換えた場合 | 差分 | |
|---|---|---|---|
| 毎月の返済額 |
12万9,122円 |
11万4,515円 |
1万4,607円 |
| 総返済額 |
5,423万1,482円 |
4,990万1,899円 |
432万9,583円 |
- ※借り換え前の10年間の返済額を含む
- ※借り換えにかかる各種諸費用は考慮しておりません。
借り換えを行うことにより、最終的に返済額を432万9,583円も削減できることになります。また、借り換えにあたっては残りの返済期間が長いほど、また借り換えの際の金利差が大きいほど、返済額削減効果が大きいといわれています。
ただし、借り換えは住宅ローンを新たに組み直すことになるので、手数料や印紙税などの諸費用が必要になる点は把握しておきましょう。
●金利タイプを変更できる
借り換えによって新しく住宅ローンを組むため、金利タイプを変更できる点もメリットです。
例えば、全期間固定金利から固定期間選択型に変えれば金利も低くなることが予想され、金利差によっては大きな返済額削減が期待できるでしょう。
また、変動金利から固定金利に変更すれば、毎月の返済額は増えるかもしれませんが、固定金利期間中は金利が変動せず安定的に返済することができます。
●団体信用生命保険の保障を充実させることができる
住宅ローンを利用する際には、原則として団体信用生命保険への加入が必要です。しかし、団体信用生命保険にはさまざまな種類があり、保障内容も提供する金融機関によって異なります。
保障内容によっては金利の上乗せが発生するものの、現在の自分の状況に合った団体信用生命保険の保障内容へと見直せる点は、住宅ローンを借り換える際の大きなメリットです。
■住宅ローンを借り換える際の注意点
住宅ローンは誰でも、またいつでも借り換えられるわけではありません。住宅ローンを借り換えるにあたっては、注意しなければならない点もあります。
●新たに審査を受ける必要がある
住宅ローンの借り換えは、申込んでも審査に通らなければ借り換えることができません。申込む際には以下の点をチェックしておきましょう。
▼申込条件
年収基準や勤続年数の基準を設けている金融機関もあります。また申込時の年齢や完済時の年齢なども申込条件となっていることがあります。
それらの申込条件を満たした上で申込まなければならず、さらに返済能力があるかどうかを判断する審査に通らなければなりません。そのため収入が低い、もしくは安定した収入がないなどの理由で審査に通らない可能性もあります。
▼健康状態
また、前回申込んだ時から自身の状況が変化している場合は注意してください。特に注意したいのは健康面です。
年齢を重ねるにつれて病気になるリスクが高くなるため、直近で大きな病気をした場合や、持病が悪化した場合は団体信用生命保険に加入できないこともあります。団体信用生命保険に加入できなければ審査に通りませんので、借り換えを考えているなら自身の健康状態も事前に確認しておきましょう。
▼信用情報
信用情報に問題がないかを調べておくことも大切です。申込みを受けた金融機関は審査の際に必ず信用情報機関に照会するため、その際に信用事故情報が載っていた場合は審査に通るのはかなり難しくなります。
もし自分の信用情報が気になる場合は、信用情報機関に対して情報開示を請求してみましょう。本人であれば情報開示を請求できますし、インターネットであれば即日結果がわかります。
▼返済負担率
返済負担率についても考慮しておく必要があります。返済負担率とは、年収に占める年間のローン返済額の割合のことで、25%程度に留めておくのがよいといわれています。
住宅ローン以外に返済があるなら、残高をできるだけ少なくしておきましょう。その上で、借り換え後の年間返済額との合計額が年収の25%以内になるよう調整することをおすすめします。
審査における返済負担率の基準は金融機関によって異なりますが、30%を超えると返済困難な状態に陥る可能性が高いとされ、一般的に審査に通りにくくなるといわれています。
▼転職・起業
見落としがちなのが、転職もしくは起業を考えている場合です。特に転職直後に借り換えを申込む場合、金融機関によっては申込条件にある勤続年数を満たさず申込めない可能性があります。
●諸費用が発生する
住宅ローンの借り換えには諸費用が発生します。金融機関によって異なりますが、諸経費は数十万円かかるケースが多いため、それを含めて最終的に総返済額の削減効果を得られるかどうかを見極めることが大切です。
借り換えの際に必要な諸費用には、以下のようなものがあります。
- 印紙代
- 事務手数料
- 保証料
- 登録免許税
- 司法書士への報酬
また、現在借り入れている金融機関に一括返済する際に手数料が発生するのか、どの程度かも確認しておきましょう。
多くの金融機関では、借り換えの際に利用できるシミュレーターを用意しています。シミュレーターではその金融機関で借り換える際に必要な諸費用も確認できるため、複数の金融機関でシミュレーションを行った上で、最終的に申込む金融機関を選びましょう。
■住宅ローンを借り換える流れ
ここでは、一般的な住宅ローンの借り換えの流れを紹介します。
●1.申込み(仮審査)
金融機関を絞ったら、そこで申込みます。この時点では仮審査となるため、複数の金融機関に申込んでも構いませんが、2~3社程度に留めておきましょう。
●2.本審査
仮審査に通過したら本審査に移ります。本審査では申込時に申告した内容をより詳しく調べるために、書類の提出が求められます。必要書類の例は以下のとおりです。
- 本人確認書類:運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
- 収入証明書類:源泉徴収票、納税証明書、確定申告書の控えなど
- 住民票
- 現在借り入れているローンの返済予定表
- 現在返済している口座の履歴
- 物件関連書類
書類によっては、入手するのに手間がかかります。また金融機関によって必要な書類が異なりますので、事前に確認した上で準備しましょう。
●3.契約手続きおよび現在借り入れている住宅ローンの一括返済
本審査に通過したら、契約手続きに進みます。契約手続きと同時に現在の住宅ローンの残債を一括返済する必要があるので、事前に現在借り入れている金融機関に連絡しておきましょう。
契約手続きが完了すると、融資が実行されます。一般的には融資の同日に抵当権の設定・抹消登記が必要になります。多くの場合は司法書士に依頼することになるので、登録免許税の額や司法書士へ支払う報酬などを確認しておくと安心です。
●4.借り換え後のローンの返済開始
借り換え先の金融機関から融資が実行されたら、所定の返済日から返済が開始します。
■住宅ローンの借り換えを考える際のポイント
住宅ローンの借り換えを考えるときは目的をはっきりさせておくことが大切です。周りに借り換えを行っている人が多い、もしくは金融機関から提案があったといった理由だけで借り換えを行うと、先述のメリットを受けられないばかりか、失敗してしまう可能性もあります。
「毎月の返済額を削減したい」という明確な目的がある場合は、今よりも金利の低い金融機関に借り換えれば果たすことができます。金利上昇リスクに備えたいという考えで、多少金利が上がっても固定金利に借り換える人もいます。借り換える際には、目的に応じた金利やサービスなどを考慮し、借り換え先の金融機関を選びましょう。
また、住宅ローン控除の適用期間中なら、借り換えによって住宅ローン控除適用の要件から外れないかを確認しておくことも大切です。
●借り換えたほうがよい人の特徴
住宅ローンを借り換えたほうがよい人の特徴は、以下のとおりです。
- 諸費用を考慮しても、最終的に総返済額を減らせる人
- 現在の返済額に負担を感じている人
- 団体信用生命保険の保障内容を充実させたい人
もちろん、単に返済額を減らしたいというだけで借り換えたほうがよいとは言い切れません。現在の収入や今後のライフイベントなどを考慮しながら、最終的に借り換えを行うかを判断しましょう。その際には、諸費用を含めた金額でシミュレーションを行うことが大切です。
●借り換えないほうがよい人の特徴
反対に、借り換えないほうがよい人の特徴も把握しておきましょう。
- 住宅ローンの残債が少ない人
- 残りの返済期間が短い人
- 年齢が高いなどで申込条件を満たさない人
- 以前と比較して健康状態が変化した人
- 転職や起業直後の人
- 信用情報に問題がある人
住宅ローンの残債が少ない場合や残りの返済期間が短い場合、諸費用を考慮すると返済総額が増える可能性があります。また、申込年齢の基準は満たしても、完済時年齢の基準を満たさない場合は申込めませんし、完済時年齢までの返済期間に設定すると返済額が増えてしまうケースもあります。
■まとめ
2024年3月下旬にマイナス金利が解除されたことから、「金利上昇に備えて固定金利に借り換えよう」と考えている人もいると思います。
借り換えの目的や借り換えた方がよいかを整理の上、検討してみてはいかがでしょうか。



