2024/01/17
みんなの平均貯金額は?中央値って?お金を賢く貯めるコツも解説
監修者:新井 智美
最近、世代を問わず貯金に対する意識が高まっています。平均貯金額はどのくらいか、世代ごとの貯金の目安はどれくらいか、気になる方もいるかもしれません。
急な支出やライフイベント、老後に備えて、資産を増やす方法を早めに検討しておくと安心です。本記事では、平均貯金額のデータとともに、お金を賢く貯めるコツを解説します。
どのくらい貯金すると安心?
収入や家族構成、ライフスタイル、ライフプランなどは、人それぞれ異なります。そのため、収入のうち貯金にどのくらいの金額をまわせばよいのか、明確な答えはありません。
ひとつの目安となるのが、収入に対する貯金の割合を示すデータです。
国税庁の調査によると、平均給与(額面給与)は約458万円です(※1)。この平均給与には控除前の社会保険料や税金が含まれるため、平均給与額の8割の366万円を手取り収入とします。
この手取り収入を金融広報中央委員会の公表する手取り収入に対する貯金割合に当てはめると、「手取り収入300~500万円未満」でもっとも多い貯金割合は、「独身」「既婚者」ともに10~15%です(※2,3)。
上記より、貯金の目標に悩んだら手取り収入に対して10~15%の金額から始めるとよいでしょう。
- (※1)参考:国税庁「令和4年 民間給与実態統計調査」
- (※2)参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
- (※3)参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
世代別|平均貯金額はどのくらい?
貯金は、年齢や職業、独身か既婚か、子どもがいるかなどの要素によって、必要な金額が変わります。そこで、独身者と既婚者、さらに世代別の貯金額を確認しましょう。
貯金額のデータの見方には、平均値と中央値があります。調査対象のすべてを平均化したのが平均値、調査対象を数値の順番に並べたときに真ん中にくるのが中央値です。
平均値は貯金額の全体像をつかむのに役立ちますが、極端に多い、あるいは少ない数値が入っていれば、実態から大きくずれるおそれがあります。そのため、平均値に加えて中央値をチェックしておけば、より実態に近い貯金額を把握しやすいでしょう。
独身者(単身世帯)
金融広報中央委員会の調査によると、独身者(単身世帯)の貯金額は次の通りです(※2)。
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
20歳代 |
176万円 |
20万円 |
30歳代 |
494万円 |
75万円 |
40歳代 |
657万円 |
53万円 |
50歳代 |
1,048万円 |
53万円 |
60歳代 |
1,388万円 |
300万円 |
70歳代 |
1,433万円 |
485万円 |
独身者は、家族のいる既婚者に比べると、ご自身の生活をよりよくするための支出を惜しまない傾向があります。例えば、外食や娯楽、サブスクリプションサービスなどにお金をかけるなどが原因で、貯金が貯まりにくいと考えられます。
働き始めたばかりで収入がまだ低い方が多い20歳代ではあまり差はありませんが、30歳代から50歳代の働き盛りでは平均値と中央値の開きが大きくなっています。出世などにより収入が増え、貯金や投資への意欲が高い方が増え始めるためかもしれません。
既婚者(二人以上世帯)
先ほどと同じ金融広報中央委員会の調査によると、既婚者(二人以上世帯)の貯金額は、どの世代でも独身者より上回っていることがわかります。
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
20歳代 |
214万円 |
44万円 |
30歳代 |
526万円 |
200万円 |
40歳代 |
825万円 |
250万円 |
50歳代 |
1,253万円 |
350万円 |
60歳代 |
1,819万円 |
700万円 |
70歳代 |
1,905万円 |
800万円 |
貯金に対する既婚者と独身者の意識の違いは、マイホームや車の購入、子どもの教育費など、家族に必要なお金を見据えている点でしょう。近い将来まとまった資金が必要になるかもしれないことがわかっている分、計画的に貯金する方が多いと予測されます。
また、近年は夫婦共働きが年々増加しているため、独身者よりも貯金額を増やす結果となっています。
お金がかかるライフイベント
人生には、まとまったお金が必要なライフイベントがいくつかあります。
考え方は人それぞれのため、必ずしも他人と同じようにライフイベントをこなす必要はありません。
しかし、ご自身の今後の人生に必要だと考える場合は、どれくらいのお金がかかるのかを把握しておけば、貯金の目標を具体化するのに役立ちます。ここでは、主なライフイベントを5つ紹介します。
結婚
挙式や披露宴にかかる費用は、平均約330万円という調査結果があります(※4)。
会場や内容、招待客の数などにより価格差の出やすいイベントですが、結納や新婚旅行、新居の準備などまで考慮すれば、余裕をもって資金を用意しておく必要があるとわかるでしょう。
- (※4)参考:ゼクシィ 結婚トレンド調査2023調べ
子どもの教育費
子どもが生まれると、教育費が大きな負担となります。小学校から大学までに必要な子どもの教育費は、すべて公立の学校に通うと約800万円、すべて私立の学校に通うと約2,300万円です。
また、大学では自宅通学か下宿かによっても約300万円の違いがでます。習いごとや塾に通うと、さらに負担が増すでしょう。
マイホーム購入
30歳代に入ると、マイホームを購入する方が増えます。住宅金融支援機構の調査によると、購入費用は戸建ての注文住宅が平均約4,700万円、マンションが平均約4,800万円です(※5)。
マイホームは手持ち資金(頭金)と住宅ローンを組みあわせて購入するのが一般的ですが、頭金を十分に用意できなければその分利息がふくらむおそれもあります。
老後の生活費
総務省統計局の調査によると、65歳以上の夫と60歳以上の妻でともに無職の夫婦二人暮らしにかかる生活費は、毎月約27万円です(※6)。一方、公的年金などの給付による収入は毎月約21万円にとどまっています。
- (※6)総務省統計局「家計調査」
介護費用
公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる費用は月平均約8.3万円、ほかにも一時的に発生する費用として介護用品の購入などに約74万円です(※7)。
介護保険制度により自己負担は一定額までに抑えられますが、それでも金銭的負担は避けられません。
毎月の理想の貯金額は?
先述の通り、平均的な手取り収入(300~500万円未満)に対する貯金の目安は、収入の10~15%です。ただしこの割合はあくまで目安であるため、ご自身の現状にあわせて調整しましょう。
例えば、既婚者でまだ子どもがいない場合は二馬力を生かして、収入の20~25%の貯金を目指しましょう。
平均貯金額を超えたい!貯金を成功させるコツ
世代別の平均貯金額をみて「こんなにたくさん貯金していない」と落ち込んだ方もいるかもしれません。そこで、貯金を成功させるコツを5つ紹介します。
- 家計簿をつける
- 貯金の目標金額を決める
- 先取り貯金をする
- 銀行口座を使い分ける
- 投資を始める
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
家計簿をつける
貯金の成功は、「収入の範囲内に支出をどれだけ収められるか」にかかっています。
なんとなくお金を使っている状態が続いている場合は、まずは収支を把握するために家計簿をつけましょう。手書きのほか、記録の簡単なスマートフォンアプリも充実しているので、続けやすい方法を選ぶことが重要です。
貯金の目標金額を決める
手取り収入の10~15%の貯金を目標として紹介しましたが、ご自身にあわせて具体的な目標金額を決めると貯金へのモチベーションアップにつながります。
1年で30万円よりも1ヶ月で3万円のように、短期間でゴールしやすい目標の方が達成感を感じやすいためおすすめです。
先取り貯金をする
「ついついお金を使ってしまう」という貯金初心者は、先取り貯金を取り入れましょう。
先取り貯金の方法には、毎月決められた金額が普通預金から自動振替される積立定期預金、給与天引きで毎月一定額を積立てる財形貯蓄などがあります。
銀行口座を使い分ける
生活費の出し入れに使う口座とは別に、貯金専用口座を開設して、銀行口座を使い分けると無駄遣いを防ぎやすくておすすめです。
貯金専用口座を持っていれば貯まった貯金額をひと目で把握できるので、貯金額も把握しやすいでしょう。
投資を始める
低金利、物価の高騰などから、銀行に預けてもお金を大きく増やすのはむずかしい状況が続いています。iDeCoやNISAなど、投資についても目を向けてみましょう。
投資には普通預金のように元本保証はありませんが、iDeCoやNISAのどちらの制度も非課税の恩恵を受けながら資産が形成できます。なお、投資はリスクのある商品です。目論見書等をよく読み、適切な知識をもって実施しましょう。
投資について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
まずは平均貯金額を目標にコツコツお金を貯めよう
年齢や家族構成、収入、ライフスタイルなど、さまざまな要素から貯金額は変わります。平均貯金額を気にしすぎる必要はないものの、将来お金のかかるライフステージが控えていることを考えると、貯金をおろそかにはできません。
まずは家計簿をつけて現在の収支の把握から始め、それから先取り貯金や投資などで効率よくお金を貯めましょう。貯金は長く続けるほど結果が出るため、無理なく続けられる方法を検討してください。