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特集 | 資産運用

2023/08/23

新NISAではロールオーバーできない?現行NISAとの違いや注意点を解説

監修者:新井 智美

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すでに一般NISAやつみたてNISA、ジュニアNISAを行っている方のなかには、2024年から始まる新NISAでのロールオーバーの取扱いを心配されている方がいるかもしれません。新NISAと現行NISAにはどのような違いがあるのか、制度の変化をしっかりと把握しておくと安心です。

本記事では、新NISAと現行NISAの違いやロールオーバーの取扱い、制度変更による注意点を解説します。

2024年から始まる新NISAとは?現行NISAとの違い

2024年から始まる新NISAは、3つの現行NISA(一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA)とは分離された別の制度です。新NISAと現行NISAには、主に次のような違いがあります。

現行NISA 新NISA

年間投資枠

一般NISA 120万円
つみたてNISA 40万円
ジュニアNISA 80万円

成長投資枠 240万円
つみたて投資枠 120万円

  • 併用可能で最大360万円

非課税運用期間

一般NISA 最長5年間
つみたてNISA 最長20年間
ジュニアNISA 最長5年間(※)

無期限化

非課税保有限度額

一般NISA 年間120万円×5年間=600万円
つみたてNISA 年間40万円×20年間=800万円
ジュニアNISA 年間80万円×5年間=400万円

1,800万円
(生涯投資枠/このうち成長投資枠の上限は1,200万円)

口座開設期間

一般NISA 2028年まで
つみたてNISA 2042年まで
ジュニアNISA 2023年まで(※)

恒久化

制度の併用

それぞれの併用は不可

併用が可能

  • 2024年以降に非課税期間(5年間)を終えても、18歳になるまで引き続き非課税で保有できます。

非課税運用期間の無期限化、運用期間の恒久化、非課税保有限度額の増額など、新NISAは現行NISAを拡充した制度であることがわかります。

新NISAでは、未成年を対象としたジュニアNISAは廃止され、現行の一般NISAとつみたてNISAに代わって「成長投資枠」と「つみたて投資枠」が新設されます。これまで叶わなかった枠の併用も可能で、より積極的な投資を実現できるようになりました。

現行NISAについてより詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。

現行NISAから新NISAにロールオーバーできない!

ロールオーバーとは、現行の一般NISAとジュニアNISAで非課税期間が終了したときに、口座に保有する金融商品を翌年の非課税投資枠へ移管することを意味します。

このロールオーバーをすると、非課税期間の5年を終えた後も、同じ金融商品を引き続き非課税で運用できるメリットがあります。しかし新NISAでは非課税期間が無期限となるため、非課税期間の延長を目的としたロールオーバーの概念はなくなります。

一方で、新NISAは現行NISAとは別制度として分離されているため、一般NISAやつみたてNISAの口座で保有する金融商品を新NISAの口座へロールオーバーはできません。つまり、ロールオーバーができるかできないかの影響を受けるのは、現在すでに一般NISAかジュニアNISAで商品を運用中の方となります。

ロールオーバーができない現行NISAの商品はどうする?

これまでロールオーバーで非課税期間を延長しながら同じ商品を運用してきた方にとって、現行NISAから新NISAへロールオーバーできない事実は、制度変更によるデメリットのひとつかもしれません。

しかし、新NISAにロールオーバーができないからと、現行NISAで運用中の商品を慌てて売却する必要はありません。

現行NISAで新規の商品買付ができるのは2023年末までですが、新NISAが始まる2024年以降も、当初の非課税期間が終了するまでは現行NISAの口座で運用を続けられます。

例えば、2023年に一般NISAで購入した株式の非課税期間は5年後の2027年までなので、その間に得た売却益は非課税です。

もちろん、いつ売却しても問題ありませんが、少なくとも非課税期間中は、売却のタイミングを見計らいながら運用を続けるとよいでしょう。

新NISAと現行NISAは並行して運用ができる

新NISAと現行NISAは別制度であるため、並行して運用できます。そのため、現行NISAの口座で2024年度以降も商品運用を続けていても、2024年から新NISAでの運用を始められます。つまり、新旧のNISAをどちらも使う場合、同じ金融機関で新NISAと現行NISAでそれぞれ別のNISA口座を持つことになります。

2024年以降も非課税期間の続く間の運用を希望する場合、金融機関での手続きはとくに必要ありません。

現行NISAの非課税期間が終わったらどうする?

新NISAへのロールオーバーはできなくても、非課税期間が終わるまでは節税しながら投資ができる現行NISAですが、非課税期間終了後の対応が気になるかもしれません。

非課税期間の終了にあたって、取るべき対応は2つあります。

ひとつ目は「商品の売却」です。非課税期間のうちに売却して現金化し、その資金を元手に新NISAで新たな買付をすれば、新旧NISAの非課税期間を効率よく使えます。ただし、現行NISAと新NISAでは投資対象となる商品が異なる場合があるため、同じ商品を運用できるかどうか、あらかじめ金融機関に確認しましょう。

ふたつ目は「NISA口座から課税口座への払い出し」です。非課税期間は終えるものの、今後も運用を続けることで大きな収益が期待されるようであれば、課税口座に移管して運用を続けるのもよいでしょう。逆に、購入時より大きく値下がりしている場合、値上がりを待ってから売却する考え方もあります。

新NISAはロールオーバーができなくても柔軟な投資を実現できる

一般NISAやジュニアNISAの口座で運用している商品は、2024年からの新NISAへロールオーバーができません。これまでロールオーバーを使って長く運用してきた方にとっては、新制度の変更のなかで特に戸惑われる点かもしれません。

しかし、現行NISAの口座は2024年以降も非課税期間が終わるまで運用可能なため、慌てる必要はありません。

新旧のNISA口座は併用も可能です。タイミングをみて売却して新NISAの資金とする、課税口座に払い出して運用を続けるなど、非課税期間の間に検討しましょう。

新NISAでは非課税期間が無期限となるため、ロールオーバーの概念がなくなります。非課税保有限度額も拡充され、より柔軟な投資を実現できる制度となりました。プラスの変化に目を向けて、今後の運用方針を決めていきましょう。

監修者:新井 智美
顔写真:監修者:新井 智美

プロフィール:
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)をおこなうと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績は2,500本を超える。

資格情報:CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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