2023/08/23
つみたてNISA(積立NISA)の始め方!口座開設の手順や運用方法を解説
監修者:新井 智美
中長期的な資産形成の方法として注目のつみたてNISAですが、どのように始めればよいのかわからないもいるのではないでしょうか。本記事では、投資初心者でもわかるようにつみたてNISAを始めるための手順や注意点などを解説します。
【事前準備】つみたてNISA(積立NISA)の始め方
つみたてNISAを始めるためには、まずはつみたてNISA専用の口座を開設する必要があります。口座の開設は、証券会社や銀行、郵便局、信用金庫などのさまざまな金融機関でできます。
つみたてNISAの口座は、金融機関ごとに運用できる投資信託商品や最低投資金額など、少しずつ違いがあります。
例えば、つみたてNISAで投資できるのは金融庁が認める投資信託とETFに限定されていますが、選択できる商品は金融機関によって異なります。ご自身にぴったりの金融機関を選択しましょう。
ほかにも、投資の頻度や金融機関の独自のサービス、ポイント制度などに注目して選ぶ方法もあります。
なお、つみたてNISAの口座は一般NISAの口座と併用できず、また1人あたり1口座しか開設できません。運用の開始後でも金融機関の変更はできますが、所定の条件を満たした手続きが必要なため、最初に金融機関を決めるときは慎重に検討しましょう。
つみたてNISAの口座開設手順は、主に次の通りです。
1.口座開設の申込み
まずは、つみたてNISAの口座開設の申込みを行います。金融機関での口座開設方法には窓口や郵送、ウェブサイト、アプリなどがありますが、最近はパソコンやスマートフォンを使ったウェブサイトやアプリでの手続きが主流です。口座開設を希望する金融機関で申込み方法をご確認ください。
多くの場合、証券口座とつみたてNISA口座は別々に申込む手間はなく、証券口座の開設と同時につみたてNISA口座の申込みも完了します。証券口座開設後につみたてNISA口座開設の申込をすることもできます。
2.申込書の記入と必要書類の提出
次に、郵送の場合は所定の申込書に、ウェブサイトやアプリの場合はパソコンやスマートフォンの画面上で、住所や名前などの必要事項を記入します。
つみたてNISAの口座の開設には、個人番号(マイナンバー)(12ケタ)の届出が必要です。申込みと同時に準備をしておくと手続きがスムーズに進みます。
個人番号(マイナンバー)が確認できる書類 |
個人番号カード(マイナンバーカード)、通知カード、個人番号(マイナンバー)の記載のある住民票の写しなど |
---|---|
本人確認書類 |
個人番号カード(マイナンバーカード)、運転免許証、健康保険証、パスポート、年金手帳など |
- ※個人番号カード(マイナンバーカード)があれば個人番号(マイナンバー)と本人の確認を1枚で行えます。
郵送での申込みでは書類をコピーしたり返送したりの負担がありますが、ウェブサイトやアプリであれば撮影した画像をアップロードするだけで書類提出が完了します。
これらの書類のほか、金融機関や手続きの内容によっては、銀行の普通預金口座の口座番号がわかる通帳や印鑑(通帳の届け印)などを求められる場合もあります。
3.税務署の審査
最後に、申込みの手続きを終えると、すでに開設済みのNISA口座がないか、金融機関を通じて税務署からの審査を受けます。
税務署の審査が完了するまでに、1~2週間ほどかかることがあります。税務署による審査で、口座の重複がないと確認された場合は口座開設となります。
【口座開設後】つみたてNISA(積立NISA)口座での積立設定
NISA口座の開設後は、積立投資を行うための資金を証券口座へ入金します。入金方法には、金融機関への直接入金、銀行からの口座引落し、クレジットカード決済などがあります。
資金不足で買付停止とならないように、自動で入金される口座引落しやクレジットカード決済を選択すると安心です。
入金方法を決めた後は、つみたてNISAの非課税投資枠である年間40万円の範囲内で、1回ごとの積立金額を決めます。積立金額はいつでも変更可能(回数制限なし)なので、まずは無理のない少額から始めるとよいでしょう。
次に、運用する金融商品を選択します。非課税投資枠の金額内であれば数に制限はなく、組み合わせも自由です。何を選ぶべきか悩んだときには、その商品が何に投資をして、どう運用しているのかに注目します。
投資信託は投資対象によって、「国内株式型」「国内債券型」「外国株式型」「外国債券型」「バランス型」の5つに分類されます。
国内より外国、債券より株式、を選択した方がリターンやリスクを反映しやすく、安定した運用なら国内債券型、利益を追求するなら外国株式型を選択するのが一般的です。また、国内外の債券や株式を組み合わせたバランス型であれば、ひとつの商品で幅広い分散投資が可能です。
また投資信託の運用方法には、インデックス型とアクティブ型があります。
インデックスファンド | アクティブファンド | |
---|---|---|
運用方針 |
特定の指数に連動する |
特定の指数を超える |
組入銘柄 |
指数と同じ構成になる |
市場分析に応じて選定される |
手数料 |
低い |
高い |
インデックス型とは日経平均株価に代表される指数と同じ値動きを目指して運用されるもので、アクティブ型とは指数を超える値動きを目指して運用されるものです。インデックス型は安定運用、アクティブ型はリターンが狙えるかわりにリスクもある運用と把握しておきましょう。
積立金額と運用商品の次は、購入する頻度とタイミングを決めます。金融機関ごとに対応は変わりますが、つみたてNISAの購入頻度は毎月1回、隔週1回、毎週1回など、さまざまな選択肢があります。また、購入のタイミングもご自身の好きな日を指定できます。例えば、給料日の翌日や月初や月末のように、ご自身で覚えやすい日を設定する考え方もあります。
【積立設定後】つみたてNISA(積立NISA)口座での買付
つみたてNISAを始めるために必要な設定が終わったら、ご自身が指定したタイミングで第1回の買付が行われます。その後は買付代金の残高不足が生じない限り、始めに設定した条件で、毎月自動的に買付が続きます。
積立金額や運用商品、購入頻度とタイミング、運用実績は、金融機関のウェブサイトやアプリなどから確認できます。積立金額のほか、運用商品や購入頻度などの変更も可能なので、状況に応じて変更するなど、日ごろから管理しましょう。
つみたてNISA(積立NISA)を始めるときに注意すること
つみたてNISAは、長期にわたる積立で安定した資産形成を目指す制度ですが、資金の引出し、つまり保有する金融商品の売却はいつでも自由に行えます。
旅行やマイホーム購入など、目的に応じて売却を選択することも可能です。ただし、つみたてNISAで商品を売却しても、その年の非課税投資枠は復活しません。同じ年に年間40万円を越えての購入はできないので注意しましょう。
また、2024年からは新NISA制度が始まります。新制度が始まる前だからとつみたてNISAを始めることをためらう方もいるかもしれません。しかし、新NISAは現行NISAとは別制度としてスタートするため、2023年中に開始したつみたてNISAにはそのまま現状の非課税期間が適用されます。
そのため、2023年のうちにつみたてNISA口座を開設すれば、新NISAとあわせて現行NISAの非課税投資枠を有効活用できます。
新NISAについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご確認ください。
つみたてNISA(積立NISA)は初心者でも始めやすい積立投資
つみたてNISAは、金融庁の基準を満たした投資信託やETFから選べる安心感や、年間40万円までの非課税投資枠など、投資初心者でも始めやすい積立投資です。まずは口座を開設して投資への第一歩を進めましょう。
つみたてNISAの専用口座を開設する手続きも、個人番号(マイナンバー)を確認できる書類と本人確認書類が揃えば、スムーズに進められます。