「積立投資」はパフォーマンスにどう影響する?
提供元:ウェルスナビ
2019年5月24日
積立投資のメリットは、相場の動向に左右されず、淡々と運用資金を積み上げられることです。相場が「下がって上がる」という局面で、積立投資をしていたか、積立投資をしていなかったかの差は、パフォーマンスにどんな影響を与えるでしょうか? WealthNaviで資産運用をしているユーザーのデータなどから検証しました。
積立投資のメリットは、相場の動向に左右されず、淡々と運用資金を積み上げられることです。
相場が大きく下がったときのことを、想像してみてください。「投資が怖い」と感じる人が多いのではないでしょうか? 相場が大きく下がったときには、WealthNaviで資産運用をしている人からも、「このまま続けていて大丈夫?」という声が寄せられることがあります。
行動経済学の研究によれば、人間の脳は損をすることを極端に嫌います。相場が下がったときに怖くなり、投資をしたくなくなるのは、とても自然なことです。
ただ、長い目で見れば、「相場が下がるとき」は「割安に買えるとき」でもあります。相場が下がった局面で、自ら積極的に買うのは怖いかもしれませんが、積立投資をしていれば、相場が下がった局面でも、感情に左右されず投資できるでしょう。
次に紹介するデータから明らかなように、積立をした場合と、積立をしていなかった場合では、将来のパフォーマンスにも差が出ます。
リーマン・ショックの後も積立をしていたら?
下の図は、リーマン・ショック前後の相場の動きです。アメリカ株式市場の動向を表す代表的な株価指数「S&P500」のパフォーマンスを見てみましょう(※1)。
2008年1月末時点を基準にすると、リーマン・ショック後の2009年初めには、株価指数は50%近く下げました。ただ、2011年1月末には、リーマン・ショック前の水準に戻しています。
株価が低迷しているときでも積立投資すべき?
- 2008年1月~2011年1月の米国株(S&P500指数、配当込)のパフォーマンス推移
- 画像:ウェルスナビ株式会社作成
さて、2008年1月~2011年1月の3年間で、米国株に投資したとします(※2)。積立をした場合(「積立あり」)と積立をしなかった場合(「積立なし」)では、パフォーマンスにどれくらい差がついたでしょうか?
株価が元の水準に戻った時点で、「積立なし」のリターンはほぼゼロでしたが、「積立あり」のリターンは「+23.5%」とプラスでした。
積立をしていたらプラスのリターンだった
- 積立投資の有無によるパフォーマンス比較(2008年1月~2011年1月の毎月末にドルで等金額投資した場合と、2008年1月にのみ投資し積立しなかった場合の、2011年1月末時点のリターンの比較)
- 画像:ウェルスナビ株式会社作成
2008年1月からの3年間で、S&P500は暴落して元の水準まで戻っただけでした。しかし、同じ期間に積立投資をしていれば、リターンはプラスになっていたことになります。
「積立あり」のパフォーマンスがよかったのは、相場が下げた局面で割安に投資できていたからです。割安に投資していた分、その後の相場回復の恩恵を受けることができました。
2018年2月の急落後も積立をしていたら?
リーマン・ショック並みの大きな変動ではありませんが、2018年2月にも、世界的な株価の急落がありました。2018年1月から9月までの「S&P500」の動きを見てみましょう。
2018年1月初めを基準とすると、2月と3月の急落を経てS&P500は6%近く下げ、7月第1週時点で元の水準に戻しています。株価が急落し、その後時間をかけて元の水準に戻るという点では、リーマン・ショック前後の動きと似ています。
株価が低迷しているときでも積立投資すべき?
- 2018年1月~9月の米国株(S&P500指数、配当込)のパフォーマンス推移
- 画像:ウェルスナビ株式会社作成
さて、株価急落前の1月にWealthNaviで資産運用をスタートしたユーザーを対象に、「積立あり」と「積立なし」のパフォーマンスを比べてみました。(※3)
2018年9月末時点で、「積立あり」の平均リターンは「+0.5%」、「積立なし」の平均リターンは「-1.0%」となり、9ヶ月間で1.5ポイントの差がつきました。
「積立あり」「積立なし」でリターンに1.5ポイントの差
- 積立の設定有無によるWealthNaviユーザーのパフォーマンス比較(2018年9月末時点)
- 画像:ウェルスナビ株式会社作成
なお、一人当たりの平均損益額で見ると、「積立あり」のユーザーは、9ヶ月間で平均1.4万円多くリターンを得ていました(※4)。
今回の比較対象としたのは、2018年1月に運用をスタートしたユーザーでした。スタート直後に急落に見舞われるという厳しい相場だったといえます。
こうした相場にもかかわらず、「積立あり」の平均リターンは2018年9月20日時点でプラスに転じました。「積立なし」の平均リターンは、2018年2月の急落以降、2018年9月末までずっとマイナスのままでした。
「積立あり」のパフォーマンスがよかった理由は、先ほどのリーマン・ショックの事例と同じで、相場が悪いときも割安で買うことができたからです。
積立がパフォーマンス回復に寄与
- 積立の設定有無によるWealthNaviユーザーのパフォーマンス比較(2018年1月~9月の9ヶ月間)
- 画像:ウェルスナビ株式会社作成
リーマン・ショックのような金融危機はもちろん、2018年2月のような株価急落が起こると、投資家は不安になったり焦ったりします。後から振り返れば、割安に買える相場だったとわかりますが、相場が下がっているときに、自ら追加投資をするのは難しいでしょう。
相場が下がって多くの投資家が不安になるときも、積立投資なら、淡々と運用資金を積み上げることができます。
本コラムは、株価が急落後に回復したケースにおける、積立投資がパフォーマンスに与える影響を説明したものです。株価の動きが異なるケース(例:株価が上がり続ける、株価が下がり続ける、など)においては、その影響も異なります。
- (※1)「S&P500」は、米国の証券取引所に上場している代表的な500銘柄の株価を基に算出される株価指数。2008年1月末時点にS&P500指数(配当込)に直接投資できたとしてリターン(損益率)の推移を計算
- (※2)2008年1月から2011年1月までの各月末のデータをもとに、税金や手数料などは考慮せず、「S&P500」に直接投資できたと仮定して試算。本コラムにおいて「リターン」はすべて年率換算前、つまり損益率を示している
- (※3)2018年1月にWealthNaviで運用開始し、2月~8月の期間に出金していないユーザーを対象に9月末時点での平均リターンを比較。「積立あり」は、2018年2月~8月まで毎月の自動積立をしたユーザ-、「積立なし」は、2018年2月~8月まで積立も追加入金もしてないユーザー。「積立あり」のユーザーは3574名、「積立なし」のユーザーは2190名。平均リターンは、対象ユーザーの損益額の合計を投資額の合計で割って算出
- (※4)損益額の合計を人数で割った値の比較
提供元:ウェルスナビ