2025/01/31
共働き夫婦必見!家計管理に役立つ共通口座の作り方や運用をご紹介
執筆者:滝口誠(たきぐちまこと)

共働き夫婦にとって家計管理は、重要なテーマの一つです。お互いの収入を生活費に回したり、将来の貯蓄に回したりと計画的に管理するためには、共通口座の活用が有効です。
本記事では、共働き夫婦の家計管理方法や共通口座の作り方、運用のコツをご紹介します。
■共働き夫婦の5つの家計管理方法
共働き夫婦の家計管理には、いろいろな課題があります。特に「どのように収入や支出を分けるか」については、夫婦でも意見が分かれやすいポイントでしょう。
そこで、まずは共働き夫婦が選択できる代表的な5つの家計管理方法を紹介します。それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較し、ライフスタイルも考慮して最適な家計管理方法を見つけてください。
●一つの口座にまとめて管理
収入と支出を一つの口座に集約することで家計全体の流れを一目で把握できるようになるため、管理がシンプルになります。各引落としや残高の確認なども、一つの口座だけ管理すればよく複数口座をチェックする手間も省けるため、忙しい共働き夫婦には最適でしょう。
ただし、さまざまな出費が混在してわかりにくくなる可能性もあるため、項目の把握や記録をしっかりと行うなどの工夫が必要です。
●項目ごとに分けて管理
例えば「夫は家賃と光熱費」「妻は食費や娯楽費」など担当を決めて管理します。分担すると、それぞれの負担割合がわかりやすくなり家計の「見える化」が図れるでしょう。また自分が管理する部分だけを意識すればよいので、負担感が軽減されるというメリットもあります。
一方、全体の支出状況の把握が難しくなる可能性があることから、定期的に夫婦で話し合って全体の収支を確認することが重要です。
●生活費口座と貯金口座を分けて管理
生活費口座と貯蓄用口座を分けて管理することで貯蓄計画が立てやすくなります。収入が増減しても貯蓄部分を守りやすく、貯蓄専用の口座を設けることで目標金額との差分を明確にしやすいでしょう。
ただし、最低2つの口座を管理する必要がある点はデメリットです。「日々の管理を面倒に感じてしまう」「貯蓄用口座への振り分けを忘れると貯蓄計画が崩れてしまう」という一面もあります。
そのため「給料日にあわせて貯蓄専用口座へ自動送金する」など、便利な機能を活用すると良いでしょう。
●家計管理が得意な人が担当
家計管理が得意な人が全体を管理し、もう一方に生活費を渡すスタイルは、役割分担が明確で効率的に家計管理ができます。
全体の収支や貯金状況が把握しやすくなるのと同時に、家計管理が苦手な人の負担軽減にもつながるでしょう。
ただし家計管理が得意でも、例えば仕事が忙しくて対応しきれないときや家計管理のプレッシャーを大きく感じてしまう可能性もあります。そのため、役割分担の見直しや調整などを定期的に行うようにしましょう。
●共通口座を使うパターン
夫婦が毎月一定額を共通口座に入れて管理する方法は、共通の支出をスムーズに処理でき、非常にシンプルで効率的な家計管理方法といえます。
この方法では、夫婦がそれぞれに同じ口座にお金を入れ、その口座から家賃や光熱費、食費といった共通の項目を支払うといった流れです。
共通口座を利用することで、支出の流れが一目でわかるだけでなく入金額を夫婦同額にしておけば、支払いの負担を均等にできます。ただし夫婦で収入差がある場合は、片方が負担を大きく感じてしまう場合もあるため、収入の比率に応じて入金額を決める配慮も必要です。
■共通口座とは
共通口座とは、夫婦やパートナーが共同で管理する銀行口座のことです。
この口座で家賃や光熱費、食費などの共通の支出を支払うようにしておくと、効率よく家計管理を行うことができ、家計の「見える化」に役立ちます。夫婦それぞれが毎月一定額を入金することで、支出を均等にできるほか、無駄な出費の抑制も可能です。
共通口座をうまく活用すれば、家計管理がシンプルになり、金銭的な不安も減らすことができます。
●共通口座は夫婦名義では作れない
日本の銀行制度では、共通口座を夫婦名義で作成することは基本的に認められていません。
これは、連名口座を開設すると出金や振り込みに夫婦双方の同意が必要となり、管理が複雑になるからです。そのため共通の支出を管理する場合は、夫婦いずれか一方の名義で口座を開設し、もう一方が家族カードや代理人カードを利用する方法が一般的でしょう。
また、基本的に1口座1名義でしか作れません。
この方法であれば、家計の透明性を保ちながら効率よく家計管理が行えます。
●共通口座のメリット
共通口座を利用すると、効率よく家計管理を行うことができます。
家賃や光熱費、食費などの共通の支出を一つの口座でまとめることで支払いにかかる手間が減少するだけでなく、支出状況が簡単に把握できるようになり無駄遣いの防止や生活費の見直しもしやすくなる点はメリットです。
また夫婦で貯蓄額を共有することで、ライフスタイルにあわせた貯蓄計画が立てやすくなります。
さらに共通口座を通じて収入に応じて公平に負担を分担できるため、不公平感を抑えることも可能です。このように共通口座を活用することは、家計管理をシンプルにするだけでなく夫婦間での金銭的な摩擦を減らし、夫婦間のコミュニケーションも円滑になります。
●共通口座のデメリット
共通口座の利用には、メリットだけでなくデメリットもあります。
共通口座を使うときは、個人の支出が管理しづらくなります。趣味や娯楽など夫婦それぞれの支出が混在してしまうと、どのように管理するかをめぐって問題になる可能性もあります。
また共通口座の管理や入金の手間が増えることで、特に忙しい夫婦にとっては負担になることもあるでしょう。これらのデメリットを十分に理解したうえで、夫婦間でしっかりと話し合い、ルールを決めていくことが大切です。
●利用時のルール作りの重要性
共通口座を効果よく活用するためには、あらかじめ明確なルールを設定しておくことが大切です。最初からルールを設定しておけば、夫婦間での誤解や不満を防ぎ円滑な家計管理が実現できます。
まずは、共通口座への入金額や入金するタイミングを決めておきましょう。収入に応じて負担割合を決めるようにすると、収入差がある場合でも一定の公平性を保つことができます。
また、共通口座から支出する項目も夫婦で話し合って決めておくことが重要です。生活費や日用品の基本的な支出だけでなく、「交際費や娯楽費などの支出も共通口座から支払うのか」「各自で負担するか」などを決めておくことでトラブル防止につながります。
さらに予期せぬ支出や緊急時の対応方法についても話し合っておくと安心です。例えば、緊急用の専用口座を設けておくことで突然の支出にも対応しやすくなります。
これらのルールを夫婦でしっかりと確認して決めておくと、共通口座をより効果的に活用し家計管理をスムーズに進めることが期待できます。
■共通口座を選ぶときのポイント
共通口座を選ぶときは、単に便利さだけでなく夫婦のライフスタイルや金銭感覚に合った口座を選ぶことが重要です。
また、口座の利用条件や手数料、利便性なども大事な要素です。ここでは、共通口座を選ぶ際に押さえておきたいポイントについて紹介します。
●手数料を比較
共通口座を選ぶときは、手数料を比較しましょう。ATMの利用手数料や振込手数料について、条件によっては頻繁に利用しても追加費用が発生しない銀行もあります。
またネット銀行で振込手数料が無料になる特典があれば、さらに便利に利用できます。出金手数料が無料回数を超えると安くなる場合もあるため、こうしたサービスも考慮しましょう。
●サービスを比較
各銀行が提供するサービス内容についても比較してみましょう。特に代理人カードの発行が可能であれば、夫婦それぞれがATMで自由に入出金でき口座管理がスムーズになります。
また生活費の自動入金や振込サービスを提供している銀行であれば、家計管理がさらに効率化できるでしょう。さらにネット銀行の使いやすさも、効率性を考えたときには大切なポイントです。
■家計管理や資産を増やすためのコツ
家計を上手にやりくりするには、無駄な支出を減らし賢くお金を使うための少しの工夫や習慣が大切です。日々の生活で実践できる「やりくり上手」になるコツを知れば、生活がもっと楽しく安心できるものになります。
●ネット銀行を活用する
ネット銀行を活用することも、共働き夫婦の家計管理におすすめです。
ネット銀行は、パソコンやスマートフォンを使って、いつでも残高確認や取引履歴の確認ができ通帳がなくても不便を感じることがありません。
また手数料が低く、振込みもインターネット上で簡単に行えるため、忙しい日常生活のなかでも手軽に利用できます。さらに店舗がある銀行よりも預金金利が高く設定されている場合もあり、貯蓄用口座としてもおすすめです。
ただ、ネット銀行の中には家族カードや代理人カードを作れない銀行もあるため、事前によく確認しましょう。
各ネット銀行のサービスや手数料を比較し、自分たちのライフスタイルに合ったネット銀行を選ぶことで、家計管理がより効率的になるでしょう。
●将来のライフプランを考慮する
将来のライフプランを考慮した家計管理は、共働き夫婦にとって大切です。結婚や出産、住宅購入、老後などのイベントや時期に必要な資金を予測し、それに基づいて計画を立てます。
これにより将来の支出に備えることができるほか、リスク管理にもつながります。またライフプランの定期的な見直しで生活環境の変化に柔軟に対応し、目標に向かって効率よく資産運用を行うこともできます。
●長期的に資産運用する
長期的に資産運用を行うことも、共働き夫婦が将来に向けて資産を増やすために効果的です。
まず結婚や出産など将来のライフイベントに必要な資金を予測し、具体的な目標を設定します。そのうえで株式や債券、不動産などに分散投資を行い、リスクを軽減しながら資産運用を行います。また毎月一定額を積立てることで長期的に安定した資産形成も可能です。
しかし、投資には元本が減少するリスクが常に伴います。株式投資の場合、その企業の業績が悪化したり、市場全体が下落したりした場合には、投資元本を割ることもあります。また、債券投資の場合でも、発行企業が倒産すれば元本を失う可能性があります。
したがって、投資先や資産配分を見直す際には、リスクの存在を常に意識し、自身のリスク許容度に合った運用を行うことが重要です。また、専門の金融アドバイザーなどに相談することも有益です。
●共通口座と貯蓄口座を組み合わせる
共働き夫婦が効率的に家計管理するために、共通口座と貯蓄口座を組み合わせる方法も効果的です。
共通口座を生活費の支払い専用にして日々の支出を管理する一方で、貯蓄専用の口座を設けて毎月一定額を入金するようにすれば計画的に貯蓄が行えます。生活費の支出が一目で把握でき、無駄遣いを防ぐことも可能です。また、貯蓄の目的を明確にすることで、将来の資産形成が確実に進められるでしょう。
しかし複数の口座を管理する手間や、口座維持手数料がかかる場合もあるため、手間を軽減する工夫やコスト面も考慮して口座開設することが重要です。
■まとめ
共働き夫婦の家計管理では、共通口座を利用することで家計の透明性が高まり、共通の支出をスムーズに管理できます。
共通口座は、夫婦間の信頼関係を築くうえでも大切な役割を果たしますが、管理方法や使い方についてはしっかりと夫婦で話し合って決めることが大切です。
共通口座と貯蓄口座を組み合わせることで、効率的に貯蓄を進めることもでき、ライフプランに沿った資産運用にもつながります。