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2025/01/09

40代の平均貯金額とは|理想の金額や中央値についても解説

執筆者:新井智美(ファイナンシャル・プランナー)

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40代は、家の購入などの大きな買い物を真剣に考える時期であり、また人によっては子どもの教育費などにお金が掛かり始める時期です。その40代の平均貯金額とはどれくらいなのでしょうか。

今回は40代の貯金の実態について解説するとともに、中央値との違いや年収による貯蓄額の違いについても解説します。

また、上手に貯金を増やすためのコツや注意点も紹介しますので、貯金について悩みや不安を抱えている人はぜひ参考にしてください。

「貯金」と「預金」の違いはお金を預ける金融機関の違いです。大きく下記2つに分けることができます。本記事ではどちらの場合も「貯金」という言葉を使って説明します。

  • 貯金:ゆうちょ銀行、JAバンク、JFマリンバンクなどにお金を預ける場合
  • 預金:銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などにお金を預ける場合

■40代の貯蓄状況の実態

40代の貯蓄状況について、金融広報中央委員会が公表している2023年調査結果の資料に基づき、その実態を単身世帯および2人以上の世帯に分けて紹介します。

●単身世帯

40代の単身世帯で、預金口座もしくは証券口座を持っている人の割合は97.2%です。そのうち保有している金融商品については預貯金が最も多く、92.3%の割合です。次いで株式を保有している割合が25%いることも興味深い点です。

金融資産保有額は以下の通りです。

《40代単身世帯の金融資産保有額別の割合》

金融資産を保有していない

40.4%

100万円未満

11.1%

100万円~200万円未満

5.2%

200万円~300万円未満

4.0%

300万円~400万円未満

3.7%

400万円~500万円未満

2.5%

500万円~700万円未満

4.6%

700万円~1,000万円未満

7.7%

1,000万円~1,500万円未満

6.2%

1,500万円~2,000万円未満

2.2%

2,000万円~3,000万円未満

4.3%

3,000万円以上

4.3%

無回答

3.7%

金融資産保有額の平均額は559万円、中央値は47万円です。中央値とは、金額順に並べた際の中央にあたる値で、平均値を補うものです。平均値よりも中央値のほうがより実態に近く、平均値よりも中央値のほうが少ない場合、2極化が進んでいることがわかります。

ただし、上の表は金融資産を保有していない人も含まれます。金融資産を保有している人だけで見ると、平均値は964万円、中央値は500万円です。

保有している金融資産の内訳は以下の通りです。

《40代単身世帯が保有している金融商品の平均額》

預貯金(うち定期預金)

473万円
(176万円)

金銭信託

12万円

生命保険

46万円

損害保険

12万円

個人年金保険

47万円

債券

15万円

株式

175万円

投資信託

139万円

財形貯蓄

18万円

その他の金融商品

26万円

預貯金の割合が多いのは上で述べた通りですが、生命保険や個人年金保険などを保有している人も一定数います。また株式や投資信託を保有している人も多くみられます。

そして、金融資産の保有目的は以下のようになっています。

《40代単身世帯が金融資産を保有する目的別の割合》

病気や不時の災害への備え

45.1%

子どもの教育資金

2.1%

子どもの結婚資金

1.6%

住宅の取得または増改築資金

5.7%

老後の生活資金

60.6%

耐久消費財の購入資金

7.8%

レジャー、旅行資金

17.1%

納税資金

0.5%

遺産として遺す

1.0%

特に目的はない

25.1%

その他

8.8%

次に年間の手取り収入における貯蓄割合を見てみましょう。

《40代単身世帯の手取り収入における貯蓄割合》

5%未満

3.1%

5%~10%未満

8.8%

10%~15%未満

13.5%

15%~20%未満

6.2%

20%~25%未満

11.9%

25%~30%未満

1.6%

30%~35%未満

7.3%

35%以上

12.4%

貯蓄できなかった

35.2%

単身の40代でも「貯蓄できなかった」人が35.2%存在します。また、貯蓄できても手取りの「10%~15%未満」と回答した人が13.5%と、「20%~25%」「35%以上」と回答した人よりも多いことがわかります。

●2人以上の世帯

では、40代の2人以上世帯の貯蓄状況はどうでしょうか。単身世帯と同じように紹介していきます。まず、金融資産保有額です。

《40代2人以上の世帯の金融資産保有額別の割合》

金融資産を保有していない

26.8%

100万円未満

9.6%

100万円~200万円未満

8.9%

200万円~300万円未満

4.9%

300万円~400万円未満

5.7%

400万円~500万円未満

3.8%

500万円~700万円未満

7.4%

700万円~1,000万円未満

5.6%

1,000万円~1,500万円未満

7.4%

1,500万円~2,000万円未満

3.5%

2,000万円~3,000万円未満

5.3%

3,000万円以上

6.5%

無回答

4.5%

保有している金融資産の平均額は889万円、中央値は220万円です。2人以上世帯は、単身世帯よりも貯蓄できていることがわかります。

ちなみに、金融資産を保有していない世帯を除いた場合の平均額は1,236万円、中央値は500万円です。

次に、保有している金融資産の種類を見てみましょう。

《40代2人以上の世帯が保有している金融商品の平均額》

預貯金(うち定期預金)

501万円
(169万円)

金銭信託

23万円

生命保険

168万円

損害保険

41万円

個人年金保険

73万円

債券

25万円

株式

231万円

投資信託

123万円

財形貯蓄

38万円

その他の金融商品

14万円

やはり2人以上の世帯でも預貯金が占めている割合が1番多く、株式や投資信託で保有している金額が多い点も注目すべきでしょう。

また、2人以上の世帯は単身世帯よりも生命保険で保有している金額が多いことがわかります。では、保有目的についてはどうでしょうか。

《40代2人以上の世帯が金融資産を保有する目的別の割合》

病気や不時の災害への備え

40.0%

子どもの教育資金

46.5%

子どもの結婚資金

6.0%

住宅の取得または増改築資金

9.1%

老後の生活資金

57.9%

耐久消費財の購入資金

10.9%

レジャー、旅行資金

15.8%

納税資金

1.8%

遺産として遺す

2.7%

特に目的はない

14.4%

その他

3.9%

単身世帯とは異なり、2人以上の世帯となると保有目的については子どもの教育資金や老後の生活資金が多くを占めます。もっとも、老後の生活資金を目的としている割合は単身世帯のほうが多いようです。

次に年間の手取り収入における貯蓄割合を見てみましょう。

《40代2人以上の世帯の手取り収入における貯蓄割合》

5%未満

8.3%

5%~10%未満

15.6%

10%~15%未満

22.1%

15%~20%未満

3.9%

20%~25%未満

11.0%

25%~30%未満

1.4%

30%~35%未満

5.7%

35%以上

7.1%

貯蓄できなかった

24.8%

2人以上の世帯となると「貯蓄できなかった」人の割合は単身世帯よりも低いものの、多くが手取り収入の「5%~15%未満」であることがわかります。

■40代で必要となる貯金額とは

ライフイベントで大きなお金がかかるのは住宅の購入です。これは単身世帯、2人以上の世帯に関わらず発生する傾向にあります。

また2人以上の世帯で子どもがいる場合は、その資金も準備しておかなければなりません。それらを踏まえ、40代でどのくらいの貯蓄額が必要になるのかをしっかりと把握しておきましょう。

●住宅購入資金

2023年度のフラット35利用者調査によると、借入時の平均年齢は44.3歳、家族数は3人が割合としては多い傾向があります。世帯年収の平均は660.5万円で、借入れる際に頭金として約500万円を入れているようです。

ということは、40代の時点で約500万円の貯金額が必要だといえそうです。

その結果、毎月の返済は11万7,200円に落ち着いています。ただし、購入する物件によって用意する頭金は異なります。以下に物件ごとの表を作成しましたので、参考にしてみてください。

(新築)

注文住宅 土地付き
注文住宅
建売住宅 マンション

借入時年齢

48歳

41歳

43歳

48歳

世帯年収

629万円

704万円

600万円

955万円

頭金

699万円

474万円

295万円

1,189万円

毎月の返済額

11万1,000円

14万3,200円

11万2,200円

14万8,100円

(中古)

建売住宅 マンション

借入時年齢

45歳

47歳

世帯年収

536万円

659万円

頭金

220万円

530万円

毎月の返済額

8万3,000円

9万3,500円

このように、どの物件を買うかによって用意する頭金は異なります。頭金を比較的抑えられるのは建売住宅ですが、40代で住宅を購入する際にはその後ずっと住み続けるのか、もしくは住み替えを視野に入れるのかも考える必要があります。

もちろん教育費などの支出と重なる場合は、毎月の返済額が家計の負担にならない金額を借入れる必要があり、そのためにも頭金の準備をしておくことが大切です。

●教育費

高等学校および大学への進学には、お金が掛かります。また、小学校や中学校でも私立に通うとなると多くのお金が必要です。

文部科学省の資料によると、学校の種類別学習費(学校に支払う教育費や給食費、学校外の活動費)の総額は以下の通りです。

(公立)

  • 1.幼稚園:165,126円
  • 2.小学校:352,556円
  • 3.中学校:538,799円
  • 4.高等学校:512,971円

(私立)

  • 1.幼稚園:308,909円
  • 2.小学校:1,666,949円
  • 3.中学校:1,436,353円
  • 4.高等学校:1,054,444円

仮に幼稚園から高等学校まで公立だった場合、高等学校までの学習費は1,569,462円ですが、高等学校だけ私立に通った場合は2,110,935円となり全て公立に通った場合と比べ54万円高くなります。

さらに幼稚園から高等学校まで全て私立に通った場合の学習費総額は4,466,655円です。

さらに大学進学となると、もっと多くのお金が掛かります。

(国立大学)

  • 入学金:282,000円
  • 授業料:535,850円

(公立)

  • 入学金:391,305円
  • 授業料:536,363円

(私立)

  • 入学金:245,951円
  • 授業料:930,943円
  • 施設設備費:180,806円

国立や公立の大学は、学部による金額の違いはありません。一方で私立の場合、進学先の学部(理系、医学部、歯学部など)によっては入学金だけで1,000万円を超えるケースもあります。また、6年制となると授業料が6年分掛かります。

大学に進学する際には、入学時に入学金と前期の授業料を支払わなければならないので、子どもが希望する進路に応じた費用を把握し、準備しておく必要があります。

■貯金を増やすためのポイント

「これから貯金を増やしたい」と思うなら、以下の点に気をつけましょう。

●貯金の目標を具体的に決める

目標がないまま貯金をしていると、何のために貯金をしているのかわからなくなり、ストレスを感じることもあるでしょう。

これからの自分のライフイベントを考えながら、いつまでにどのくらいの費用が必要なのかを把握した上で、目的に応じた貯蓄額を設定して貯金することが大切です。

目的は住宅購入資金や教育費だけではありません。車の購入費用や旅行、レジャー費用、さらには老後資金などさまざまです。目的別に口座を分けておくとよりモチベーションが高まるかもしれません。

●家計の見直し

貯蓄にあたり、無駄な支出を抑えることも大切です。そのために、まず家計を見直しましょう。家計の見直しで最初に取り組みたいのは、固定費の見直しです。

固定費とは家賃や通信費(基本料金部分)など金額が変わらない費用のことで、一度見直すとその効果がずっと続く点がメリットです。

通信費が高いと感じるなら、プラン変更やキャリア変更を検討しましょう。また、利用していないサブスクリプション(サブスク)などは解除することをおすすめします。

サブスクの料金は低額なものが多いため契約してしまいがちですが、年間で考えると大きな金額になります。毎月の支出を把握し、削減できるところから見直しましょう。

●先取り貯蓄

収入が入った時点で決めた金額を貯蓄に回し、残った金額で生活する方法です。そうすることで確実に貯めることができますし、やりくり上手になる可能性もあります。

先取り貯蓄を行う際は、貯蓄に使っている口座を利用する他、勤務先に財形貯蓄制度があるなら利用してもよいでしょう。

■40代から考えたいこと

20代や30代ではなく、40代になったからこそ考え始めたいこともあります。

●老後資産の形成

老後資産の形成を本格的に考え始めるのは50代ともいわれていますが、早めに始めるに越したことはありません。貯蓄に余裕があるなら、どのように資産を形成していくかもあわせて考えてもよいでしょう。

元本割れのリスクを許容できるなら、運用商品を保有してもよいでしょう。また、普通預金よりも利回りが高い貯蓄方法(定期預金や財形貯蓄制度の利用)を考えることも大切です。

●親の介護

40代になると、親の年齢が70代になっている人は多いでしょう。

70代でもまだ元気な人もいますが、体力が落ちたり認知症を発症したりして、介護が必要になることもあります。介護費用については、子どもが一時的に立て替えたり、負担したりしなければならないケースもあります。

介護のために休職が必要になる可能性もあります。いざというときに慌てないように、事前にどのような介護サービスを利用できるのか、費用はいくらかなども把握しておきましょう。

●子どもの教育費

前述のとおり、子どもの教育費は多額です。特に、大学進学となると一時的に大きな支払いが発生することが多いため、事前に準備しておく必要があります。

どうしても難しい場合は、高等教育の修学支援新制度や奨学金制度を利用する方法もあります

高等教育の就学支援制度は文部科学省が行っているもので、一定の年収以下などの要件を満たせば給付型奨学金や授業料もしくは入学金の減免を受けられます。

なお、2024年度からは多子世帯や私立の理学部、工学部、農学部に進学する学生に向けた支援拡大を行っていますので、該当するなら利用しましょう。

奨学金制度で代表的なのは、日本学生支援機構が行っている奨学金です。ただし、収入基準や学力基準を満たさなければ利用できません。最近では大学独自の奨学金制度を用意しているところもあるので、進学の際にはそのような制度を導入している大学を選ぶのもよいでしょう。

■まとめ

40代の2人以上世帯の平均貯蓄額(金融資産を保有していない人を除く)は、1,236万円、中央値は500万円です。

目標とする貯蓄額は自分が置かれている状況によって異なりますが、これからどのくらいのお金が必要なのかを考え、目的別に貯蓄していく方法を取り入れましょう。そうすることでお金が貯まりやすくなり、管理もしやすくなります。

執筆者:新井智美

プロフィール:
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)をおこなうと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績は2,500本を超える。

資格情報:CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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