2024/09/30
住宅ローンの本審査に必要な書類一覧|審査の流れについても解説
執筆者:新井智美(ファイナンシャル・プランナー)

住宅ローンの審査は、事前審査とも呼ばれる仮審査を経て本審査に移ります。
本審査では多くの書類が必要です。新規なのか借換えなのか、また購入する住宅が戸建て(建売住宅もしくは注文住宅)なのかマンションなのかによっても異なり、人によっては20種類近くの書類を揃えなければならないケースもあります。
もちろん、本審査に移行する際に必要な書類については金融機関から案内がありますが、審査を早く進めるためにも事前にどのような書類が必要なのかを把握し、準備しておくと安心です。
今回は住宅ローンの本審査に必要な書類や、審査の流れについても解説します。
■本審査に必要な書類
一般的に、本審査に必要な書類として以下のものが求められます。
住宅ローン申込書類 |
金融機関所定の住宅ローン申込書 |
---|---|
本人確認書類 |
運転免許証 |
収入証明書類 |
(給与所得者) |
物件関連書類 |
売買契約書 |
その他必要になる可能性のある書類 |
(フラット35を利用する場合) |
本審査に必要な書類は金融機関によって異なりますので、上記以外の書類を求められることもあります。
それぞれの書類について、以下で詳しく解説します。
●1. 住宅ローン申込書
住宅ローン申込書は、金融機関所定のものを使用します。仮審査用と本審査用と分けている金融機関も多く、その場合は本審査時に申込書を再度提出する必要があります。
また、多くの金融機関が保証会社を利用しているため、保証会社への委託申込書も必要です。
さらに、一般の金融機関では住宅ローンの利用にあたり団体信用生命保険への加入を必須としていますので、加入申込書と申込時点の体況を告知する告知書を提出しなければなりません。
また、申込みにあたり個人情報に関する同意書を提出する必要があり、連帯保証人を付ける際には連帯保証人も同意書を提出します。
●2.本人確認書類
本人確認書類として多く利用されるのは、運転免許証です。通常、表裏両面のコピーを提出します。
パスポートも本人確認書類になりますが、2020年2月4日以降に申請したパスポートには住所の記載がないため、本人確認書類としての利用ができない点に注意してください。
●3.収入証明書類
収入証明書類は、住宅ローン申込者の属性によって異なります。
給与所得者で、確定申告を行っていない人であれば、前年の源泉徴収表の写しを提出します。その際は、マイナンバーが記載されていないものを提出しましょう。さらに、住民税決定通知書もしくは課税証明書も必要になりますので準備しておきましょう。
源泉徴収票の写しや住民税決定通知書は勤務先から配布されますが、課税証明書については市区町村役場にて入手しなければなりません。直近では郵送対応なども増えているため、各役場に確認の上で、入手しましょう。
給与所得者でも確定申告を行っている人や個人事業主は、直近の確定申告書の控え(付表などを含むすべての書類)が必要です。さらに、税務署で所得税の納税証明書を入手しなければなりません。書類はその1、その2ともに必要ですので、片方しか用意していないといったことにならないようにきちんと準備しておきましょう。また、給与所得者の場合は直近の分で構いませんが、個人事業主は一般的に直近3年分が必要です。
●4.物件関連書類
物件関連書類とは、担保となる物件の内容を証明する書類のことです。
提出が求められる主な書類は以下のとおりです。
- 売買契約書の写し
- 重要事項説明書
- 間取り図、配置図、地積測量図
- 建築確認済証、建築確認通知書
- 建築確認申請書
- 建物の配置図、各階の平面図、立面図
- 登記事項証明書(土地および建物)
注文住宅を購入する場合は、以下の書類などが追加で必要になります。
- 工事請負契約書
- 建物図面
- 土地の公図
なお、ペアローンを組む場合は基本的にどちらか一方が提出すればよいことになっています。
●5.その他の必要になる可能性がある書類
上記の他にも、ケースによっては必要となる書類があります。例えば、フラット35を利用する場合は適合証明書が必要です。
契約者が外国籍で永住許可を受けているなら、市区町村役場の窓口で特別永住者証明書または在留カードを入手する必要があります。有効期限が定められているケースが多いので、有効なものを準備しましょう。
つなぎ融資を利用する場合は、つなぎ融資に関する確認書や同意書、借入申込書も必要です。
中には前年以降に勤務先が変わった人や、産休もしくは育児休暇中の人もいるかもしれません。勤務先が変わった場合は勤務先から受取る給与明細書や賞与明細書の提出も必要です。一般的に給与明細書は直近3ヶ月分、賞与明細書は直近1年分のものを求められます。
産休もしくは育児休暇中の場合は、勤務先が発行する産休もしくは育休通知書を提出してください。また、転職したばかりの場合は職歴所の提出を求められるケースもあります。
住宅ローン申込時に他社からの借入れがある場合は、返済予定表も提出しなければなりません。
■借換えの際に必要な書類
また、借換えの際に必要な書類もあります。
借換えの場合、本人確認書類および収入証明書類は新規借入れ時と変わりませんが、現在返済中の住宅ローンの返済予定表および返済用口座の通帳の提出も求められます。
最近は通帳を発行していない金融機関もありますが、その場合は直近6ヶ月分の返済履歴を確認できるページを印刷して提出しましょう。
■仮審査と本審査の違い
仮審査は本審査を受ける前の事前審査です。そのため、仮審査に通らなければ本審査は受けられません。
仮審査時には、主に安定収入の有無や信用情報などがチェックされます。つまり、申込者に返済能力があるかを判断するのです。返済能力があると判断されたら、本審査で収入の状況や購入する物件の担保価値などを詳しくチェックし、最終的な融資金額を決定します。
そのため、本審査の結果によっては、仮審査時に申し出た希望借入金額まで借りられない可能性があることを覚えておきましょう。
一般的に仮審査にかかる時間は1日~1週間、本審査にかかる時間は1~2週間程度と考えておいてください。
■本審査が行われるタイミング
住宅ローンの申込みから契約までの流れは、以下のとおりです。
1.仮申込みを行う
2.仮審査が行われる
3.仮審査の結果通知
4.仮審査に通過したら本審査の申込み
5.本審査に関する書類の提出
6.本審査の結果通知
7.契約
8.融資実行
つまり、本審査が行われるのは仮審査に通過した後です。
■書類を準備するタイミング
住宅ローンの申込みには、金融機関によっては仮審査の申込時に書類提出が必要なことがあります。仮審査と本審査の両方で必要になる書類も多くあるため、本審査で必要となる書類は、仮審査の申込時点で準備しておくことをおすすめします。
ただし、注文住宅を建てる際の工事請負契約書などは本審査のタイミングでしか準備できませんので、契約の流れに沿ってどの書類を用意しておくべきかをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
■必要書類を準備する際の注意点
必要書類を準備する際には、以下の点に気をつけましょう。せっかく準備したのに使えないとなっては意味がありません。
●有効期限
住民票など公的機関が発行する書類については、「発行後○ヶ月以内のもの」と各金融機関で決められています。有効期限は書類によっても異なりますので、提出前に有効であることをしっかり確認してください。
●本書か写しか
提出書類によっては、本書ではなく写しでよいものもあります。写しでよい場合はその旨が記載されているケースが多いですが、不明な場合は事前に金融機関に問い合せて確認しましょう。
また健康保険証の番号など、一部を消して提出しなければならないものもあります。提出の条件を満たすことも忘れないようにしてください。
●ペアローンの際は片方は写しでもよいケースがある
ペアローンで住宅ローンを申込む際には、審査は双方に対して行われます。そのため、必要書類も2通用意するものと思われがちですが、登記事項証明書など共通するものについては片方が本書を提出すればよいケースもあります。特に登記事項証明書や住民票など公的機関が発行する書類は入手する際に手数料が発生するため、手数料を無駄にしないためにも「自分の場合は本書が何通必要か」をしっかり確認しておきましょう。
●購入する物件(マンションか戸建てか、新築か中古か)によって必要書類は異なる
購入する物件によって必要書類が異なることも覚えておきましょう。
例えば、新築マンションの場合は土地の登記事項証明書は不要ですが、中古マンションを購入する際には土地と建物の登記事項証明書をそれぞれ準備しなければいけません。
また、中古の戸建てを購入する場合、検査済証は不要です。
このように、購入する物件がマンションか、建売住宅か注文住宅か、新築物件か中古物件かによって必要な書類が異なることを覚えておきましょう。
■まとめ
住宅ローンの本審査に必要な書類は、契約者の属性や購入する物件、また収入合算やペアローンなど契約方法によっても異なります。
まずは自分の属性と購入する物件の種類を確認し、必要な書類を準備しましょう。
契約形態によっては写しだけで済むケースもありますし、逆に提出書類が増えるケースもあります。
本審査で必要な書類は利用する金融機関のウェブサイトに記載されていますが、不明点は必ず事前に確認し、計画的に準備しましょう。また、仮審査と本審査の両方で必要な書類については仮審査時にあらかじめ取得しておくと手間を省けます。