2024/08/30
ネット銀行の預金金利が高いのはなぜ?
その理由や種類別の金利を紹介
執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)
ネット銀行の預金金利は「従来の銀行に比べて高い」といわれていますが、なぜでしょうか。背景にあるのは、ネット銀行の効率的な運営やコスト削減です。
本記事では、ネット銀行における預金金利の高さや低い手数料でサービス提供できる理由について詳しく解説します。どこで預金すべきかを迷っている人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
■ネット銀行の預金金利は高いって本当?
ネット銀行とは、主にインターネットを通して銀行サービスを提供する金融機関を指します。ネット銀行は、従来の銀行と異なり実際の店舗や窓口を多数展開することは少ないです。店舗運営のための場所代や人件費といった費用削減ができる分をサービス向上(高い金利や手数料削減など)に充てているとされています。
●預けるなら預金金利が高いネット銀行
預金金利とは、お金を預けたときにどれくらい利息を受取れるかを示す割合のことです。例えば預金金利年0.1%の場合は、100万円を1年間預けたときに1,000円の利息がつき合計100万1,000円(税引前)になります。預金金利が高ければ高いほど預けたお金が増えやすくなるため、利用者側にとって有利といえるでしょう。
ネット銀行は、従来の銀行に比べて預金金利が高い傾向があるため「少しでもお得にお金を預けたい」という人に向いています。
■【預金種類別】預金金利はどれくらい?
ネット銀行の預金金利は、どれくらいなのでしょうか。ここでは、預金の種類ごとに目安となる金利を紹介します。
●普通預金
普通預金は、いつでも自由に預けたり引出したりできる預金です。多くの人にとって最も身近で老若男女を問わず広く利用されています。普通預金は、給与の受取り、家賃や公共料金の支払いなどさまざまな用途に使えて便利です。しかし定期預金や外貨預金などと比べると金利が低い傾向があります。
普通預金 | 金利の目安 |
---|---|
ネット銀行 |
0.02~0.33%程度 |
従来型の銀行 |
0.02%程度 |
- ※2024年8月時点
ネット銀行は、特定の条件を満たした場合に金利がアップする仕組みを導入している場合もあります。例えば「同グループの証券口座と連携すると金利年0.1%アップ」「同グループのクレジットカードの引落とし口座に設定すると年0.05%アップ」といった具合です。キャンペーンや特典、優遇措置をうまく活用すれば、従来型の銀行よりかなり高い金利で預金できます。
●定期預金
定期預金は、その名の通りお金を預ける期間があらかじめ決まっている預金です。設定できる期間は、金融機関によっても異なりますが、例えば6ヶ月、1年、5年、10年など自分で都合のよい期間を選択できます。一般的には、預ける期間が長いほど金利が高くなる傾向です。「すぐに使わないお金をちょっとお得に預けたい」というときに向いています。
定期預金(預入期間1年) | 金利の目安 |
---|---|
ネット銀行 |
0.02~0.37%程度 |
従来型の銀行 |
0.025~0.125%程度 |
- ※2024年8月時点
上記の通り、定期預金の金利もネット銀行のほうが高めです。なお定期預金は、ペイオフの範囲内で元本が保証されているため、途中で解約して引出しても預けたお金が減ることはありません。ただし満期を迎えた場合よりも低い金利が適用されます。
●外貨預金
外貨預金とは、日本円ではなく米ドルやユーロなど外国の通貨で行う預金のことを指します。一般的に日本よりも金利が高い国の通貨で預金することで、円預金よりも大きな利息を期待できる点が魅力です。しかし為替変動の影響を受けるため、預けたときよりも円高が進んだ場合は元本割れする(預けた日本円が減る)可能性もあります。
いつでも引出せる外貨預金は「外貨普通預金」、預金する期間が決まっていて満期がある外貨預金は「外貨定期預金」と呼ばれます。
外貨定期預金(預入期間1年・米ドル) | 金利の目安 |
---|---|
ネット銀行 |
1.2~4.3%程度 |
従来型の銀行 |
0.01~4.1%程度 |
- ※2024年8月時点
外貨定期預金は、円普通預金や円定期預金に比べてハイリスクとなりますが、金利も高めです。なお日本円と外貨の両替にかかる為替手数料や取り扱い通貨は、金融機関によって異なります。外貨預金をお得に利用したい場合は、仕組みをよく理解したうえで比較・検討しましょう。
■ネット銀行の金利がお得な理由
いくつか理由がありますが、特に大きいのは「運営コストを低く抑えている」という点です。一般的にネット銀行の多くは、実店舗や窓口がなくインターネットを通して取引するため、手元のスマホやパソコン一つで手続きが完結できます。
実店舗を運営する場合は、「出店場所を探す」「賃料や地代を支払う」「窓口対応の人を雇う」「ATMや機材を配置する」など多大な費用がかかり、これらすべてにお金が必要です。しかしネット銀行では、こうしたコストを省くことができます。またネット銀行では、コストのかかる「紙の通帳」は発行せず、残高や入出金の確認はマイページ(口座を持っている人専用の個人ページ)やアプリなどで行うのが一般的となっています。
ネット銀行では、従来の銀行であれば「あって当たり前な設備や作業」などをなくすことでコストを抑え、浮いたお金を金利など利用者側のメリットになることへ回してサービスを充実させています。
●ネット銀行にデメリットはある?
ネット銀行は「金利がお得」「手数料が安い」「特典や優遇も充実している」などメリットがたくさんあります。しかしなかには「デメリットはないのか?」と気になる人もいるかもしれません。
ネット銀行の利用を検討する際にデメリットとして押さえておきたいのは、以下のようなポイントです。
- インターネットに慣れていないと操作が難しく感じる可能性がある
- 担当者に対面で相談できるサービスが少ない
ネット銀行は、当然インターネット環境がない状況では使えません。また「ログインなどの基本操作がわからない」「通信障害などが発生している」といった場合も思うように利用できない可能性があります。
さらに実店舗や窓口が基本的にはないため「書類を持って担当者へ聞きに行く」「面前で手取り足取り説明してもらいながら手続きする」といったことができません。
わからないことがあっても対面での相談は限られ(一部対面やリモートで相談できるネット銀行もある)、基本的にはチャットや電話などでの対応になります。
●ネット銀行での預金に向いているのはこんな人
上述の通り、ネット銀行にはメリットとデメリットがあります。ここまでの内容を踏まえると、ネット銀行で預金するのに向いているのは、以下のような人です。
- 少しでもお得に銀行サービスを利用したい人
- インターネットに慣れている人
- 仕事や育児などが忙しく店舗を訪れるのが難しい人
- 対面での相談が必要でない人
- わからないことが出てきても自分で調べて解決できる人
このような条件にあてはまる人であれば、ネット銀行の便利さやお得さを最大限に活かせる可能性が高いでしょう。そのほかネット銀行は、取り扱っている金融商品の幅が広い傾向があるため、「将来的には預金だけではなく資産運用もやってみたい」という人にも向いています。
もっとも、銀行ごとに金利や手数料などが異なり、利用できるサービスや利便性にも差があります。そのため、それぞれの特徴を知ったうえで比較し自分に最も合う銀行を選ぶことがおすすめです。
■ネット銀行で預金する際の手順
特に今までネット銀行を利用したことがない人は、インターネットでの手続きと聞くと「難しそう」「面倒そう」といったイメージを持つかもしれません。しかしネット銀行の使い方は、さほど難しくなくスマホをよく利用する人であれば過度に心配する必要はないでしょう。最後にネット銀行を実際に利用する際の手順を紹介します。
●口座開設の手続き
口座開設は、おおむね以下のような流れで進めます。
1. 口座開設したいネット銀行を選ぶ
2. ネット銀行の公式サイトや公式アプリで「口座開設」を選択
3. 画面の案内に従って、氏名や住所などを入力
4. 運転免許証など本人確認書類の画像を送信
5. 口座開設者専用の個人ページのID・パスワード、キャッシュカードなどが届く
6. 個人ページやアプリ、ATMなどからサービスを利用できる状態になる
基本的に24時間365日いつでも手続きできます。もちろん店舗窓口まで出向いたり、書類に記入したりする必要はありません。
●預金の手続き
口座開設の手続きが終わったあとは、例えば以下のような手順で預金ができます。
【ATMから入金する場合】
1. 利用するネット銀行と提携しているATM(他の銀行やコンビニなど)に行く
2. キャッシュカードを入れて端末を操作する
3. 「預入れ」を選択してATMに現金を入れる
ほかの銀行口座から振込んで入金することも可能です。預金残高は、個人ページやアプリからいつでも確認できます。
■まとめ:ネット銀行の金利はお得!
ネット銀行の預金金利は、多数の店舗を展開する従来型の銀行に比べて高めに設定されています。なぜならネット銀行は、自前の店舗やATMを持たないことでコストを抑えやすく、運営資金をサービス向上へ振り向けやすいからです。なかには「高金利すぎて怪しい」「ネット銀行はなんとなく怖い」と思う人もいるかもしれません。
しかしネット銀行の金利が高いのには、明確な理由があります。スマホやパソコンが使えてインターネットに慣れた人であれば難なく利用できるでしょう。少しでもお金をお得に預けたい場合は、ネット銀行の利用を検討してみてはいかがでしょうか。