2024/07/23
お金に関わるアプリのログイン情報の安全な管理方法とは?
執筆者:清水剛
銀行やカード会社のアプリが増えてきており、パスワードやIDの管理が煩雑になってきています。パスワード管理ツール等を使用すると、パスワード管理の負担を減らすことができ、さらに生体認証を利用すれば安全性がアップするでしょう。この記事ではパスワードの管理方法や安全性の高め方について解説します。
銀行やカード会社、証券会社など、お金まわりを管理するためのアプリが増えてきています。
しかし、アプリが増えることによって、パスワードの管理が煩雑になっていませんか?
近年は多くの人が、さまざまな場面でIDとパスワードを使います。しかし、中にはパスワードの管理が難しいと感じる人もいるようです。
そういった悩みを解決するために、様々なサービスで導入されている認証方法がシングルサインオンです。また、各自で生体認証やパスワード管理ツールなどを利用して、パスワード管理を容易にすることも可能です。シングルサインオンとそれらを併用することで、IDとパスワードを適切に管理しやすくなります。
この記事では、シングルサインオンの仕組みやIDとパスワードの管理方法を紹介します。
シングルサインオン(SSO)とは?
シングルサインオン(SSO)とは、IDとパスワードを一度入力するだけで、アプリなどの複数サービスにログインできるようになる技術のことです。
本来であれば、SNSやECサイト、クラウドサービスなどを使うときに、毎回IDとパスワードの入力が必要です。しかしシングルサインオンを活用すれば、1つのIDとパスワードで全てのサービスにログインできるようになります。一度認証すると、他のサービスにも自動的にログインできるため便利です。
複数のサービスを使うためには、それぞれIDとパスワードを設定しなくてはならず、その管理に手間がかかります。またセキュリティ上、パスワードは推測されないように複雑にする必要がありますが、複雑なパスワードを複数管理するのは意外と大変です。かといって、同じパスワードを使い回すとセキュリティレベルが低下してしまいます。
複数のパスワードを覚えられない場合、紙などに書いて保管する人もいます。しかし、安全性を考慮すると、このような管理の方法は適切ではありません。
シングルサインオンを利用してIDとパスワードを一元管理することで、覚える必要がなくなり、紙などに書いて保管する必要がなくなります。ただし、そのためにはシングルサインオンに関する正しい知識を持つことが大切です。
シングルサインオンの安全性と利用するメリット
IDとパスワードの管理が楽になるといっても、一元管理をするとセキュリティ面が気になる人もいるかもしれません。
そこでここでは、シングルサインオンを利用するメリットと安全性を紹介します。
パスワードを管理する手間を減らせる
IDとパスワードの管理を一元化すると、ログインする手間が大幅に省けます。シングルサインオンを使えば、1つのIDとパスワードで対応する全てのサービスにログインできるので、IDを忘れてログインができない、なんて心配もありません。
また、複数のIDとパスワードを使い分ける場合は、入力ミスが発生しがちです。サービスによっては、何度もパスワードを間違えるとアカウントがロックされ、サポートセンターに連絡しなければならないケースもあります。
アプリで振込をしようとしたのに、アカウントがロックされて結局ATMに行かざるを得なくなった、というような経験はありませんか?IDとパスワードの管理を一元化すると、こういった手間を減らすことができます。
安全性を落とさずに利便性を高められる
複数のシステムにログインする際、通常はそれぞれ異なるIDとパスワードを使用します。しかし、簡単なパスワードではセキュリティが脆弱になるため、複雑な文字の組み合わせを使う必要があります。推奨されるパスワードの長さは8桁以上で、アルファベット、数字、記号を組み合わせるとよいでしょう。しかし、このような複雑なパスワードを複数覚えるのは難しいと感じる人もいるようです。
そのため、多くの人が同じパスワードを複数のシステムで使い回してしまうことがあります。これはセキュリティ上、非常に危険です。なぜなら、一つのパスワードが漏れただけで、他のシステムにも不正アクセスされる可能性があるからです。
シングルサインオンの場合は、1つのIDとパスワードだけで複数のシステムにログインできるようになります。これにより、覚えるパスワードは1つだけで済むので、パスワードの使い回しを防ぎつつ、利便性を高められます。
生体認証を併用すれば安全性が高まる
シングルサインオンを利用しても、不正アクセスを完全に防止できるわけではありません。1つのIDとパスワードで管理できるということは、そのIDとパスワードが漏れたら、簡単に侵入されてしまうことを意味します。
そこで、パスワード漏洩への対策として、シングルサインオンと生体認証を併用するのがおすすめです。生体認証は、各個人で異なる身体的特徴を利用して、本人であることを確認する認証方法です。
指紋や静脈、顔などの情報を事前に登録し、認証時に照合することによって本人確認を行います。生体認証は、パスワードを使う必要がないので暗記する手間が発生しません。また、パスワードが漏れることもありません。
従って、本人であることが高精度に認証される生体認証は、なりすまし防止にもなる安全性の高い認証方法と言えるでしょう。
生体認証のメリット
生体認証以外の方法でシステムにログインしようとすると、パスワードやICカードが必要になります。これらは紛失したり盗まれたりする恐れがあることから、取り扱いには十分な注意が必要です。
しかし、個人の身体的特徴を利用する生体認証であれば、紛失・盗難のリスクについて考慮する必要がありません。
このように、生体認証は利便性に優れ、紛失・盗難リスクが低い認証方法と言えるでしょう。
パスワードを管理する方法と注意点
パスワードを管理する方法はいくつかありますが、セキュリティ上問題のある方法もあるので注意が必要です。
紙にメモする
メモ紙などに、IDとパスワードを書いて保管しておく方法です。この方法は手軽な反面、メモを他人に見られたり、紛失したりする恐れがあります。
Excelやテキストファイルで保存する
紙よりもパスワードの入力や更新がしやすく便利です。ただし、紙のメモ同様、他人に見られる恐れがあるため注意が必要です。
パスワード管理ツールを利用する
パスワード管理ツールを使うと、パスワードを効率よく管理できるので便利です。パスワード管理ツールは、OS標準のパスワード管理機能、ブラウザのパスワード管理機能の他、パスワード管理用スマホアプリをダウンロードして入手できます。
パスワード管理ツールを利用すると、「パスワードを全て覚えなくても困らない」「紛失や盗難、第三者から盗み見られるリスクを回避できる」といったメリットがあります。
パスワードをメモ紙に書いたり、Excelやテキストファイルに入力したりするよりも、パスワード管理ツールを使った管理方法のほうが、安全性や利便性が高いと言えるでしょう。
よくあるご質問
ここでは、ログインやパスワードの管理について、寄せられることの多い質問と回答を紹介します。
毎回のパスワード入力が面倒です。何か他の方法はありますか?
生体認証やパスワードマネージャー機能の利用をおすすめします。一度パスワードを認証すれば、毎回の入力の手間が省けます。
生体認証を利用するのは不安があります…
登録した顔や指紋などの個人データが流出してしまうのでは、と考える方もいるのではないでしょうか。そもそも、生体認証は写真として保存されるわけではなく、顔や指紋から特徴点のみを抽出して数値的にデータ化しデバイスなどに記録しているに過ぎません。 つまり、この特徴点を利用するだけでは元の顔や指紋を復元することはできないのです。
まとめ
さまざまなシステムの利用が増えてくると、IDやパスワードの管理が面倒ですよね。かといって同じパスワードを使い回すことや、紙に書くのはセキュリティ面に問題があります。パスワード管理ツールで一元管理したり、生体認証を使って安全性を高めたりすることがおすすめです。