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2024/06/28

子供のための貯金は毎月いくらがベストか|必要な金額や貯めるポイントも紹介

執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)

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「子供がいるとお金がかかるから、将来を見据えてしっかり貯金しておきたい」と考える人は多いでしょう。しかし、具体的にいくら貯めておけばよいのかわからず、漠然とした不安を抱えていませんか。

この記事では、子供のために貯めておきたい金額について解説します。

子供にかかる費用の目安、毎月の貯金額の設定方法、お金を貯めるときのポイントまで、詳しく見ていきましょう。

■子共がいる世帯の貯金の平均額

「普通はどれくらい貯めている?」「我が家の貯金は少ないほうなの?」と気になる人もいるでしょう。まずは、子供がいる世帯の平均的な貯金額を紹介します。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)別ウィンドウで開きます」によれば、家族構成が「夫婦+子」の世帯の場合、金融資産保有額の平均は1,212万円でした。主な内訳は預貯金521万円、株式215万円、生命保険157万円などです。

ただ、こうした統計の「平均値」は、飛び抜けて高い数値があると大きく引上げられてしまう特性があります。例えば5人の資産がそれぞれ0円・0円・0円・0円・1億円の場合、平均値は2,000万円です。

より実態に近いのは「中央値」です。中央値とはデータを小さい順に並べた時にちょうど真ん中に位置する数値のことで、上記の例なら0円となります。

同統計では平均値は1,212万円でしたが、中央値は400万円でした。「金融資産を持っていない」と回答した世帯も約20%いて、貯めている人と貯めていない人の差が大きいことがわかります。

■子育てにかかる費用の目安

続いて、子育てにかかる費用について見ていきましょう。

子育て費用の中でも、特に負担が重くなりやすいのが教育費です。大学まで進学した場合、子供1人あたり1,000万~2,000万円ほどかかるといわれています。

ただ、かかる費用は子供の年齢(学年)や進路によって異なります。学校別の平均費用は以下のとおりです。

●幼稚園の年間費用

幼稚園 公立 私立
学習費総額

16万5,126円

30万8,909円

-うち、学校教育費

6万1,156円

13万4,835円

-うち、学校給食費

1万3,415円

2万9,917円

-うち、学校外活動費

9万555円

14万4,157円

(出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査別ウィンドウで開きます」)

上記は、保護者が幼稚園児の子供1人に対して1年間で支出した学習費の平均です。学校教育費は保育料や授業料など学校(幼稚園)に支払う費用、学校外活動費は習い事や塾など教育のために学校以外に支払う費用を指します。

私立でかかる費用は、公立の約2倍です。ただ、幼稚園のうちは小学校以降と比べて学習費があまりかからないため、お金を貯めやすいタイミングです。この頃から貯金の習慣を身に付けて実践しておくとよいでしょう。

●小学校の年間費用

小学校 公立 私立
学習費総額

35万2,566円

166万6,949円

-うち、学校教育費

6万5,974円

96万1,013円

-うち、学校給食費

3万9,010円

4万5,139円

-うち、学校外活動費

24万7,582円

66万797円

(出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査別ウィンドウで開きます」)

幼稚園よりも学習費が高額になってきます。また、小学校は公立と私立の費用の差が最も大きくなります。

●中学校の年間費用

中学校 公立 私立
学習費総額

53万8,799円

143万6,353円

-うち、学校教育費

13万2,349円

106万1,350円

-うち、学校給食費

3万7,670円

7,227円

-うち、学校外活動費

36万8,780円

36万7,776円

(出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査別ウィンドウで開きます」)

公立の費用は小学校より費用が高額になりましたが、私立では総額が多少抑えられています。公立でも塾や通信教材などを利用する子供が増え、補助的な学習にかかる費用が増加する傾向があります。

●高校の年間費用

高校 公立 私立
学習費総額

51万2,971円

105万4,444円

-うち、学校教育費

30万9,261円

75万362円

-うち、学校給食費

-うち、学校外活動費

20万3,710円

30万4,082円

(出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査別ウィンドウで開きます」)

公立の場合、中学校と高校の学習費の差はあまりありません。

●大学の初年度1年間の費用

高校卒業後に大学へ進学する場合、その費用は高額になることが予想されます。上述とは別の統計をもとに、費用の目安を確認しておきましょう。

入学費用
(受験料や入学金など)
1年あたりの在学費用
(授業料や通学費など)
国公立大学

67万2,000円

103万5,000円

私立大学文系

81万8,000円

152万円

私立大学理系

88万8,000円

183万2,000円

(出典:日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果別ウィンドウで開きます」)

上記の調査では、子供が1人暮らしを始めるなどして自宅外通学をする場合は、初期費用として平均で約39万円、仕送りとして平均で年間約96万円がかかるという結果も出ています。

また、同調査では、高校入学から大学卒業までにかかる教育費用の平均は「子供1人あたり942万円」となっています。子育ての後半に、教育費の負担が一気にのしかかってくるイメージです。

■子供のための貯金、毎月いくらずつがベスト?

ここまでの内容を踏まえて、子供のために毎月いくらずつ貯金するべきなのかを考えてみましょう。

●一般的な貯金の目安は「手取りの1~2割」

一般的には、毎月の手取り額の1~2割程度を貯金していくのがよいとされています。月収20万円なら2万~4万円、月収30万円なら3万~6万円くらいです。

上述のとおり、子供にかかる費用は年齢が上がるにつれて増加していく傾向があります。子供が小さいうちは、後のことを考えて多めに手取りの2~3割を貯金に回し、成長して家計が圧迫されてきたら1~2割に変更するなど、時期に応じて柔軟に対応するとよいでしょう。

●目標額を決めて逆算してみよう

貯金の目標額を決めて、逆算してみるのもおすすめです。例えば子供が生まれたばかりの人が「子供の大学入学までに学費として400万円を用意しておこう」と思った場合、約1万9,000円(=400万円÷18年÷12ヶ月)ずつ毎月貯金すれば達成できることがわかります。

「長男の学習塾費用」「次男の学費」など、使い道ごとにいつまでにいくら用意したいかを考え、それぞれ逆算して総額を毎月の貯金額として設定しましょう。「何となく貯めておく」よりも貯金のモチベーションが続きやすいため、達成しやすくなるでしょう。

■子供のための貯金を成功させるコツ

最後に、子供のための貯金を成功させるコツを紹介します。無理なくできそうなことから実践して、貯金目標の達成を目指しましょう。

●「子供貯金」専用の口座を用意する

貯金の成功率を上げる王道的な方法として知られているのが、先取り貯金(先取り貯蓄)です。「1ヶ月生活して、余ったお金を貯金に回す」のではなく、「先に貯金分を取り分けておいて、残った分で生活する」のです。

例えば、給与が入金されたらすぐに、子供のための貯金専用の口座に一部を移してしまうのがおすすめです。貯金専用の口座に入ったお金には手を付けないようにします。その分は元からなかったものとして考え、残りのお金だけでやりくりしましょう。

銀行の「定額自動入金サービス」などを使えば、毎月決まった日に一定額を自動的に移動するように設定できます。

勤務先に「財形貯蓄制度」がある場合は、それを利用するのもよいでしょう。給与から天引きで貯められますし、自由に引出しにくいため、貯金が苦手な人でも「気付いたら貯まっていた」となりやすいのがメリットです。

●児童手当を貯金に回すのもおすすめ

子供がいる世帯に支給される「児童手当」を、その都度使うのではなく貯金しておくのもよいでしょう。児童手当全額を貯金に回すと、中学校卒業までに総額200万円近くになります。

なお、2024年10月以降は児童手当法が改正され、主には以下のように変更される予定です。

従来 改正後
所得制限(親の収入が多いと対象外になる措置)

あり

なし

受取れる子の年齢

0歳~中学卒業まで

0歳~高校卒業まで

第3子以降の加算

あり(3歳~小学校卒業前まで月1万5,000円)

あり(0歳~高校卒業まで月3万円)

  • 2024年6月時点情報

その他、第3子以降のカウント方法や支給回数なども変わり、より手厚い制度になる見込みです。子育てに関する支援制度は、他にも多数あります。うまく利用しましょう。

●支出を見直す

貯金を増やしたいなら、普段の支出を見直して無駄を省くことも大切です。

「安いから」と買ったものの結局使わないまま腐らせてしまった食材、よくわからないまま契約しているインターネットやスマホ、何となく付き合いで参加した飲み会など、ついやってしまう無駄遣いに心当たりがある人も多いのではないでしょうか。不要な支出をできるだけなくして、浮いた分を貯金に回しましょう。

支出を見直す方法の定番は、家計簿やクレジットカードの明細などで自分が何にいくら使っているのかを把握することです。次に「食費は○○円まで」などと自分の中でルールを決めて、その範囲内に収まるよう工夫しましょう。

ポイントは、むやみに何でも節約するのではなく、お金を使うところと使わないところを明確に区別して、メリハリを付けることです。

1人で頑張るのではなく、夫婦間・親子間で情報を共有して家族を巻き込み、貯金を楽しみながら進めていくのも有効です。

■まとめ

子供1人あたりの教育費は1,000万~2,000万円で、特に後半に費用がかさみがちなので、なるべく早いうちから計画的に貯めていくのがおすすめです。

児童手当を貯金に回す、先取り貯金を実践する、支出を見直すなどの工夫をしながら、子供の将来に向けて備えましょう。

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