2024/06/28
キャッシュレスとは? 種類やメリット・デメリットを詳しく解説
執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)
近年、急速に「キャッシュレス化」が進んでいます。キャッシュレスとはどのようなもので、どう付き合っていけばよいのでしょうか。
この記事では、キャッシュレスの概要や主な種類、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。
■キャッシュレスとは?
キャッシュレスとは、現金を使わずに取引をすることです。従来の紙幣や硬貨ではなく、カードやスマホなどを使って支払いを済ませられるため、近年は手軽でスピーディーな決済方法として利用が広がっています。
キャッシュレスには多くのメリットがある一方で、気を付けておきたいこともあります。詳しく見ていきましょう。
■キャッシュレスのメリット
現金ではなくキャッシュレスで支払うことの主なメリットは、以下の3点です。
- ATMに行ったり小銭を出したりする手間が省ける
- 紛失や盗難のリスクを抑えやすい
- ポイントが貯まるのでお得
それぞれについて解説します。
●ATMに行ったり小銭を出したりする手間が省ける
キャッシュレスの場合、レジで現金を出さなくても支払えます。備え付けられている端末にカードやスマホなどをかざすだけで済むことが多いので、スマートかつスムーズに支払いができます。
現金を使う機会が少なくなれば、持ち歩く金額も少なくて済むようになり、わざわざATMに行ってお金をおろす手間も省けます。コンパクトなお財布でよくなり、荷物の量や重さも減るでしょう。
また、不特定多数の人が触れる現金よりも、キャッシュレスのほうが衛生的というメリットもあります。
●紛失や盗難のリスクを抑えやすい
キャッシュレスには、現金よりも紛失や盗難に強いというメリットもあります。紛失や盗難に本人が気付いた時点で「利用停止」の手続きをすれば、その後は使えなくなります。もし使われたとしても、キャッシュレスならいつどこで誰のものがいくら使われたかという記録が残るので追跡しやすいという特徴があります。本人に落ち度がなければ、不正利用された分をそのキャッシュレス決済サービスを提供している会社が補償してくれることもあります。
●ポイントが貯まるのでお得
利用に応じてポイントが貯まるサービスが多い点も、キャッシュレスのメリットといえます。どれくらい貯まるかは選ぶキャッシュレスのサービスによって変わりますが、例えば0.5~1.0%程度の還元を受けられるなど、現金で支払うよりもお得になることが多い傾向にあります。
■キャッシュレスのデメリット・注意点
メリットだけでなく、デメリットや注意点にも目を向けましょう。特に重要なのが以下の2点です。
- 使えない場所やタイミングがある
- 年会費や手数料が発生する場合がある
それぞれについて解説します。
●使えない場所やタイミングがある
ご存じのとおり、現金は基本的に全国どこでも支払いに使えます。しかし、キャッシュレスには使えない場所やタイミングがあります。
お店によって、キャッシュレスに対応しているかどうか、どのキャッシュレスが使えるかが異なります。また、キャッシュレスに対応しているお店でも、停電やシステムエラーなどのトラブルが起きている時は使えません。
いくらキャッシュレスをメインにしていても、もしもの時に備えて最低限の現金は持ち歩いておくのが無難です。
●年会費や手数料が発生する場合がある
キャッシュレスは無料で利用できるものが多いですが、中には費用がかかるものもあります。
「初年度だけ無料」などの条件になっていて、忘れた頃に費用を請求されるケースもあるため、あらかじめ年会費や手数料が発生するかどうかをよく確認した上で使いましょう。
■キャッシュレスにはどんな種類がある?
一口にキャッシュレスといっても、さまざまな種類があります。具体的にどんなものがあるのか、見ていきましょう。それぞれの特徴や選び方も紹介します。
●クレジットカード
クレジットカードは、後払いにできるカードです。普段の買い物の時はレジでカードを出すだけで、毎月決まった日に1ヶ月間の利用分をまとめて口座から引落とす仕組みになっているのが一般的です。分割払いやリボ払いといった支払方法にも対応しています。
クレジットカードは数あるキャッシュレス決済サービスの中でも特に普及率が高く、利用できるお店が多いという特徴があります。また、ポイント制度などお得な特典も豊富で、1枚持っていれば利便性やお得さも享受できるでしょう。
ただ、利用した分を後で支払うという性質上、計画的に使うのが苦手な人は扱いが難しいと感じるかもしれません。また審査があるため、年齢や年収などによっては利用できない可能性もあります。
●電子マネー
電子マネーも、広く普及しているキャッシュレス決済サービスです。電車に乗る時に、切符を買わなくても駅の改札でピッとタッチするだけで支払いが完了するなど、手軽かつスピーディーに利用できるのがメリットです。
一方で、電子マネーは事前にチャージしておく必要があるものが多く、残高不足になると買い物できなくなるという不便さもあります。もっとも、これは「使いすぎを防ぎやすい」というメリットにもつながるため、一概に悪いとはいえません。
普段利用する鉄道やお店などが電子マネーに対応しているなら、便利に使えるでしょう。
●デビットカード
デビットカードは、見た目や使い方はクレジットカードとほぼ同じですが、支払いのタイミングが異なります。前述のとおり、クレジットカードは利用分を後でまとめて支払います。これに対してデビットカードを利用した場合は、その都度すぐに口座から引落とされます。
デビットカードは、口座に入っている金額の範囲内でしか買い物ができません。しかし、今月どれくらい使ったか、あとどれくらい使えるかをリアルタイムで把握しやすいため「クレジットカードだと使いすぎが心配」という人でも利用しやすいでしょう。
●スマホ決済
スマホ決済は、スマホアプリを使ってバーコードなどを読み取ることで支払いを済ませる決済方法です。
お財布どころかカードすら不要で、手元のスマホだけで支払を完了できるのが魅力です。ただし、スマホの充電が切れたり、インターネットに接続できなくなったりすると利用できなくなるため、注意が必要です。
その都度アプリを開く手間はかかるものの、個人間の送金に便利なことやお得なポイント制度などがあることから、近年は急速に利用が広がっています。
●キャッシュレス決済サービスの選び方
多くのキャッシュレス決済サービスの中からどれを選ぶか迷った時は、「支払いのタイミング」に注目しましょう。種類によって、利用分をいつ支払うかが異なります。
前払い(プリペイド) |
プリペイドカード、電子マネーなど |
---|---|
即時払い |
デビットカードなど |
後払い(ポストペイ) |
クレジットカードなど |
中には「前払いも後払いも可能」など、支払いのタイミングを自分で選べるものもあります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、よく理解した上で自分に合うものを選択しましょう。
■キャッシュレスとうまく付き合っていくためのポイント
キャッシュレスについて「怖い」「苦手」というイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、今後キャッシュレスが広がっていくことは避けられないでしょう。最後に、キャッシュレスとうまく付き合っていくためのポイントを解説します。
●支出をきちんと把握して管理しよう
現金を使って支払うと、手元からお札や小銭がなくなります。しかし、キャッシュレスの場合は物量が目に見えて減ることはなく、画面上の数字が変化するだけなので、現金に比べて「お金を使った」という実感が乏しい面があります。そのため、「つい使いすぎてしまいそうで怖い」と思う人もいるでしょう。
しかし、キャッシュレスにはお金を使った記録が必ず残るという特徴があるため、コツをつかめば現金よりも容易に管理できます。
わざわざ家計簿をつけたりレシートを集めたりしなくても、クレジットカードの明細などを見れば出費を確認できます。今いくら使っているか確認するのも簡単です。ただ、いくつもの決済方法を併用していると管理が複雑になるので、キャッシュレスと連携できる家計簿アプリを使うなど、工夫しましょう。
●セキュリティや詐欺に注意しよう
キャッシュレス各社は、さまざまなセキュリティ対策を行っています。そのため、情報漏洩や不正利用などを過度に恐れる心配はありません。
しかし、安心して利用するためには自分でも気を付けましょう。具体的には、利用明細を毎月必ず確認する、怪しい広告やメールは開かない、偽サイトにカード番号を入力させるような詐欺に注意するなどです。
もしも不正利用などの被害に遭った場合は、できるだけ早くそのキャッシュレスサービスを提供している会社に連絡しましょう。
■まとめ
キャッシュレスは、現金を使わずに支払いができるサービスです。クレジットカードや電子マネーなどさまざまな種類がありますが、いずれも手軽でスピーディーに会計を済ませられるというメリットがあります。
紛失や盗難にも強く、ポイントが貯まるというメリットがありますが、現金のようにいつでもどこでも必ず使えるわけではないので注意が必要です。特徴を知って、うまく付き合っていきましょう。