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2024/03/25

20代の貯金はいくらあればいいの? 平均値や中央値を含めて徹底解説

執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)

「同世代だといくらくらい貯めているのが普通?」「自分の貯金額は少なすぎる?」といった疑問や不安を抱えている20代の人もいるでしょう。

この記事では、20代の貯金額の平均値や中央値を紹介します。さらに、いくらあれば安心なのか、貯金を増やすにはどうすればいいのかも併せて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

■20代の貯金の平均値と中央値

まずは20代の人がどれくらい貯金しているのか、金融広報中央委員会の調査をもとに見ていきましょう。

【世帯主が20代の世帯の金融資産】

平均値 中央値
金融資産保有額

185万円

20万円

預貯金

95万円

上記の調査によると、20代では運用や将来の備えのための「預貯金」は平均95万円でした。表中の「金融資産保有額」は預貯金だけでなく、株式、投資信託、貯蓄性保険、財形貯蓄など預貯金以外の金融資産も含めた合計額です。

金融資産保有額は「平均値」だけでなく、「中央値」も公表されています。中央値とは寄せられた回答を数値が大きい順に並び替えたとき、ちょうど真ん中の人の数値のことです。

ちなみに、20代から70代までの全世帯の平均値や中央値は、以下のとおりです。

【総世帯の金融資産】

平均値 中央値
金融資産保有額

1,150万円

280万円

預貯金

498万円

20代だけの数値とは、大きく異なります。

■20代の貯金はいくら必要?

20代の平均的な貯金額は前述のとおりですが、実際のところ20代の貯金額はいくらくらいが適正なのでしょうか。いくら貯めておけば安心といえるのか、目安を知っておきましょう。

●必要な貯金額の目安は「生活費の6ヶ月分」

一般的に、毎月の生活費の6ヶ月分~1年分程度を貯めておくのがよいとされています。家賃などを含めた生活費で月15万円の支出がある人の場合、15万円×6ヶ月=90万円程度が目安です。

生活費の6ヶ月分程度を確保できていれば、毎月決まって発生する支払いや引落とし以外の「臨時出費」があったときにも対応しやすくなります。個人事業主など収入が安定していない職業の人は、1年分もしくは2年分を確保しておくとより安心です。

例えば、冷蔵庫やエアコンなど生活に欠かせない家電が故障したときの修理費や購入費、友人の結婚や出産などが重なったときのご祝儀代、病気やケガに見舞われたときの医療費など、思いがけず大きな出費が発生する可能性は誰にでもあります。

●今のうちに貯金の習慣を身につけておこう

前述のとおり、貯金はもしものときの備えになります。それだけでなく、今後結婚や住宅購入など実現したいことが出てきたときには、それらを叶えるための有力な手段となるでしょう。

「20代のうちは給与が低いので貯金が難しいという人」は少なくありません。しかし、お金が必要になったときに対応できるよう、できるだけ早い時期からお金について考え、やりくりを工夫し、家計を改善しておきましょう。

■20代が想定しておきたい大きな出費と目安額

20代が今後経験する可能性がある主なライフイベントと、それにかかる平均的な費用を紹介します。

●一人暮らしの初期費用

一人暮らしの初期費用は「家賃の4~6ヶ月分」といわれています。住む部屋や地域にもよりますが、30万~50万円ほどかかると考えておきましょう。なお、一人暮らしを始めるときだけでなく、同棲や結婚などで実家を離れることになった場合も相応の費用がかかります。

●子育ての費用(教育費、出産費用等)

人生で最もお金がかかる3つのこと(人生の三大支出)は、一般的に「子どもの教育費」「住宅購入費」「老後資金」といわれています。

子どもの教育費として必要な金額の目安は、教育方針や進路によっても異なりますが、子ども1人あたり1,000万~2,000万円です。

「教育費よりも出産にかかる費用が気になる」という人もいるかもしれません。厚生労働省の調査によると、分娩や入院など出産費用の平均は48.2万円です(2022年度)。ただし、健康保険から出産育児一時金50万円が支給されます(2023年4月に支給額が引上げられました)。

その他、妊婦健診やベビー用品の購入なども含めると、子ども1人あたり数万円~数十万円程度の費用負担が発生する可能性があります。

●マイホームの購入費

「いつかマイホームを手に入れたい」と考えている人もいるでしょう。国土交通省の調査によると、住宅購入資金の平均額は以下のとおりです。

【住宅購入資金】

新築 注文住宅(土地も購入) 5,436万円
分譲戸建住宅 4,214万円
分譲集合住宅(マンション) 5,279万円
中古 戸建住宅 3,340万円
集合住宅(マンション) 2,941万円
  • 注文住宅の調査地域は全国、その他住宅は三大都市圏での調査

もちろん、住むエリアによって大きく変わりますが、多額の資金が必要になることがわかります。

●老後資金

仕事を引退して収入が大幅に減少した後も、生活費は毎月かかります。老後資金が不十分だと、晩年に「毎月赤字で貯金を取り崩している」「お金がそこを尽きそうで不安」といったことになりかねません。

以前、「老後に2,000万円不足する」という金融庁の試算が話題になったことがありました。しかし、老後に必要な金額は人によって大きく異なります。例えば、毎月の生活費が20万円の人が65歳で定年退職して85歳まで生きる場合、必要な金額は以下のとおりです。

・月20万円×12ヶ月×20年(65~85歳)=4,800万円

年金が月10万円の人なら、同期間で以下の金額を受取れます。

・月10万円×12ヶ月×20年(65~85歳)=2,400万円

差額は2,400万円です。勤務先から500万円の退職金を受取れるなら、2,400万円-500万円=1,900万円を定年までに貯金しておく必要があることがわかります。

■上手に貯金するためのポイント

「貯められるようになりたい」「もっと貯金を増やしたい」という人に向けて、貯金のコツや具体的なやり方を紹介します。

●貯金の目標を具体的に決める

まずは「何のために、いつまでに、いくら貯めたいのか」、目標を設定しましょう。「8月に行く沖縄旅行のために20万円用意する」「3年後までに生活防衛資金として100万円を確保する」など、できるだけ具体的に目標を設定するのがポイントです。

目標が決まると、今から毎月いくらずつ貯金していけば達成できるか、逆算できます。実際の行動に落とし込みやすく、モチベーションも続きやすいでしょう。

●先取り貯蓄を取り入れる

貯金の成功率を上げたいなら「先取り貯蓄」をおすすめします。

先取り貯蓄とは、給与が入ったらすぐに貯金に回す分を別の口座に移すことです。「生活費に使って、余ったら貯金する」ではなく、「貯金分を先に取り分けて、残りで生活する」という順番に変えましょう。

勤務先の財形貯蓄制度や、銀行などの定額自動入金サービスなどを使うと、最初に設定するだけで毎月自動的に貯められるので便利です。

●支出を見直す

毎月の貯金額が決まって、先取り貯蓄の設定を済ませたら、次は残りの金額で生活できるように家計のやりくりを工夫しましょう。

やみくもにすべてを節約するのではなく、お金を「使うところ」と「使わないところ」をしっかり区別して、メリハリをつけるのがおすすめです。「使うところ」があれば節約のストレスを感じにくく、継続しやすいからです。

「外食費は月1万円まで」「趣味に使えるのは月2万円まで」など、支出ごとに毎月の予算を決めて守るのが理想的です。

●資産運用も検討する

すでに生活費の6ヶ月分程度の貯金がある人や、しばらく使う予定のないお金がある人など、資金的に余裕がある場合は資産運用も検討しましょう。

資産運用(投資)をすれば、貯金よりも効率良くお金を増やせる可能性が高まります。NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)といった、国の制度を活用するのもおすすめです。

ただし、失敗して損をする可能性もあるので、リスクを理解した上で行いましょう。

■20代で貯金する際の注意点

20代で貯金する際に注意したいのが「貯金一辺倒にならない」ことです。

前述のとおり、20代のうちにしっかりと貯金ができる習慣を身につけておくのはよいことです。しかし、貯金を意識しすぎるあまり、今の暮らしを犠牲にするのは考えもの。貯金はあくまで何かを実現するための手段であって、目的ではありません。

中には「食事の量を最小限にする」「真夏でもエアコンを付けない」など、健康を害するような過度な節約に取組む人もいますが、病気になって医療費を支払うことになっては意味がありません。

また、貯金に必死になるあまり、お金を気持ち良く使うことができず、お金を使うたびに罪悪感を覚えたり、貯金が減ることに恐怖を感じたりする人もいます。しかし、若いうちにしかできない貴重な体験や経験のために使うことは有意義です。

何事もバランスが大切です。今を楽しみつつ将来に備えられるよう、早いうちから試行錯誤して、自分に合ったやり方や快適に感じるバランスを見つけましょう。

■まとめ

「20代が運用や将来のために備えている預貯金の金額は平均95万円」というデータがあります。最低限用意しておきたい貯金額の目安は「生活費の6ヶ月分程度」といわれており、毎月の生活費が15万円の人なら90万円です。

「貯められない」「貯金が少ない」と悩んでいる人は、先取り貯蓄を実践したり、支出を見直して予算を決めたりするのが有効です。

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