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特集 | 住宅ローン

2024/03/25

年収700万円の人が組める住宅ローンの金額|適正借入額や返済額なども紹介

執筆者:新井智美(ファイナンシャル・プランナー)

住宅ローンの利用を考えている人は、「どのくらいまで借りられるのか」「無理なく返済できる借入額はどのくらいなのか」を知りたいのではないでしょうか。

住宅ローンの借入可能額によっては、購入する住宅の価格も見直す必要があるかもしれません。

今回は年収700万円の人が組める住宅ローンの金額について解説するとともに、金利タイプの選び方や住宅ローン控除の制度改正についても紹介します。

■年収700万円の人が住宅ローンを利用する際の借入可能額

住宅ローンの借入可能額の目安は、自身の年収に応じて考えるのが一般的です。

一つは「年収倍率」を用いる方法で、年収の5~7倍が借入可能額の目安といわれています。年収倍率に当てはめると、年収700万円の人なら3,500万~4,900万円が目安になります。

また、返済負担率を用いて借入可能額の目安を求める方法もあります。返済負担率とは、年収に占める年間のローン返済額合計の割合のことで、ローン返済額には住宅ローン以外のローンも含まれます。一般的に返済負担率は20~25%に収めるのがよいといわれており、返済負担率が20%以下であれば無理なく返済できるでしょう。

■年収700万円の人が無理なく返済できる額とは?

上で紹介した返済負担率を用いて、無理なく返済できる額を求めてみましょう。

700万円の20~25%は、140万~175万円です。利用しているローンが住宅ローンのみの場合、毎月のローン返済額合計が約11万6,000~14万6,000円となり、これに収まるようにすることで、家計への負担を抑えられるといわれています。一つの目安として、毎月の返済額を12万円程度に抑えると無理なく返済できるでしょう。

また、返済負担率が30%を超えると、逆に返済が困難になりやすいことも知っておきましょう。

■頭金は用意すべき?

住宅ローンを利用するにあたり、「頭金を準備するべきか」「どのくらい準備すればよいのか」が気になる人もいるでしょう。

頭金を入れることで得られるメリットはたくさんありますが、デメリットもあります。

頭金を準備すべきかどうか、またその額については、以下で紹介するメリットとデメリットをよく理解した上で決めてください。

●頭金を入れることのメリット・デメリット

頭金を入れることのメリットは借入金額が減るため、利息負担も含めた最終的な返済総額が少なくなることです。

頭金を入れることのデメリットは、一時的に資金が少なくなることです。特に住宅購入以外にもまとまった支出の予定がある場合、その資金まで頭金に充ててしまうと、他の手段で準備しなければならなくなります。

住宅ローンは頭金を入れなくても利用できますが、頭金を入れることで毎月の返済額や総返済額、利息負担を抑えることができます。それぞれがどのように変わるのか、表にまとめたので参考にしてください。計算の条件は以下のとおりです。

  • 物件価格:4,000万円
  • 金利:年1%
  • 返済期間:35年
  • ボーナス返済なし
  • 元利均等返済方式
頭金の額 毎月の返済額 総返済額 利息負担分
0円

11万2,914円

4,742万3,753円

742万3,753円

200万円

10万7,268円

4,505万2,593円

705万2,593円

400万円

10万1,622円

4,268万1,418円

668万1,418円

600万円

9万5,977円

4,031万151円

631万151円

800万円

9万331円

3,793万8,981円

593万8,981円

頭金を600万円入れることで、毎月の返済額を10万円以下に抑えられることがわかります。また、借入金額が少なくなる分、利息負担も少なくなります。

頭金を2割(800万円)入れた場合、頭金を入れない場合に比べて利息負担が約150万円減ります。この効果は、大きいといえるのではないでしょうか。ただし住宅購入・住宅ローン借入れには諸費用が発生するため、それらを踏まえて頭金の金額を検討することが大切です。

■住宅ローンの金利タイプ

住宅ローンを利用するにあたっては、どの金利タイプを選ぶかも重要です。住宅ローンの金利タイプには、変動金利、固定期間選択型、全期間固定金利の3つがありますが、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解したうえで、最適な金利タイプを選びましょう。

●変動金利

変動金利の最大の特徴は、3つの金利タイプのなかで最も金利が低いことです。

変動金利の金利は原則として半年ごとに見直されますが、それがすぐに毎月の返済額に反映されるわけではありません。これを「5年ルール」といい、見直された金利が毎月の返済額に反映されるのは5年後です。また、見直し後の毎月の返済額が見直し前の返済額の125%を超えてはならないという「125%ルール」も設けられています。

ただし、最近のネット銀行では5%ルールや125%ルールが適用されないところもありますので、事前に必ず確認しましょう。

変動金利は低金利で利用できるというメリットがある反面、金利上昇リスクがあるというデメリットがあります。もちろん金利が大きく上昇しても125%ルールが適用されるため、毎月の返済額は125%以内に収まりますが、見直された金利によっては毎月の返済額における利息の割合が増えることがあります。

利息が返済額を上回った場合は未払利息として扱われ、最終返済時に一括で支払わなければならなくなることに注意してください。

●固定期間選択型

固定期間選択型は、契約当初に決めた一定期間は固定金利が適用され、その後は変動金利か固定期間かを選べる金利タイプです。

選択できる固定期間は金融機関によって異なりますが、一般的に2年、5年、10年などが選べるようになっており、以降の一定期間に他の支出の予定がある人に向いています。住宅ローン以外に支出が発生する際、変動金利を選択していたことで金利の上昇によって毎月の返済額が増えると、予定していた支出を賄えないかもしれません。しかし、固定期間選択型を選べばそのような事態を回避できます。

固定期間選択型で適用される金利は変動金利よりは高いものの、全期間固定金利よりは低く設定されています。そのため、「一定期間は毎月の返済額を確定させておきたい」と考えるなら、固定期間選択型を選ぶとよいでしょう。

ただし、固定期間が終わった後の金利の優遇幅が縮小される金融機関もあるため、借入前に確認しましょう。

●全期間固定金利

全期間固定金利は、返済開始から完済までの金利が変わらない金利タイプで、代表的なものにフラット35があります。

毎月の返済額が完済時まで変わらないため、返済額を固定させておきたいと考えている人に向いています。メリットは返済計画を立てやすいことです。

全期間固定金利のデメリットは、3つの金利タイプの中で金利が最も高いことや、仮に市場の金利が下がっても金利が見直されるわけではないため、返済額が減るといった恩恵を受けられないことです。

一度決めた金利プランは原則として途中で変えられません。変えたい場合は、現在借りている金融機関に相談するか、他の金融機関での借り換えを検討することになります。しかし、新規借入の場合と同様に審査を受けることになりますし、諸費用も発生するため、思ったほど利息削減効果を得られないかもしれません。

■借入期間や金利タイプによっても返済額は変わる

住宅ローンの返済額は、借入期間や金利タイプによっても変わります。それぞれがどのように変わるのか、表にまとめたので参考にしてください。

(試算条件)

  • 借入金額:3,500万円
  • ボーナス返済なし
  • 元利均等返済方式

1.変動金利選択(適用金利年0.319%の場合)

借入期間 毎月の返済額 総返済額 利息負担分
20年

15万554円

3,613万2,892円

113万2,892円

25年

12万1,396円

3,641万8,659円

141万8,659円

30年

10万1,961円

3,670万5,920円

170万5,920円

35年

8万8,083円

3,699万4,656円

199万4,656円

2.固定期間選択型(10年:適用金利年1.185%の場合)

借入期間 毎月の返済額 総返済額 利息負担分
20年

16万3,868円

3,932万8,228円

432万8,228円

25年

13万4,857円

4,045万6,951円

545万6,951円

30年

11万5,572円

4,160万6,004円

660万6,004円

35年

10万1,846円

4,277万5,190円

777万5,190円

3.全期間固定金利(適用金利年2.200%の場合)

借入期間 毎月の返済額 総返済額 利息負担分
20年

18万393円

4,329万4,264円

829万4,264円

25年

15万1,780円

4,553万3,954円

1,053万3,954円

30年

13万2,895円

4,784万2,070円

1,284万2,070円

35年

11万9,566円

5,021万7,752円

1,521万7,752円

■毎月の返済負担を抑えるコツとは?

住宅ローンの契約にあたっては事前にシミュレーションを行い、無理のない返済額になるように希望借入額を設定することが大切です。例えばボーナス返済をなしにしておき、ボーナス時にまとまった収入があった場合は、その一部を繰上返済に充てることで返済期間を短縮したり、毎月の返済額を減らしたりすることができます。

現在ご利用されている住宅ローンの金利が高く、毎月の返済が負担だと感じているなら、今よりも低い金利が適用される金融機関への借り換えを検討するとよいでしょう。ただし、借り換えの際には審査に通らなくてはならないですし、新たに諸費用も発生します。

返済負担率を20%以下に抑えることを意識しながら毎月の返済額の上限を決め、それに沿った金利タイプと借入期間を設定することが大切です。

■住宅ローン控除の適用

自宅を購入するために住宅ローンを利用した場合は、住宅ローン控除が受けられます。

ただし、住宅ローン控除を受けるためには要件を満たす必要があることや、住宅の種類によって借入限度額や控除期間が決まっていることに注意してください。

住宅ローン控除を受けるための要件は、以下のとおりです。

  • 住宅の購入もしくは新築の日から6ヶ月以内に住んでいる
  • 住宅ローン控除を受ける年分の年末まで引き続き住んでいる
  • 住宅の床面積が50㎡以上あり、かつその2分の1以上が居住用である
  • 住宅ローン控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下である
  • 利用している住宅ローンが10年以上にわたって返済するものである
  • 居住開始年を含む前3年間に譲渡所得の特例を受けていない
  • 贈与による取得ではない

住宅の環境性能別の借入限度額と控除期間は、以下のとおりです。

2024年・2025年入居の新築住宅の場合

住宅の環境性能 借入限度額 控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅

4,500万円

13年間
ZEH水準省エネ住宅

3,500万円

省エネ基準適合住宅

3,000万円

その他の住宅

0円

  • 2023年までに新築の建築確認を行った場合は2,000万円

2024年・2025年入居の中古住宅の場合

住宅の環境性能 借入限度額 控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅

3,000万円

10年間
その他の住宅

2,000万円

●子育て世帯や若者夫婦世帯への優遇が拡大

2024年の税制改正により、子育て世帯および若者夫婦世帯に対する住宅ローン控除の優遇策が設けられました。

具体的には、子育て世帯および若者夫婦世帯が新築住宅を購入して2024年に入居した場合、住宅ローン控除を受けられる借入限度額が以下のとおり増額されます。

住宅の環境性能 借入限度額 控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅

5,000万円

13年間
ZEH水準省エネ住宅

4,500万円

省エネ基準適合住宅

4,000万円

ここでいう「子育て世帯」とは19歳未満の子どもがいる世帯のことで、「若者夫婦世帯」とは夫婦のどちらかが40歳未満の世帯のことです。

■まとめ

年収700万円の人が住宅ローンを利用する場合、年収倍率で考えると3,500万~4,900万円の借入れが可能です。ただし、毎月の返済額が家計を圧迫しないよう、返済負担率を考慮することを忘れないようにしましょう。そのためには、頭金を用意して借入金額を減らすことや、繰上返済などを利用することも検討するとよいでしょう。

人生にはさまざまなライフイベントがあり、その際にはまとまった支出が発生します。住宅ローンを利用する際には、今後起こりうるライフイベントを考慮した上で、無理のない返済額に抑えることが大切です。

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