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特集 | 住宅ローン

2024/02/29

中古住宅の購入でも住宅ローン控除は受けられる|条件や注意点なども解説

執筆者:新井智美

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中古住宅を購入しても要件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。ただし新築住宅を購入した場合と比べて、借入限度額や控除期間などが異なる点に注意が必要です。

今回は、中古住宅を購入した際に住宅ローン控除が適用される要件を紹介します。あわせて住宅ローン控除を適用するための手続きや流れ、必要書類などについても解説します。これから中古住宅の購入を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
(本記事は2024年2月1日時点の情報に基づいて記載しています。)

■住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、自分が住むための家を住宅ローンで購入した個人に対して、住宅の性能によって決められた期間、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が所得税額から控除される制度です。住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。適用方法も社会保険料控除や医療費控除などの所得控除とは異なり税額控除となるため、節税効果が大きいといわれています。

また税額控除は、所得税額から行われますが、控除額が大きく所得税額から引ききれなかった部分については、翌年の住民税からも控除されます。ただし以下の通り上限が設けられている点に注意が必要です。

【住民税からの住宅ローン控除上限(以下のいずれか少ない額)】

  • 所得税から引ききれなかった額
  • 所得税の課税金額の5%(9万7,500円が上限)

■新築と中古では住宅ローン控除の適用用件が異なる

住宅の購入の際に住宅ローンを利用し、要件を満たすことで適用が受けられる住宅ローン控除ですが、購入する住宅が新築か中古かで要件が異なります。ちなみに新築の場合に住宅ローン控除が受けられる要件は、以下の通りです。

  • 住宅の新築などの日から6ヵ月以内に居住している
  • 住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日までに引き続き居住している
  • 住宅の床面積が50平方メートル以上で、かつ、そのうちの2分の1以上が居住専用である
  • 住宅ローン控除の適用を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下
    (ただし、住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満で、そのうちの半分以上を居住専用にしている場合の合計所得金額の要件は1,000万円以下)
  • 利用している住宅ローンが10年以上にわたって返済するものである
  • 居住した年およびその前2年間の計3年間、もしくは居住した年以後3年以内に譲渡所得の特例を受けていない
  • 親族などから取得した住宅ではない
  • 贈与による取得ではない など

また中古住宅の場合、以下の要件が追加されます。

  • 建築後使用されたものである
  • 次のいずれかに該当する住宅
    • 取得する日以前2年の間に耐震住宅と証明された住宅
    • 取得日までに耐震改修の申請を行い、耐震基準に適合する証明を受けた住宅 など

耐震基準に適合しているかどうかは、「耐震基準適合証明書」や「建設住宅性能評価書」の等級などによって判断されます。

●中古住宅の適用用件の拡大

2022年の税制改正によって中古住宅の適用範囲が拡大されました。本来、中古住宅の住宅ローン控除は、控除率が新築と同様(0.7%)ですが借入限度額が2,000万円、控除期間は10年とされています。しかし買取再販住宅については、省エネ基準を満たしていれば適用条件は新築と同じ扱いになります。

●買取再販住宅とは?

買取再販住宅とは、宅地建物取引業者が中古住宅を買い取り、リフォーム工事などを行った上で販売される住宅を指します。

宅地建物取引業者がリノベーションを行って販売するため、中古住宅であっても新築住宅同様の機能を備えている点が特徴です。ただし中古住宅には変わりはないため、新築住宅よりも安く購入できるといったメリットがあります。

住宅ローン控除の制度においてこのような買取再販住宅は、新築住宅と同様に扱われ住宅の種類によって最高4,500万円の借入限度額が適用されるのが特徴です。さらに控除期間も13年と中古住宅よりも長くなります。なお当該住宅が買取再販住宅と認められるためには、以下の要件を満たすことが必要です。

  • 住宅取得時点でその住宅が新築後10年を経過している
  • リノベーションなどにかかった費用の総額が、税込住宅価格の20%以上である
  • リノベーションの工事について、工事内容に応じて100万円もしくは50万円以上の費用がかかっている
  • 1982年1月1日以降に建設された住宅である
  • 1981年12月31日以前に建築された住宅の場合、耐震改修が行われているか、耐震基準に適用することが証明されている など

また買取再販住宅以外の中古住宅でも住宅の性能が省エネ基準を満たすものであれば、借入限度額が3,000万円になります。

■中古住宅のリフォームを行う際に利用できるリフォーム減税とは

中古住宅を購入しリフォームを行う場合は、リフォームの内容に応じたリフォーム減税が利用できます。対象となるリフォーム工事の種類は「バリアフリー化」「耐震」「省エネ」「同居対応」「長期優良住宅化」などです。ローンの利用の有無に関係なく控除が受けられる仕組みとなっています。

また住宅ローン控除とリフォーム減税の併用は可能です。ただしリフォームの対象となる工事が「耐震リフォーム工事」に限定されます。それ以外のバリアフリー化や省エネ改修などは併用できないため、注意しましょう。

■住宅ローン控除を受ける初年度は確定申告が必要

住宅ローン控除の適用を受ける初年度は、必ず確定申告を行わなければなりません。初年度の確定申告では、確定申告書とあわせて多くの書類が必要になるため、事前に必要な書類を確認し、もれなく準備しておきましょう。

●必要書類

  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書:税務署で入手
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書:住宅ローンを借り入れている金融機関から入手
  • 土地および建物の「登記事項証明書」:法務局で入手
  • 住宅を購入した際の「売買契約書」の写し:手元にない場合は不動産会社から入手
  • 源泉徴収票:勤務先で入手
  • マイナンバーを確認するための本人確認書類:マイナンバーカード など

特に住宅借入金等特別控除額の計算明細書の記載は、初めてだと難しく感じるケースが多いため、事前に国税庁のサイトなどで記入例を確認し、間違いのないように記入しておきましょう。2年目以降は、会社員であれば年末調整で行えます。

しかしその際には「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」や「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」が必要になるため、適用期間中は事前に準備しておくことを忘れないようにしましょう。

●買取再販住宅の場合は必要書類が多くなる点に注意

購入した中古住宅が買取再販住宅に該当する場合、上の必要書類と合わせて、耐震基準適合証明書や耐震改修に係る工事請負契約書の写しのほか、住宅の耐震基準もしくは耐震性能に応じて、さらに以下の書類が必要です。また、省エネ基準を満たしていることを証明するための建築住宅性能評価書も準備しておきましょう。

  • 1.認定長期優良住宅
    認定長期優良住宅建築証明書または住宅用家屋証明書
    認定長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し
  • 2.低炭素住宅
    認定低炭素住宅建築証明書または住宅用家屋証明書
    認定低炭素住宅建築等計画の認定通知書の写し
  • 3.低炭素住宅とみなされる特定建築物
    特定建築物用の住宅用家屋証明書
  • 4.ZEH水準省エネ住宅または省エネ基準適合住宅
    住宅省エネルギー性能証明書または建築住宅性能評価書の写し

また場合によっては「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の申込書」の写しが必要になるケースがあります。こちらの書類については、売主である不動産会社に確認してみましょう。

●申告時期

確定申告の時期は、原則として2月16日~3月15日(対象日が土日の場合は翌営業日)です。それまでに確定申告書を作成し、必要書類を添付したうえで住所地を管轄する税務署に提出しましょう。提出方法は、直接持参するほか郵送やe-Taxによるオンラインがあります。

マイナンバーカードとマイナンバーが読み取れるスマートフォンがあれば、e-Taxを利用してオンラインで簡単に提出できるため、ぜひ利用してみましょう。

■まとめ

中古住宅を購入する場合でも要件を満たせば住宅ローン控除は受けられます。ただし新築住宅に比べて借入限度額が低くなったり適用期間が短く設定されていたりする点に注意しましょう。

また中古住宅を購入するにあたりリフォームを行うケースも考えられます。その際には、リフォーム減税の適用を受けられるケースもあるため、どちらを利用したほうが最終的な節税になるかをシミュレーションしたうえで利用するようにしましょう。

執筆者:新井 智美
顔写真:執筆者:新井 智美

プロフィール:
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)をおこなうと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績は2,500本を超える。

資格情報:CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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本記事では、中古住宅の住宅ローン控除について解説しました。他にも金利や返済方法など、住宅ローンを検討していくうえでおぼえておきたいポイントを簡単・簡潔に解説していますので、ぜひご覧ください。

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