2024/02/29
同棲に必要な貯金額の目安とは|平均や貯めるポイントも紹介
執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)
3月~4月の新生活シーズンなどをきっかけに、同棲の検討をすることがあるかもしれません。同棲を始めることになった場合、家の契約費用や毎月の生活費など、少なからずお金がかかります。貯金がいくらくらいあれば、安心して同棲をスタートできるのでしょうか。
この記事では、同棲に必要な費用や貯金額の目安、同棲の前後に2人でお金を貯める時のポイントについて解説します。2人暮らしの平均的な家計なども併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
■同棲を始めるための費用はいくら?
まずは、同棲生活をスタートするために必要な「初期費用」はいくらかかるのか、確認しておきましょう。
一般的には新しく賃貸物件を借りる場合は敷金・礼金といった費用が発生します。
【家の契約費用の目安】
家の契約費用 | 敷金・礼金 |
家賃1ヶ月分 |
---|---|---|
仲介手数料 |
家賃1ヶ月分 |
|
家賃保証料 |
家賃0.5ヶ月分 |
|
初月の家賃 |
家賃1ヶ月分 |
など
上記の費用に加えて、引っ越し代や家具・家電・日用品などの購入費などが発生すると、総額で100万円程度かかることが多いといわれています。
家賃にもとづく費用が多いため、いくらくらいの家賃の家を選ぶかが重要なポイントになります。
■2人暮らしの平均生活費は?
初期費用を支払って手続きを済ませ、同棲をスタートさせたら、その後は家賃や水道代などの支払いが始まります。実家暮らしの人は、1ヵ月の生活費がどれくらいかかるのかイメージしにくいかもしれません。
総務省の調査によれば、夫婦2人暮らしの場合の平均生活費は以下のとおりです。
【夫婦2人暮らしの平均生活費】
食費 |
約7万円 |
---|---|
水道・ガス・電気代 |
約2万2,000円 |
家具・家事用品代 |
約1万1,000円 |
衣服・靴代 |
約7,000円 |
健康維持・医療費 |
約1万6,000円 |
交通費・自動車関係費 |
約2万6,000円 |
通信費 |
約1万1,000円 |
教養・娯楽費 |
約2万4,000円 |
その他 |
約6万円 |
合計 |
約24万8,000円 |
(出典:総務省「家計調査 家計収支編(2022年)」 第3-6表)
2人暮らしは人が増える分、1人暮らしよりも生活費の総額は高くなります。しかし、1人あたりの生活費は抑えやすく、それぞれが1人暮らしをするよりは安く済む傾向があります。
例えば家賃(管理費含む)が10万円の場合、毎月の生活費は35万円程度かかると考えておきましょう。
■同棲開始前に必要な貯金額の目安
前述のとおり、同棲にはお金がかかります。お互いに貯金ゼロの状態でスタートしてしまうと、初期費用が予想よりも高くなった時や、想定外の出来事が起きた時に対応しにくくなります。
目標としては、2人で初期費用として100万円は貯めておきたいところです。さらに、家電が壊れる、病気やケガに見舞われるなど、急に大きな出費が発生した時に備えて、生活費の6ヵ月分程度を確保しておくとより安心です。
●各世代の平均的な貯金額
「他の人はいくらくらい貯めているの?」「普通はどれくらい?」と気になる人もいるでしょう。ここでは、金融広報中央委員会による調査をもとに、平均的な貯金額について見ていきます。
【貯金額の平均値】
全体 |
689万円 |
20代 |
162万円 |
---|---|
30代 |
327万円 |
40代 |
469万円 |
(出典:金融広報中央委員会「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査」 )
ここでいう貯金額とは「預貯金」の額のことです。株、投資信託、保険、不動産などの資産は含みません。若い世代ほど貯金が少ないことがわかります。
一方で、同調査では以下のような結果も出ています。
【金融資産保有額の中央値】
全体 |
280万円 |
20代 |
20万円 |
---|---|
30代 |
150万円 |
40代 |
200万円 |
(出典:金融広報中央委員会「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査」 )
こちらは金融資産保有額(運用や将来の備えのための預貯金や、株・保険などの金融商品も含む)ですが、「平均値」ではなく「中央値」です。一般的なのは「平均値」ですが、一部の飛び抜けて高い数値に引っ張られるという特徴があり、「中央値」のほうが実態に近い数値といわれています。
全体の4分の1程度、20代では4割程度が「金融資産ゼロ」と回答しています。実際は、「なかなか貯金ができない」という人も多いことがわかります。
■同棲開始後の目的別貯金
同棲後、結婚したり子どもができたりする場合もあるでしょう。そうなると、結婚式や新婚旅行、出産、住宅購入などでお金が必要になるかもしれません。将来想定されるイベントに向けて、2人で協力しながら少しずつお金を貯めていくとよいでしょう。
人によって「結婚式はしない」「子どもは2人ほしい」「家にはこだわりたい」など希望は異なるので、かかる費用にもかなりの差が生じます。
同棲するパートナーとお互いの理想の将来について話し、それに必要な金額を具体的に考えてみるのもおすすめです。
■同棲に向けて2人で貯金を進めるコツ
同棲に向けて2人でお金を貯める際は、以下のような点を意識するとよいでしょう。
【2人でお金を貯めるコツ】
- 同棲開始前にお金の話をきちんとしておく
- 貯金額の目標を明確に決める
- 先取り貯金をする
それぞれについて、詳しく解説します。
●同棲開始前にお金の話をきちんとしておく
大切なのは、お金の話を避けないことです。「言い出しにくい」という人もいるかもしれませんが、必ず同棲前に「どちらがいくら出すのか」「同棲後の家計は誰が管理するのか」など、お金についてのルールをきちんと決めておきましょう。
【支出の分担方法の例】
- 「家賃は私」「食費はあなた」など、費目ごとに負担する人を決めておく
- 共同で銀行口座を作ってそれぞれが入金し、そこから支払う
- どちらかが一旦全額を負担して、月に1回まとめて精算する
【家計の管理方法の例】
- それぞれが自分の家計をやりくりする(いわゆる「別財布」)
- 得意なほうが管理して、もう一方はお小遣い制にする
どうするのが自分たちに合っているのか、じっくり話し合って決めましょう。
●貯金額の目標を明確に決める
いつまでにいくら貯めるか、貯金額の目標を決めておくのもおすすめです。
例えば「今年の○月から一緒に○○で暮らせるよう、それぞれ○万円ずつ貯めよう」など、できるだけ具体的に決めましょう。具体的であればあるほど、モチベーションを維持しやすくなります。
目標が決まれば、毎月いくらずつ貯めていけば達成可能かを逆算できます。例えば100万円を貯めるには、それぞれが月に3万円を1年5ヵ月にわたって貯めなければなりません。毎月の貯金額を逆算したら、それを続けられるように毎月の支出を見直しましょう。
お金のルールや目標は、お互いが納得できる内容にしておかないと、不満や仲違いの元になります。どちらかが一方的に押し付けるのではなく、2人でよく話し合って決めましょう。
●先取り貯金をする
確実にお金を貯めたいなら「先取り貯金」がおすすめです。先取り貯金は、給与が入金されたらすぐに、貯金に回す分を貯金専用の口座に移す方法です。貯金したお金はなかったものとして、残ったお金だけで生活します。
勤務先の財形貯蓄制度や銀行の定額自動入金サービスなどを使えば、最初に設定しておくだけで自動的に先取り貯金を続けられます。これなら、手軽に貯金の成功率を高められるでしょう。
■まとめ
同棲を始めるなら、初期費用として100万円程度の貯金は用意しておきたいところです。
できれば、不測の事態に備えて「生活費の6ヵ月分」を別に確保しておくと、より安心です。また、事前に貯金額の目標やお金のルールについて決めておくのもおすすめです。
パートナーとよく話し合いながら、理想の将来に向けて貯金を始めてはいかがでしょうか。