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2025/3/28 (2024/01/29公開、2025/03/28更新)

夫婦で上手に家計を管理する方法|口座やアプリなど具体的に解説

執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)

結婚後の家計をうまく回していくためには、夫婦で同じ方向を向いて協力していくことが欠かせません。しかし、なかには「相手が協力してくれない」「2人とも家計管理が苦手で困っている」などと悩んでいる人もいるでしょう。

この記事では、夫婦で上手に家計を管理する方法を4つのステップに分けて順に解説します。夫婦のタイプごとに向いている方法や具体的なやり方、円満にやりくりするコツなども紹介しますので、ぜひ実践してみてください。

■夫婦で上手に家計管理するための4ステップ

夫婦でうまく家計を管理できるようになるには、以下の4ステップで話を進めていくのがおすすめです。

  • STEP1.夫婦で家計管理する目的や目標を共有する
  • STEP2.自分たちに合った管理方法を見つける
  • STEP3.口座やアプリなどのツールを活用する
  • STEP4.2人で家計を振り返る時間を確保する

STEP1から順番に実践していくのが基本ですが、すでにできている部分があれば、そこは飛ばしても問題ありません。以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。

■STEP1.夫婦で家計管理する目的や目標を共有する

まずは、夫婦で同じところに向かって協力していくための土台作りから始めます。夫婦でお金の価値観をすり合わせたり、貯金の目標を共有したりすることが大切です。

●お金を貯める目的を共有しよう

最初は雑談がてら、お互いの今後の人生設計や理想の暮らし、叶えたい夢などについて話し合ってみましょう。「あと1人子どもが欲しい」「5年後くらいに家を購入したい」「家族旅行で海外に行きたい」など、さまざまな希望が出てくるかもしれません。

それをお互いに共有したら、次は、実現するにはいつまでにいくら必要なのかを2人で考えたり調べたりしてみましょう。できる限り具体的な金額を算出するのがポイントです。

実現したいことが複数ある場合は、重要度や緊急度を勘案して優先順位をつけられるとより理想的です。

将来どんなタイミングでいくら必要になるのか、今のままの貯金ペースで問題ないのか、長い目で見て確認しておくのも有効です。

●目的を達成するために必要な貯金額を設定しよう

お金を貯める目的や具体的な金額を夫婦で共有できたら、次は、今からいくらずつ貯めていけば達成できるのかを逆算してみましょう。

例えば「5年後に車を買い替えるために200万円用意する」という場合、今から月3万4,000円程度ずつ貯めていけば達成できます。「18年後に向けて子どもの大学入学資金を貯める」なら、月2万3,000円程度ずつ貯金していけば500万円近く貯まります。

上記のような手順で貯金の目標額を設定するのは、一見手間と時間がかかって遠回りに見えるかもしれません。

しかし、どちらか一方が「このままだとまずいからとりあえず500万円貯めよう」などと提案するより、上記の手順を踏んだほうが明るい気持ちで前向きに、かつ具体的に現実感のある目標を定めやすいというメリットがあります。パートナーの協力も得やすく、成功率も高いでしょう。

貯金の成功率をさらに上げるには、「食費は月○万円まで」のように、支出ごとの予算を話し合って決めておくのもおすすめです。

■STEP2.自分たちに合った管理方法を見つける

夫婦でお金を管理するやり方としては、おもに以下の3種類があります。

  • どちらか一方がメインで管理する
  • 共同で管理する
  • それぞれが管理する(別財布)

どれが最も合うかは、夫婦ごとに異なります。それぞれの特徴やどんな夫婦に向いているか解説しますので、しっくりくる方法を探してみてください。

●どちらか一方がメインで管理する

1つめは「夫婦のどちらか一方がメインで管理する」方法です。夫もしくは妻が先導してコントロールし、もう片方がそれに協力するやり方です。

  • メリット:どちらかがやりくり上手なら貯金がはかどりやすい
  • デメリット:協力する側のモチベーションが下がりやすい

【このやり方が向いているケース】

  • 専業主婦(主夫)世帯など夫婦間の収入差が大きい
  • 夫婦のどちらか一方が家計管理を得意としている

【どちらか一方がメインで管理する場合の管理方法(例)】

  • お小遣い制にする

どちらか一方が管理する方法に向いているのが「お小遣い制」です。家計管理が得意なほうが2人分の収支を把握して、生活費として必要な分を取り分けたあと、もう片方に自由に使えるお金(お小遣い)を渡すのが一般的です。

後述する方法よりも手間が少なくシンプルでわかりやすいのがメリットです。夫婦のどちらかが浪費家でも無駄遣いを防ぎやすく、出費をコントロールしやすいでしょう。

給与や物価が上がったらお小遣いも上げるなど、お小遣いを受け取る側のモチベーションが下がらないよう柔軟に調整していきましょう。

●共同で管理する

2つめは夫婦が「共同で管理する」方法です。「夫婦でいっしょに家計管理する」というイメージに最も近いかもしれません。どちらかだけが家計を握るのではなく、収入や支出をお互いに把握して管理します。

  • メリット:透明性や公平性が高い
  • デメリット:手間がかかる

【このやり方が向いているケース】

  • 収支をお互いにオープンにできる夫婦
  • 子どもがいるなど、夫婦双方にかかわる支出があって共同でお金を出したいとき

【共同で管理する人の管理方法(例)】

  • 新たに口座を作るなどして2人のお金を1つにまとめ、そこから日常の支払いをする
  • 家計簿を共有して、お互いの収支がわかるようにする

家賃や光熱費など生活するうえで発生するさまざまな支出を、どちらかに任せきりにせずに2人で一緒に負担するスタイルが特徴です。

夫婦それぞれが一定額ずつ入金して日常の支払いを済ませる目的に特化した口座を1つ作っておくと便利でしょう。

もしくは、夫婦で紙の家計簿を付けたり、家計簿を共有できるアプリなどを活用したりして同様の状況で管理する方法もあります。

●それぞれが管理する(別財布)

3つめは「それぞれが管理する」方法です。前述の方法と違い、お互いの収支に干渉しないのが特徴です。

  • メリット:自分の収入や支出をオープンにせずに済む
  • デメリット:どちらかが浪費していても気付きにくく、家計全体の状況がわかりにくい

【このやり方が向いているケース】

  • お互いに経済的に自立している共働き夫婦
  • 2人とも倹約家(もしくは家計管理が得意)な夫婦

【別財布の場合の管理方法(例)】

  • 「家賃は夫、食費は妻が負担」「夫の収入は生活費、妻の収入は貯蓄」など費目ごとに負担と管理する人を決める

お互いに必要最低限の情報は共有しつつ、自分の収支は自分で管理するスタイルです。自分が担当している費目の管理だけに集中できるメリットがあります。しかし「相手がちゃんとやってくれているだろう」と思って貯金がおろそかになってしまうケースもあるので注意が必要です。

必要な貯金額を確実に用意するためには、共通の貯金用口座を作り、お互いが毎月一定額ずつ入金するルールを作っておく方法もあります。普段のやりくりは各自で行っていても、最低限の貯金だけは確保しておけると安心です。

■STEP3.口座やアプリなどのツールを活用する

管理方法が決まってきたら、今度は管理の具体的な手段を考えます。その際、管理方法や考え方に合ったツールを活用すれば、より手間なく無理なく家計を管理しやすくなります。口座やアプリなどを味方につけて、スムーズに管理できる体制を整えましょう。

●共有の口座を作って管理する

共同管理や別財布の夫婦なら、2人で共有する口座を1つ作っておくと便利です。

【共有口座の使い方の例】

  • お互いに金額を決めて毎月一定額ずつ入金して貯金する
  • 生活費の引き落とし用の口座にする
  • 子どもの学費を出すための口座にする

など

口座には入金したときも出金したときも自動的に記録が残ります。きちんと入金しているか、不審な出金はないか、お互いがチェックしやすい点がメリットです。ただし、給与口座から共有口座にお金を移すときに手数料がかかる場合もあるので注意しましょう。

●アプリを使ってお互いの状況を把握する

近年は、スマホのアプリなどを使ってお互いの状況を把握しているという家庭もあります。

収支を記録して管理できる「家計簿アプリ」にはさまざまな種類があり、無料で利用できるものも多くあります。なかには、レシートを撮影するだけで自動的に家計簿への記帳やグラフ化ができるアプリ、どちらか一方がつけた記録をもう片方がチェックできる「共有機能」を備えたアプリや、2人で使えるチャージ式のプリペイドカードとセットになっているアプリなどもあります。

双方の状況をタイムリーかつ正確に把握しやすいのがメリットですが、「全部オープンにしたくない」「夫婦とはいえプライバシーは守りたい」という人には使いにくいかもしれません。場合によっては、「食費だけ記録する」など使い方を工夫するのも1つの方法です。

もちろん、アプリに限らず昔ながらの紙のノートにつける家計簿も有効です。しかし、「面倒」「なかなか続けられない」という人は、より手軽に記録できるアプリを活用することも検討してみましょう。

■STEP4.2人で家計を振り返る時間を確保する

家計管理をするうえで重要なのが、振り返る時間を確保することです。新しい管理方法を試したり、家計簿を1ヵ月分記録し終わったりしたときに、結果がどうだったのかを話し合って共有するようにしましょう。ポイントは次の3点です。

●どちらか一方に任せきりにしない

どの管理方法を選んだ場合でも、どちらか一方に任せきりにしてしまうのはよくありません。

夫婦のお金の状況は、夫婦ともに把握できている状況にしましょう。「毎月第一土曜日の19時は『お金の家族会議の日』とする」など、月1回程度の頻度で、家計の振り返りをする日時を設定してルール化しておくのもおすすめです。

●目標の達成度など現状を把握する

振り返りをする際は、単にお互いの収入や支出を発表するだけでなく、設定した予算を守れていたか、目標の貯金額をクリアできたか(どれくらい近づけたか)など、さまざまな角度から家計の状況を俯瞰するのが理想的です。

お互いに現状を把握したうえで、感想を共有するようにしましょう。なかには金融教育の一環として、夫婦だけでなく、子どももいっしょに参加して話し合う場としている家庭もあります。

●反省点や改善点を考える

現状を理解したうえで、どうすればもっとよくなるのか、今後どんな工夫ができそうか、反省点や改善点について話し合ってみましょう。

「まだうまく貯金できない」「管理方法やツールがしっくりこない」というときでも、2人で原因や対策を考えたり、柔軟に変更したりして、また挑戦してみましょう。一度でうまくいかない場合もありますので、焦らずに試行錯誤を楽しむ気持ちで取り組むとよいでしょう。

■夫婦の家計管理でよくある失敗例

夫婦の家計管理がうまくいかないのは、どのような場合でしょうか。ここでは、よくある失敗例を4つ紹介します。原因や対策を学び、今後に活かしましょう。

●2人ともやりくりが苦手で貯まらない

夫婦どちらか一方でも家計管理が得意であれば「得意なほうが主導して管理する」「苦手なほうにアドバイスしたり手助けしたりする」などの方法が選択できます。

しかし2人ともやりくりが苦手な場合、無駄な支出が増えやすくなるため、貯蓄が思うように進まないかもしれません。そんなときは、自動的に貯金できる仕組みを作っておくのがおすすめです。

具体的には、給与が入ったらすぐに一定額が貯金専用の口座へ入るように設定しておきます。これは「先取り貯蓄」と呼ばれる方法です。

●役割分担が偏って負担が増える

夫婦2人で役割分担を決めて家計管理を行っていても、いつの間にか管理や支出の負担がどちらか一方に偏ってしまいストレスや不満がたまってしまうことがあります。そのため「今の役割分担が適切なのか」「どちらかだけが大変になっていないか」などについて定期的に見直していくとよいでしょう。

「今これが厳しいから何とかしたい」など、お互いにいつでも不満を言ったり助けを求めたりできるようにしておくことも大切です。

●ルールが細かすぎて長続きしない

夫婦で家計管理する際、一定のルールを決めることは有効です。しかしあまりに細かすぎるルールを決めてしまうと、うまくいかないケースもあります。

なぜならルールを守るのが大変な状態だと一時的にはよくても長く継続していくのが難しくなるからです。最初から細かいルールをたくさん決めるのではなく、まずはシンプルなルールをおおまかに決めて無理なく継続できる状態を目指すとよいでしょう。

●目的や目標を共有しないまま進めて挫折する

貯金や節約をする際、明確な目的や目標がないとモチベーションが続かず挫折しやすくなります。

「STEP1.夫婦で家計管理する目的や目標を共有する」で解説したとおり、夫婦で「将来どんな生活を送りたいか」「何のためにお金を貯めるのか」についてしっかりと話し合い共通の目標を設定することが大切です。

家計管理は、あくまでも目的や目標を達成するための手段に過ぎません。まずは、目標・目的を明確にして土台を固めましょう。旅行やマイホームの購入、子どもの教育資金など具体的なゴールを共有することで家計管理が前向きなものになります。

■夫婦で上手に家計を管理するコツ

最後に、夫婦で行う家計管理の成功率を上げるコツを2つ紹介します。

●話し合いと合意を大切に

何よりも大切なのは、夫婦間の話し合いと合意です。どちらかが一方的にルールを決めたり強制したりすると、不満や不信感などが蓄積してどこかでうまくいかなくなる可能性が高くなります。

夫婦それぞれで管理する場合(別財布)だと特に、いつの間にかお金の話がタブーのようになってしまって、なかなか夫婦間でも本音で話ができないというケースもあるようです。

しかし、夫(妻)の経済状況は自分の生活に直結する重要な問題です。お金の話をむやみに避けることなく、積極的にコミュニケーションを取っていきましょう。

【話し合うことの例】

  • 今月の収支結果、来月の収支予測
  • 今後やりたいことやそれにかかる費用
  • 目標とする貯蓄額、その達成に向けてやるべきこと
  • 資産運用の検討

など

前述のとおり、あらかじめ「お金の家族会議の日」を決めておいて定期的にお金の話をする習慣を付けるのもおすすめです。

●柔軟に取り組む

話し合った結果、お金の管理方法や今後の方針が決まったとしても、それをずっと守り続ける必要はありません。

夫婦どちらかが我慢したり苦痛を感じたりするような方針では意味がないので、無理なく続けられるように適宜ルールを見直していくとよいでしょう。「一度決めたら終わり」ではなく、定期的に見直し最適化することが大切です。

いつでも何でも話し合える夫婦であれば、ざっくりと仮決めして実践してみて不具合が出たらその都度直していくくらいがちょうどいいでしょう。状況に合わせて柔軟に対応していきましょう。

●モチベーションを維持する

どちらか一方が家計管理や資産形成に熱心でも、もう片方が乗り気でない場合はなかなか継続できずうまくいかないでしょう。せっかくであれば2人で楽しみながら家計管理できるような方法を考えてみましょう。

【モチベーションを維持する方法(例)】

  • 目標を設定して、どれだけ近づけたかをゲーム感覚で楽しむ
  • うまく貯金できたら2人でちょっとだけ贅沢するなど、ご褒美を設ける
  • 「お金の家族会議」を、おいしいコーヒーやケーキなどを用意した状態で行う

など

2人で同じ方向を向いて前向きに努力することは、すばらしいことです。できるだけ楽しく明るい気持ちで取り組めるように工夫してみましょう。

■まとめ

夫婦で家計を管理する方法としては、お小遣い制を導入する、共有の口座を作る、家計簿アプリを活用するなどがあります。

ただ、夫婦での家計管理方法に「絶対の正解」はありません。コミュニケーションを取ったり試行錯誤したりしながら、自分たちにぴったりの方法を見つけて、お互いに不満のない家計管理を実現しましょう。

まずは、2人で将来の夢や計画についてじっくりと話し合う時間を取って、貯金の目的や目標を具体的に設定してみてはいかがでしょうか。

執筆者:馬場愛梨

プロフィール:
ばばえりFP事務所 代表。関西学院大学商学部を卒業後、銀行にてクレジットカードやカードローン、投資信託などを扱う窓口業務に従事。その後、保険代理店や不動産業界での勤務を経て、独立。自身が過去に金銭的に苦労したことから、難しいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えするべく活動中。
これまで1,000本以上のお金に関する解説記事に携わり、執筆や監修を担当。

保有資格:AFP(日本FP協会認定)、証券外務員一種、貸金業務取扱主任者(資格試験合格)、秘書検定1級など

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