2023/12/22
カードローンを借り換えるメリット・デメリットとは|仕組みや注意点も解説
執筆者:滝口誠(たきぐちまこと)
「利用しているカードローンの金利が高い」「複数のカードローンを利用していて返済管理が大変」と感じている人には、カードローンの借り換えがおすすめです。少しでも金利の低いカードローンへ借り換えれば、利息を抑えて返済負担の軽減ができたり、1社にまとめることで返済管理が楽になったりすることが期待できます。
しかしカードローンを借り換えるのは、メリットだけでなくデメリットもあります。そこで、本記事では借り換えで損をしないように、カードローンの借換時の注意点をまとめました。
■カードローンの「借り換え」とは?
カードローンの借り換えとは、新たにカードローンを契約してお金を借り、現在利用しているカードローンの残高を返済して清算することです。現在契約している金利よりも低いカードローンであれば、支払利息を抑えることができるほか総支払額が軽減できる可能性もあります。
例えば20万円を金利年18%で借りて毎月1万円ずつ返済した場合、返済総額は約23万9,554円となり利息額は約3万9,554円です。
一方、20万円を金利年15%で借りて毎月1万円ずつ返済した場合、返済総額は約23万1,576円となり、利息額は約3万1,576円となります。金利が年3%違うだけで利息額の差は約7,978円ですから、借入額が大きくなれば差額はさらに大きくなることがわかります。このように少しでもトータルの返済負担を減らしたいのであれば、現状よりも低金利のカードローンへ借り換えすることを検討してみましょう。
●おまとめローンとの違い
カードローンは「借り換え」のほかに、複数のカードローンをまとめることができる「おまとめローン」があります。上述したようにカードローンの借り換えとは、現在のカードローンよりも金利の低いカードローンへ借り換えることです。一方、おまとめローンの場合は複数のカードローンを1社にまとめるために利用します。
また一般的なカードローンは、返済して利用枠が空いてくると空き枠で繰り返し利用することが可能です。しかしおまとめローンは、借りたあとは返済するだけで繰り返しの利用はできません。
- ※当コラムでは金利の上昇低下に問わず複数のカードローンの借り入れを一つにまとめることを「おまとめローン」とし、現在のカードローンよりも金利の低いカードローンへ借り換えることを「借り換え」としています。
■カードローンを借り換えるメリットを解説
カードローンを借り換える主なメリットは、以下の3つです。
- 利息の支払い負担の軽減
- 無理のない返済プランへの組み直しが可能
- 利便性のよいカードローンを選択できる
●利息の支払い負担の軽減
カードローンの借り換えは、現在利用しているカードローンよりも低金利のものへ乗り換えることで、利息の支払い負担を軽減することが可能です。先述したように20万円を借りた場合、たった金利年3%でも8,000円程度の利息の差になり、総返済額が少なくなる可能性があります。
●無理のない返済プランへの組み直しが可能
毎月の返済額が固定されているカードローンの場合は、「毎月の負担をもう少し減らしたい」と思っても変更することはできません。そこで利用中のカードローンよりも低い返済額が設定できるカードローンに借り換えられれば毎月の家計への負担を軽減することが可能です。これにより無理のない返済プランへ組み直すことも期待できます。
●利便性のよいカードローンを選択できる
カードローンの借入方法や返済方法は、ATMやインターネットなどさまざまです。もし現在利用しているカードローンがATMでしか利用できない場合は、利用したいときに近くにATMがなければ借入れできません。そこでパソコンやスマートフォンなどを使用してインターネットで借入れ手続きができるカードローンに借り換えれば、いざというときにATMまで行かなくてもすぐに利用できます。
■カードローンを借り換えるデメリットを解説
カードローンの借り換えには、メリットだけでなくデメリットもあります。ここでは、代表的な2つのデメリットについて解説します。
●借換先にも審査がある
カードローンの借り換えは、新規で別の金融会社にカードローンを申込むことになるため、改めて審査を受ける必要があります。そのため「すでにカードローンがあるから審査はない」と勘違いしないように注意が必要です。審査に通らなければ、当然借り換えはできません。また審査に通ったとしても希望した限度額で契約できなければ現在利用しているカードローンを借り換えできない場合もあります。
●支払い総額が増えてしまう場合もある
低金利のカードローンに借り換えたとしても、毎月の返済額を少なくし返済期間が延び、その結果支払い総額が増えてしまう場合があります。現在よりも毎月の返済額が少なくなると家計は楽になるでしょう。しかし毎月の返済額が少なくなる場合でも返済期間が長くなり、利息を支払う期間が長くなるケースもあります。
以下で一般的な2つの金利が異なるケースを比べてみます。20万円を金利年18%で借入れ毎月1万円ずつ返済した場合と、金利年15%で借り換え毎月5,000円ずつ返済した場合を比較してみましょう。
なお、利息についてはリボ払いの計算方法で計算しています。実際に借入れする場合は、金融機関によって異なるため注意をしてください。
金利(年) | 毎月の返済 | 返済回数 | 利息 | 総返済額 | |
---|---|---|---|---|---|
借換前 |
18% |
1万円 |
24回 |
約3万9,554円 |
約23万9,554円 |
借換後 |
15% |
5,000円 |
56回 |
約7万8,954円 |
約27万8,954円 |
金利を3%低いカードローンへ借り換えたものの返済額を減らすと返済回数が増え、その結果、総返済額が約3万9,400円も増えてしまうことがわかります。このように低金利だからといって毎月の返済額を抑えすぎて返済期間を長くしてしまうと総返済額が大幅に増えてしまうこともあるため、注意が必要です。
■カードローン借り換え審査でチェックされるポイント
カードローン借り換え審査でチェックされる主なポイントは、次の3つです。
- 現在利用しているカードローンに遅れがないか
- 消費者金融で借り換えるとき、年収の3分の1以内の限度額となっているか
- 個人信用情報に問題はないか
現在延滞はないものの過去に何度も延滞を繰り返していると個人信用情報に事実が記録され、新しいカードローンの審査に通過できない可能性が高くなります。
■カードローンの借り換えをしたほうがいい人の特徴
カードローンの借り換えをしたほうがいい人の特徴として、「現在利用しているカードローンの金利が高い」ということが挙げられます。現在利用しているカードローンよりも金利の低いカードローンを見つけたときは、毎月の約定返済が同じという場合、借り換えをすることで総返済額を抑えられる可能性が高いでしょう。
また複数のカードローンを利用している人も1社のカードローンにまとめることで返済口座の管理が楽になったり、家計負担を軽減できたりする可能性があります。そのほか頻繁に利用するもののATMでしか借入れできないカードローンの場合は、インターネットで借入れ手続きができるカードローンに乗り換えると利便性も向上するためおすすめです。
■カードローンの借り換えを避けたほうがいい人の特徴
現状のカードローン金利が他社よりも低い場合は、わざわざ手間暇をかけて借り換えする必要はないでしょう。またカードローンの利用頻度が少ない場合もあまりメリットがないため、借り換えはおすすめしません。
さらに現在のカードローンの返済で延滞などがあると、個人信用情報に事故情報として登録されている可能性があります。そうなると借換先として新規のカードローンに申込み、審査を受けても審査に通りません。個人信用情報に自信がない場合は、カードローンの借り換えは無理に行わないほうがよいでしょう。
■カードローンの借り換えをする場合の注意点
カードローンの借り換えをするときの主な注意点は、以下の2つです。
- 返済負担が大きくならないようにする
- 総量規制に注意(※)
- ※総量規制とは、お金の借りすぎから消費者を守るためのルールです。総量規制の対象は消費者金融などの貸金業のみですが、銀行も原則として総量規制に準じた自主規制を行っています。
●返済負担が大きくならないようにする
せっかく金利の低いカードローンに借り換えるのであれば、毎月の返済額が増えないものを選びましょう。毎月の返済額が増えれば返済期間が短くなり、その結果、総返済額も少なくなりますが、増えた返済額が家計を圧迫してしまいます。また先述したように金利が下がっても返済期間が延びれば最終的な総返済額が増えてしまう場合もあります。
現在と同額か、あるいは返済期間が極端に長くならず、また家計も圧迫されない程度の返済額が設定できるカードローンを選ぶようにしましょう。
●総量規制に注意
銀行や信用金庫などの銀行系カードローン以外にも消費者金融やクレジットカードのキャッシングでお金を借りることができます。特に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを検討している場合は、貸金業法の総量規制に注意が必要です。総量規制は、貸金業者からお金を借りるときに申込者の年収の3分の1までに総借入額を制限するものです。
すでに上限近くまで借入れしていると、消費者金融やクレジットカードのキャッシング審査に通過できない可能性があります。消費者金融のカードローンへ申込みする場合は、申込前に現在の借入残高が年収の3分の1を超えていないか確認しましょう。一方、銀行や労働金庫、信用金庫、信用組合、農協などのカードローンは、総量規制の対象外です。
そこで新たな借入先として銀行系カードローンを検討するのもよいですが、総量規制対象外とはいえ自主規制を設けているため、借りすぎていると判断されれば銀行系カードローンでも審査に通過できません。複数のカードローンを利用している場合は、申込みに注意してください。
■まとめ
カードローンを借り換えるときのポイントは、借り換える目的が「総返済額を減らしたいのか」「毎月の返済額を減らして家計を楽にしたいのか」を明確にすることです。少しでも金利が低いカードローンに借り換えることで、毎月の返済額は減る可能性があります。しかし極端に返済額を減らすと返済期間が長くなり、かえって総返済額が増えてしまうこともあるため、注意が必要です。
また複数のカードローンをまとめたいときは、おまとめローンも視野に入れながら借り換え商品を探すことをおすすめします。