2023/07/31
カードローンの金利の仕組みとは?計算方法や利息の抑え方をわかりやすく解説
執筆者:滝口誠
冠婚葬祭や病気・怪我などの治療費で、まとまったお金が必要になったとき、カードローンの利用を検討する人も多いのではないでしょうか。
しかし、カードローンの利用は「借金をする」ということであり、よくわからないまま利用することに抵抗を感じても不思議ではありません。
「カードローンの金利ってなに?」
「カードローンの利息を抑えるはどうしたらいいの?」
この記事では、初めてカードローンを借りる方向けに、カードローンの基礎知識や仕組み、利息の計算方法などについて解説します。是非カードローンの利用を検討するときの参考にしてください。
■カードローンの金利・利息とは?
カードローンでお金を借りるときに耳にするのが、「金利」や「利息」という言葉でしょう。カードローンの基本的な用語ですので、その意味について確認しておきましょう。
●利息(利子)とは「お金のレンタル料」のようなもの
利息は、借主(カードローンの利用者)が貸主(貸金業者や銀行)に対して、お金を借りたことへの対価として支払う金銭です。お金のレンタル料のようなものといえます。借りたお金を返済する際に、元金に利息を上乗せして支払います。
利息と利子は同じ意味ですが、法律用語としては利息が用いられることが多く、所得税関連では利子が用いられます。
●金利とは「元金に対する利息の割合」
金利とは、借り入れた金額(元金)に対する利息の割合のことです。金利は利率とも呼ばれ、「〇〇.〇%」というようにパーセント表記されるのが一般的です。また、1年間の元金に対する利息の割合を年利といいます。
金利は、後述する利息制限法で定められた上限を下回っていれば、貸金業者や銀行で自由に設定することが可能です。
●カードローンの「借入利率」と「金利」の違い
金利という言葉以外にもカードローンでは、借入利率という言葉が使用されることもあります。元金に対する利息の割合のことで、契約ごとに定められた利率ともいえ、金利とほぼ同義と考えて問題ありません。
借入利率には月利や日賦もありますが、大手貸金業者や銀行では年利を用いるのが一般的です。
また、カードローンでは、実質年率という言葉が使用されることもあります。お金を借りるときにかかる手数料や保証料などの諸経費も含めた金利のことで、実際にお金を借りるときは、実質年率で利息が計算されることになります。
一般的なカードローンは、諸経費が無料か金利に含まれることが多く、金利と実質年率の違いはほとんどありません。念のため、商品概要などで諸費用の取り扱いをチェックしておくとよいでしょう。
■カードローンの金利が決まる仕組みを解説
カードローンとは、消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者や銀行が提供している個人向けの融資サービスです。審査により設定された利用限度額(借入限度額や利用可能枠ともいう)の範囲内で何度でも借り入れできます。
利用限度額は、職業や年収、勤続年数、年齢、他社からの借入状況といった信用情報などから総合的に決定されます。総量規制により、貸金業者から融資を受ける場合は年収の3分の1までしか借りられないため、利用限度額は年収の3分の1以下になります。
銀行は総量規制の対象外ですが、多くの銀行は独自ルールにより利用限度額に制限を設けています。
カードローンの特徴は次のとおりです。
- 利用目的は自由
- 担保や保証人が不要
- いつでもどこでも借入れと返済が可能
借入はATMや振込によって行い、返済は約定返済日に約定返済額を貸金業者や銀行が定める方法で行います。約定返済額とは毎月の最低返済額のことで、金額は契約時に決まっています。また、毎月の返済のほかに繰上げ返済も可能です。
●カードローンの上限金利は金融機関によって異なる
利息制限法で定められた上限を下回っていれば、貸金業者や銀行は金利を自由に設定できるため、カードローンの上限金利は金融機関や商品によって異なります。
一般的に、消費者金融のカードローンは上限金利の相場が年18.0%程度で、銀行カードローンの上限金利の相場は年14.0%程度です。信販会社のカードローンの上限金利にはバラつきがあります。
銀行のカードローンは低金利なものの審査は厳しく、融資までに2日から1週間程度かかります。他方、消費者金融のカードローンの金利はやや高いものの審査に通りやすく、即日融資も可能です。
融資までのスピードや審査の通過しやすさを優先するか、金利の安さを優先するかで借入先は変わります。
●カードローンの金利は利用限度額(利用可能枠)で変わる
カードローンの金利は、「年〇〇.〇%~〇〇.〇%」というように幅があります。適用される金利は、審査で決定された利用限度額によって変わります。通常、利用限度額が低いと金利が高く、利用限度額が高いと低金利になります。
利用限度額によって金利に差がある背景には、借入れた金額によって上限金利が法律で定められていることも関係しています。
●上限金利は法律で最大20%と決められている
カードローンの金利は、利息制限法で上限が決められています。カードローンを取り扱う金融機関は利息制限法を守らなければならず、年20.0%を超える金利を設定することはできません。
利息制限法第1条では、次のように定められています。
(利息の制限)
|
つまり、10万円未満の借入れならば年20.0%、10万円以上100万円未満の借入れならば年18.0%、100万円以上の借入れならば年15.0%が上限金利となります。
もし、法律で定められた上限金利を超過した場合、超過した部分に対する利息は無効となります。
しかし、無審査での融資をうたうような違法業者は法律を遵守していない可能性があり、20%を超える違法な高金利によって利息が膨らんで返済不能に陥る恐れがあります。
お金を借りる際は、利息制限法に則った利息を設定している正規の金融機関を利用しましょう。
■カードローンの利息の計算方法
カードローンの利息は、お金を借りたことへの対価として支払うレンタル料のようなものです。そして、利息は返済時に元金に上乗せして支払います。
では、利息はどのようにして計算するのでしょうか。
●カードローンの利息の計算式
利息は、次の計算式で算出します。
- ※一般的に1円未満は切り捨てます。
計算式からわかるように、たくさんの金額を借りる、金利の高いカードローンを利用する、利用日数が長くなるなどすると利息の金額が膨らみます。
したがって、可能な限り早く一部でも返済して元金を減らすようにすれば、利息を抑えられます。
●金利ごとの返済総額を比較
銀行カードローンの上限金利の相場である14%と、消費者金融カードローンの上限金利の相場である18%で、10万円を借入れた場合の返済総額を比較してみましょう。
利息の計算式に当てはめて計算すると、次のようになります。
【金利14%で10万円を借りた場合の利息と返済総額】
借入期間 | 利息 | 返済総額 |
---|---|---|
10日間 |
383円 |
10万0,383円 |
30日間 |
1,150円 |
10万1,150円 |
60日間 |
2,301円 |
10万2,301円 |
90日間 |
3,452円 |
10万3,452円 |
120日間 |
4,602円 |
10万4,602円 |
【金利18%で10万円を借りた場合の利息と返済総額】
借入期間 | 利息 | 返済総額 |
---|---|---|
10日間 |
493円 |
10万0,493円 |
30日間 |
1,479円 |
10万1,479円 |
60日間 |
2,958円 |
10万2,958円 |
90日間 |
4,438円 |
10万4,438円 |
120日間 |
5,917円 |
10万5,917円 |
10万円を借りたときに金利が4%異なると、利息として支払う金額に30日あたり330円程度の差が生まれます。
さらに、複数回に分けて返済する場合は、一括返済時と比べて利息と返済総額が変わります。
単純に比較することはできませんが、一括返済に比べて分割返済は早く元金を減らすことができるため、その分利息を抑えることが可能です。
●返済早見表を活用して返済額を確認しよう
カードローンを取り扱う金融機関のホームページでは、カードローンの返済早見表や返済シミュレーションが公開されています。元金に対して毎月どのくらいの金額をどのくらいの期間で返済するのか、返済計画を立てる参考にしましょう。
返済早見表や返済シミュレーションは、カードローンに申込みをしていなくても利用できます。
■カードローンの利息を抑えるポイント
カードローンの利息を抑えたい場合は、どのような点に気をつければいいのでしょうか。チェックしたいポイントは次の2つです。
- 低金利のカードローンを選ぶ
- 繰上げ返済をする
それぞれのポイントについて解説します。
●低金利のカードローンを選ぶ
カードローンの金利は、法律で定められた上限内であれば貸金業者や銀行が自由に決められます。複数のカードローンを比較して金利が低いものを選べば、利息を抑えて総返済額を少なくできるため、なるべく低金利のカードローンを選びましょう。
ただし、比較するときは、同じ利用限度額に対する金利を確認することが大切です。
●繰上げ返済をする
カードローンは、任意のタイミングで追加の返済ができます。これを、繰上げ返済と呼びます。繰上げ返済をすれば、約定返済時のみの返済に比べて借入残高を早く減額でき、利息を抑えられるだけでなく返済期間の短縮も可能です。
家計に余裕があるときは、少額でも繰上げ返済をすると良いでしょう。ただし、繰上げ返済には手数料がかかる場合があるので注意しましょう。
また、繰上げ返済をする際には、資金不足にならないように気をつけてください。残高を一括で繰上げ返済した場合は問題ありませんが、残高の一部を繰上げ返済したのであれば、毎月の約定返済も期日通りに到来します。つまり、繰上げ返済のほか、約定返済額分もお金を用意しておく必要があるのです。
繰上げ返済は、無理のない範囲で行いましょう。
■まとめ
カードローンの金利とは、元金に対する利息の割合です。利息制限法により、正規の金融機関なら金利が年20.0%を超えることはありません。くれぐれも「無審査」などの言葉につられて、違法金利で貸付ける業者を利用することがないようにしてください。
また、利息は元金に金利を乗じて年間の日数で除し、利用日数を乗じて算出します。借主の希望によって金利を下げることはできないため、金利の低いカードローンを選んだり、少額でも繰上げ返済をしたりして、支払う総利息額を抑えるようにしましょう。