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2023/3/29

【2023年法改正】家計に影響!お金の制度はどう変わる?

執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)

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お金に関する制度は毎年のように法改正が行われ、少しずつ変わっています。この記事では2023年に予定されている法改正の中から、特に個人の家計に影響を与える可能性が高いものをピックアップして解説します。

近いうちに起きる変化をあらかじめ理解し対策が必要なものを把握しましょう。

<この記事で解説する4つの法改正>

  • 労働基準法の改正(2023年4月1日~)
  • 相続土地国庫帰属制度がスタート(2023年4月27日~)
  • インボイス制度がスタート(2023年10月1日~)
  • ジュニアNISAが終了(~2023年12月31日)

■労働基準法の改正(2023年4月1日~)

  • どんな法律?……労働条件の最低ラインを定めた法律
  • どう変わる?……月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が上がる
  • どんな人に関係ある?……中小企業に雇用されている人
  • どんな影響がある?……残業代がアップするかも!

時間外労働をすると、残業代が増え通常よりも賃金が割増されます。どれくらい割増するのか(割増賃金率)は労働基準法で決まっています。2023年4月1日以降は、中小企業で月60時間超の時間外労働をしたときの割増賃金率が25%から50%にアップします。

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(出典:月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省

上図のとおり、先に割増賃金率が上がっていた大企業の水準に追いつくことになります。これにより残業代がアップする、残業が減る、代替休暇が取れるようになるなど、中小企業で働く労働者にとって嬉しい変化が期待できます。

ちなみに、今回の労働基準法改正では上記以外に「デジタルマネーでの給与支払い解禁」という変化もあります。これまで給与の振込先は銀行などの口座のみに限定されていましたが、2023年4月以降はスマホ決済や電子マネーなどへの振込も認められるようになります。

■相続土地国庫帰属制度がスタート(2023年4月27日~)

  • どんな制度?……相続した土地を手放したい場合、国に引き取ってもらえる制度
  • どう変わる?……管理や売却ができない不要な土地を手放せるようになる
  • どんな人に関係ある?……親族から土地を相続する人
  • どんな影響がある?……所有者不明の土地の放置による周辺への悪影響を防ぎやすくなる

2023年4月27日から「相続土地国庫帰属制度」が新設されます。一定の要件を満たせば、相続した土地を手放せる制度です。

近年は土地を相続しても、遠方に住んでいたりすでにマイホームを所有していたりして不要だと感じる人が増えています。適切な管理をしないまま放置すると、近隣住民が不快な思いをしたり周辺の道路工事などが進められなかったり、周りに悪影響を及ぼしてしまう可能性もあります。

相続土地国庫帰属制度はこうした問題を解決するための制度です。ただし、どんな土地でも無償で引き取ってもらえるわけではありません。審査があり、負担金(10年分の土地管理費相当額)の支払いも必要です。

■インボイス制度がスタート(2023年10月1日~)

  • どんな制度?……仕入税額控除を受けるためにインボイス(適格請求書)が必要になる
  • どう変わる?……「適格請求書発行事業者」しかインボイスを発行できなくなる
  • どんな人に関係ある?……おもに個人事業主(自営業者やフリーランス)やその取引相手(課税事業者)
  • どんな影響がある?……個人事業主は「適格請求書発行事業者」になるか選択を迫られる

インボイス(適格請求書)とは、消費税率や消費税額など必要な事項をすべて記載した請求書のことです。2023年10月以降、買い手側はインボイスがないと仕入税額控除(税金の負担軽減)を受けられなくなります。

売り手側がインボイスを発行するには「適格請求書発行事業者」になる必要があります。ただし、適格請求書発行事業者になると事務が煩雑になったり消費税納付の負担が増したりする可能性があります。

インボイス制度のスタートは2023年10月からですが、適格請求書発行事業者になるための登録申請はすでに受付が始まっています。

■ジュニアNISAが終了(~2023年12月31日)

  • どんな制度?……未成年が利用できるNISA(少額投資非課税制度)
  • どう変わる?……ジュニアNISAの新規利用ができなくなる
  • どんな人に関係ある?……未成年者やその親などで投資にチャレンジしたい人
  • どんな影響がある?……未成年が利用できる投資の税制優遇制度がなくなる

ジュニアNISAは、未成年が利用できる制度です。決められた範囲内であれば、投資をして利益が出ても税金がかからずに済むNISA制度(少額投資非課税制度)の一種です。

親や祖父母が子どものために代理で運用を行う際にも利用されていたジュニアNISAですが、2023年末で終了するため、2024年以降は新しく始めたり新たな投資を行ったりできなくなります。(2023年末までに投資していた分は、利用者が18歳になるまで非課税で保有できます。)

ちなみに、2024年1月から新しいNISA制度がスタートします。今までのNISAより投資できる金額が増え、期間の制限もなくなります。投資を始めたいと考えているなら、こちらの新NISAを利用することも検討してみましょう。

■まとめ

お金の制度は、時代に合わせて少しずつ変化しています。今後何がどう変わってどんな影響があるのか知っておけば、あらかじめ心づもりをしたり対策を取ったりすることができるでしょう。

暮らしに直結する情報に敏感になって、社会の潮流を把握して、安心して家計を守れるようにしていきたいですね。

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