2023/2/24
2024年からの新NISAは何が変わる?2023年中にやっておきたいこととは?
執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)
2024年から、NISAが変わります。NISAは投資に関する税制優遇制度で、国は「資産所得倍増」につなげるため、これまでよりも非課税制度を拡充する方針を決めました。
この記事では新しいNISAの仕組みについて、最新の動向を踏まえて紹介します。併せて、2024年に向けて2023年のうちに何をしておけばよいのかも解説します。
- ※本記事は2023年1月22日時点の情報に基づいて執筆されています。
■そもそもNISAとは?
まずは現在のNISAがどのような制度なのか、簡単におさらいしておきましょう。
NISAは「少額投資非課税制度」とも呼ばれます。通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、NISAを利用した投資ならば、いくら利益が出ても制度の適用期間内は非課税です。税金がかからない分、手元に残せる金額が多くなるのがメリットです。
NISAには一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3種類があり、それぞれ対象者や投資できる商品、投資枠(期間や金額)などが異なります。
■2024年からNISAが拡大!何がどう変わる?
2023年度の税制改正大綱に、NISAの拡充と恒久化が盛り込まれました。NISAは3種類でしたが、2023年末でジュニアNISAは終了し、2024年以降は一般NISAとつみたてNISAが1つになります。
NISAについて、2023年1月時点の最新情報をもとに詳しく見ていきます。
【2024年以降のNISA】
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
投資できる金額 (1年あたり) |
120万円 | 240万円 |
投資できる金額 (一生涯の総額) |
1,800万円 (そのうち成長投資枠は1,200万円まで) |
|
投資できる期間 | 無期限 | 無期限 |
投資できる商品 | 金融庁が定めた基準を満たす一定の投資信託 | 上場株式や投資信託など |
投資方法 | 積立のみ | 積立も単発(スポット)も可能 |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
「つみたて投資枠」は従来のつみたてNISA、「成長投資枠」は従来の一般NISAのような存在です。
2023年まではどちらか一方を選ぶ必要がありましたが、2024年以降は両方同時に取り組めるようになります。
その他、以下のような変更点があります。
- 恒久化によって非課税期間が無期限になる
- 1年間に投資できる金額が増える
- 「投資枠」の考え方が変わる
●恒久化によって非課税期間が無期限になる
2024年以降、NISAは恒久化されます。「NISA廃止」の可能性がなくなり、期間終了時の対応などにわずらわされることがないため、じっくりと長期的な視点で投資に取り組めるでしょう。
また、2023年までのNISAは「5年」「20年」など非課税期間が定められており、口座を開設できる期間も限られていました。しかし、2024年以降は非課税期間の制限がなくなり、無期限になります。
●1年間に投資できる金額がアップする
2023年までは、1年あたり最大120万円(つみたてNISAは40万円)までしか投資できませんでしたが、2024年以降は最大360万円まで投資できるようになります。
また、これまでは「1年あたりの上限額」のみでしたが、新たに「一生涯の上限額」が設けられ、NISAで投資できるのは1人あたり1,800万円までになります。
●「投資枠」の考え方が変わる
NISAでは、投資できる金額の上限(投資枠)が決められています。前述のとおり、2024年以降のNISAでも1年あたりの投資枠が設定されていて、さらに一生涯の投資枠(総枠)もあります。
従来のNISAと違うのは、「上限まで使い切っても保有中の商品を売却すれば復活する」という点です。新しいNISAでは、一生涯の投資枠を「簿価残高方式」で管理します。
購入した時の金額をもとに管理するので、100万円を投資した商品が200万円まで値上がりしても、消費する枠は「100万円」です。その商品を売却すると、翌年に「100万円」の枠が復活します。
枠を上限まで使い切ってしまっても、売却すればその分の枠が空くので」、また新たな投資をすることができます。この「枠の再利用」は、これまでのNISAではできませんでした。
■2023年中はどうすればよい?今考えておくべきこと
新NISAが始まるのは、2024年1月からですが、2023年のうちに何をしておけばよいのでしょうか。
●2024年を待たずに始めてもOK
新NISAを待たずに、2023年のうちからNISAを始めるのも一つの方法です。NISAは「月100円」といった少額でも始められます。2023年は練習期間と位置付けて、無理なく捻出できる金額でスタートし、2024年から本格的に投資するのもよいでしょう。
2023年末までのNISAで投資した分は、新NISAとは別に扱われるため、新NISAの「一生涯の上限」には含まれません。
●情報を集めよう
「2024年からスタートしたい」という人は、今から投資に関する情報を集めておきましょう。それと並行して、以下のような点に着目しながら、戦略をじっくり練るのもおすすめです。
- NISAでどのような投資をしたいのか
- いつまでにいくらの資産を築きたいのか
- 目標額達成のために何にいくらずつ投資するのか
■NISAの始め方
最後に、「NISAを始めたい」と思ったらどうすればよいのか、確認しておきましょう。大きく分けると、以下の3ステップで始められます。
- ステップ1:NISA用の口座を用意する
- ステップ2:投資する商品を選ぶ
- ステップ3:選んだ商品の購入手続きを行う
ステップ1とステップ2は、順番が逆でも問題ありません。NISA口座は、銀行や証券会社などの金融機関で開設できます。金融機関ごとに取り扱っている商品やサービス内容などが異なるので、比較して検討するとよいでしょう。
■まとめ
「投資に興味がある」「いつかやってみたいと思っていた」という人にとって、2024年のNISA改正は投資を始めるチャンスです。
新NISAでは投資できる金額が増え、期間の制限もなくなる予定です。2023年のうちに情報を集めて戦略を立て、投資デビューを果たしてはいかがでしょうか。