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2022/11/30

資産形成とは?種類や年代別におすすめの方法を紹介

監修者:新井 智美(ファイナンシャルプランナー)

「自分の資産を守るためにも資産形成が必要」といった言葉を見かけることも多いのではないでしょうか。実際にインターネットのニュースやコラム、雑誌、本などでも資産形成についての話題は頻繁に扱われています。

この記事では、そもそも資産形成とは何なのかといった根本的な話から、年代別におすすめの資産形成方法まで幅広く紹介します。今すぐ資産形成を始めたい方はもちろんのこと、資産形成について気になる方もぜひご覧ください。

■資産形成とは

資産形成とは、資産が全くない状態から資産を築いていくことを意味しており、将来の不安を軽減するために早い段階から無理のない範囲で資金準備を始めることをいいます。

例えば、仕事をして収入を得ることも資産形成の1つです。

資産形成は時間をかけてコツコツと続けることが基本です。収入が少なく元手となる資金が少ないときでも、ライフプランを実現するために、できることから始めていきましょう。

資産形成と混同されることがある言葉に、「資産運用」があります。資産運用とは、すでに持っている資産を活用して、資産を増やしていくことを意味しています。

例えば、保有する預金を使って株式を購入し、配当金を得たり株価が上昇したときに売却したりして増やすことがあげられます。

効率良く資産形成するためには、基本となる収入を増やすことに加え、資産運用が有効です。資産運用によって資産を増やすことは、資産形成を後押しする役割を果たすため、資産運用は資産形成に含まれるといえるでしょう。

●資産形成の考え方

将来発生しうるライフイベントなどに備えてお金を準備するためにも、資産形成は重要です。
また、リスクについても常に考慮する必要があります。例えば、貯金をしていてもインフレが進んだ場合、現金だけで資産を保有していると資産の価値が目減りしてしまいます。

株式や投資信託のように価格が上昇する可能性がある金融資産や、実物資産である不動産のように金融資産以外の資産に分散させて保有することで、インフレや価格変動などのリスクに備えることができるでしょう。ただし、どんな方法でも必ずしも資産が増やせるとはいえないため自分に合う方法を考えてから始めるようにしましょう。

■資産形成の種類

資産形成には、「預金」や「国債」などの低リスクなものから、預金などに比べてリスクがあるものの、増える可能性のある「株式投資」や「投資信託」などがあります。

一般的に低リスクとされている資産形成のひとつに、預金が挙げられます。預金は基本的には元本が保証され、また口座に入れておくだけのため、手間がかかりません。扱いやすく、なおかつリスクが低い資産形成方法として、すでに利用している方も多いでしょう。

債券にはいくつか種類がありますが、そのなかでも個人向け国債はリスクが低く、始めやすい資産形成方法です。

元本が保証されていない資産形成方法として、例えば株式投資があります。株式投資は元本保証ではないためリスクはありますが、株価の上昇や配当などにより預金よりも大きく増える可能性もあります。

また、株式や債券などを組み合わせて金融商品として販売している投資信託も、元本は保証されていませんが、価格(基準価額)の上昇や分配金などにより高い収益を得られることがあります。

さらには、非課税制度を利用した資産形成の方法もあります。通常、株式や投資信託で収益を得ると、20.315%は税金として納めることになります。しかし、つみたてNISAやNISA、2024年から始まる新NISAなどの制度を利用して運用する場合、定められた非課税期間内は収益に対して税金が発生しません。

また、iDeCoも非課税で投資信託などを運用できる制度です。iDeCoでは運用によって生じた収益が非課税になるだけでなく、掛金(運用資金)が全額所得控除になり、将来、一時金や年金として受取るときも控除対象となるなど、さまざまな優遇税制が適用されます。

その他の資産形成方法として、保険も検討できます。保険は本来、万が一に備えるためのものですが、変額保険や外貨建て保険などの投資性の高いものもあります。

不動産投資も資産形成に活用できる資産運用方法の1つです。定期的に家賃収入を得られるだけでなく、現物資産として次世代に引き継ぐこともできます。

■年代別におすすめの資産形成

どの資産形成の方法も、良い面もあればリスクもあります。それぞれのリスクを把握したうえで、良い面を活かせるように運用していくことが大切です。

また、ライフプランによっても、適した資産形成の方法は異なります。例えば、住宅を購入するか、子どもを持つか、何人持ちたいか、老後はどのように暮らしたいのかなどによって、必要となる資金や資金を準備するまでの期間も変わります。

年代別に予想されるライフイベントとおすすめの資産形成を紹介します。

●20代におすすめの資産形成

20代は収入も少なく、資産形成に活用できる資金も少なくなりがちです。少額から始めることができ、節税にも活かせるiDeCoを利用して、資産形成を始めましょう。

iDeCoは20歳以上65歳未満の方が利用できる制度です。加入している国民年金の被保険者区分や、勤務先の会社の状況によって異なりますが、毎月5,000円~68,000円の掛金でコツコツと資産形成できます。原則として受取りは60歳以降のため、老後資金の準備に適しています。

  • 60歳から65歳の加入者は要件を満たした人のみです。iDeCoの加入には一定の条件があるため、事前に確認しておきましょう。

また、iDeCo以外にも資産形成に活用できる資金があるときは、つみたてNISA・NISAも検討すると良いでしょう。

つみたてNISAとは、長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなどと投資初心者でも利用しやすいのが特徴です。投資に慣れるためにも、まずは少額から始められるつみたてNISAから始めてみましょう。

●30代におすすめの資産形成

30代になると結婚や出産などで家族構成に変化が生まれる方も増えてきます。住宅購入を検討している場合であれば住宅ローンの頭金を貯めたり、子どもの教育費が気になるときは学資保険などを検討したりすると良いでしょう。

住宅ローンの頭金を貯めるためには、20代と同様、つみたてNISA・NISAの活用がおすすめです。その中でも、国内債券などが中心の投資信託で運用すると、価格変動のリスクが小さい安定した運用ができます。
子どもがいる場合は学資保険を契約すると、将来の教育資金を用意できるだけでなく、万が一、契約者本人が死亡や高度障害状態になったときでも教育資金を確保できます。

学資保険などに加入しない場合は、医療保険や収入保障保険などの利用も検討し、病気やケガなどの不慮の事態に備えましょう。

●40代におすすめの資産形成

一般的に40代は20代、30代よりも収入が多く、老後までにも時間の余裕があるため、積極的な資産形成に適した時期といえます。株式や投資信託を用いた運用も本格的に始めてみましょう。

収益を増やし、なおかつ節税を実現するためにも、NISAやつみたてNISA、2024年から始まる新NISAを利用することがおすすめです。例えば、つみたてNISAでは毎年40万円の新規投資を最長20年間非課税で行うことができ、40代で始めれば、老後資金を貯めることもできるでしょう。ただし、積み立て金額が40万円に満たない場合でも、翌年以降に非課税枠の繰り越しができない点には注意が必要です。

●50代におすすめの資産形成

定年退職もそろそろ見えてきた50代は、40代までよりも慎重な方法を選択する必要があります。個人向け国債などの債券は、原則として満期を迎えると最初に投資したお金(元本)が目減りすることなく戻ってくるため、おすすめの資産形成方法です。個人向け国債の運用期間は最長10年なので、50代で始めれば、老後資金としても活用できます。

また、子ども世代に資産を遺したいと考えている方は、不動産投資もおすすめです。家賃収入は老後資金としても活用できるので、老後と相続を見据えた方法として検討してみましょう。

■資産形成をするときの注意点

資産形成は、資産を増やし、その時期に必要な資金を得ることを目標として行うことができます。しかし、方法によっては資産を増やすつもりが大幅に減ってしまったり、必要なときに必要な資金を得られなかったりすることもあるので注意が必要です。

先述の通り、資産形成にはリスクがつきものです。例えば、預金にはインフレリスク、株式や投資信託には価格変動リスクなどがあり、資産価値が目減りすることもあります。資産形成のリスクを軽減するためにも、次のポイントに注意しましょう。

  • 資産を分散する
  • 長期的に運用する

それぞれのポイントについて解説します。

●資産を分散する

どの資産形成方法にも、固有のリスクがあります。リスクを完全に回避することはできないため、資産を複数に分散することで、それぞれのリスクを抑えるようにしましょう。

例えば、すべての資産を円預金で保有している場合、インフレによって貨幣価値が下がると、資産価値もダイレクトに下がります。一部を外貨預金として保有したり、債券や株式、不動産などに分けて運用したりすることで、インフレが進んでも資産価値をある程度守れるようにしましょう。

●長期的に運用する

高利回りの資産形成方法を選択すると、短期間で高収益を期待できます。しかし、一般的に高利回りの方法はリスクが高く、損失も多大になる傾向があるので注意が必要です。

資産形成の本来の目的は、将来の不安を軽減することです。短期的に多額の収益を得ようとしてハイリスクの方法を利用するのではなく、できればリスクの低い方法を選択し、資産を複数に分散させて長期的な視点で運用しましょう。

■リスクを理解したうえで自分にあった資産形成を始めよう

資産形成をするためには、多額の資金は必要ありません。年齢や収入、ライフステージなどにあわせて、無理なくできる範囲内で資産形成を始めていきましょう。

複数の方法で運用することも大切なポイントです。運用する方法が増えると、その分、資産管理が複雑になりますが、運用に付き物のリスクを抑えることが可能になります。

また、長期的に運用することでもリスクを回避しやすくなります。大切な資産を上手に増やしていくためにも、今から資産形成を始めましょう。

監修者:新井 智美
顔写真:監修者:新井 智美

プロフィール:
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)をおこなうと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績は2,000本を超える。

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