2022/11/16
早めに立てておきたい「マネープラン」!作成・実践の4つのポイント
監修者:株式会社ZUU
超低金利の環境が続き賃金上昇のペースも鈍い中、投資に注目が集まっています。足元では円安や物価高が進み、日本円で預金するだけでは資産が目減りしていく状態。老後に備えて資産を最大化しておくためには、早めにマネープランをつくり、実行に移すことが大切です。今回は、マネープランの作成や計画の実践にあたって考慮すべきポイントをまとめました。
■①できるだけ早く資産運用を始めよう
「思い立ったが吉日」という言葉があるように、資産運用は可能な限り早く始めるべきです。なぜなら投資した資産には、出た利益を再投資することによる「複利効果」が働くからです。
仮に1,000万円を運用して年3%ずつ増えるとすると、資産は1,030万円、1,060万円、1,090万円というペースで増えるものと考えるかもしれませんが、得られた利益を再び運用に回した場合、その限りではありません。1年後は1,030万円の元手が3%増えて1,060万9,000円になり、翌年は1,092万7,270円に増えます。
このため、一般的に運用の期間が長くなればなるほど、資産がいわば雪だるま式に膨らみ、どんどん増加ペースが速まることになります。つまり、なるべく早く運用を開始すれば、複利効果を最大限に活用して資産を増やすことができるのです。
もっとも投資においては、開始した時期がいつであろうと運悪く株価の暴落に巻き込まれる恐れがあります。そうしたケースに備えるには、投資する時期を分散することが有効です。株価が暴落したときにも、そうでないときにも同じ株を買うようにすれば、1株あたりの購入価格は平滑化されます。長期的に株価の上昇が見込まれる場合、投資時期の分散は資産を大きく伸ばすための土壌作りにつながるのです。
■②予定外の出費に備えて資金の積み立て計画を
マネープランは結婚や出産など、人生で迎え得る「ライフイベント」を意識して立てる必要があります。たとえば結婚式は、近年規模が縮小傾向にありますが、それでも地域や規模によっては数百万円の出費が必要になります。出産費用や育児費用などについても、自治体によって補助があるとはいえ、最終的には実費でまとまったお金が必要です。
さらに、こうしたライフイベントが予定通りに起こらないのが人生。見込みより遅れるならともかく、予定と比べて前倒しされて早く資金が必要になったり、イベントの規模が拡大してたくさんの資金が必要になったりすることもあります。
ですから「30代半ばで結婚するつもりだから、まだ貯えがなくても大丈夫」「子どもは2人の予定だから、その分だけあればいい」といった考え方では、急な出費に対応できない可能性があります。そうした事態を避けるためにも、早い段階から月々の収入のうち一定の金額・割合を投資に回して十分な資産形成を図ることで、人生の不安要素の1つは解消されるでしょう。
■③国の制度を積極的に活用しよう
国は現在、「貯蓄から投資へ」を合言葉に、NISA(非課税投資)、iDeCo(個人型確定拠出年金)といった、投資に関連した税金を優遇する制度を設けています。少しでも効率良く資産を増やしたいなら、活用しない手はありません。
NISAには複数の種類があります。一般NISAは株式・投資信託を年間120万円までの枠内で購入でき、最大で5年にわたり非課税で保有できる仕組みです。つみたてNISAは、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託を対象として年間40万円まで購入でき、最大で20年間にわたり非課税で保有できます。以上が20歳以上を対象とした制度(2023年1月以降は18歳以上が対象)です。
このほか、20歳未満の子世代への資産移転を目的としたジュニアNISAという制度もあります。これは株式・投資信託を年間80万円まで購入でき、最大5年にわたって非課税で保有できる仕組みです。
ちなみに、NISAは現在制度の変わり目に差し掛かっており、2024年から新制度に移行します。一般NISAの枠は122万円に拡大されますが、うち20万円はつみたてNISAと同じく一定の投資信託を購入して運用する必要があり、残る102万円で一般株式などを購入できるようになります。またジュニアNISAは2023年で廃止予定です。
iDeCoは任意加入の私的年金で、自分で掛け金や運用方法を選択できます。掛け金の上限は加入資格によって異なり、例えば上限が最も高い自営業者等は月6万8,000円、最も低い会社員・公務員の一部は月1万2,000円となります。iDeCoは掛け金の全額を所得控除できるほか、運用益が非課税で再投資されるなどの税制優遇が受けられます。
これらの制度は払い戻しの時期などに制限を設けている場合があるので、まずは各制度の特徴をよく理解し、自分に合った制度を選んで賢く資産運用を始めましょう。
■④大きな支出は「住宅資金」「教育資金」「老後資金」
ここまで紹介したとおり、大きな出費に備えるためには、優遇制度を活用して早期から資産形成を図ることが重要です。最後に、人生における金額の大きな出費を紹介し、実際にいくら貯めるつもりでいればいいかを示してみます。
人生最大の出費は住宅資金です。住宅金融支援機構による、住宅ローン「フラット35」を2021年度に利用した人への調査によると、土地付きの注文住宅は全国の平均取得金額が4,455万円、マンションは4,528万円となっています。このうち頭金は取得金額の20%程度までが相場と言われていますから、取得金額の1~2割を最初に一括で支払うとすると、400万~1,000万円程度が必要という計算になります。
続いて子供の教育資金についても検討しておきましょう。通う学校の種類によっても大きく差が出ますが、幼稚園から大学までの入学費用と在学費用を合わせると、1,000万~2,000万円程度が必要だと言われています。また、老後資金については、全国銀行協会によれば「夫婦2人の必要額の目安は2,500万円」とされています。
■今すぐにでも資産運用の準備を
最後に紹介した老後資金の目安2,500万円は、収入が公的年金に限られる場合の不足額を示したものです。必ずしもこれだけの金額を定年時に現金で用意しておく必要はなく、それまでに続けてきた投資で資産を保有していれば、それらから生じる配当収入や売却益を充当することもできます。
重要なのは、早めにマネープランを作成し、資産運用などの方法で計画的に将来の出費に備えることです。「雪だるま」は転がす期間が長ければ長いほど大きくなります。家族の成長、自分たちの老後も見据え、今すぐにでも資産運用の準備に取り掛かりませんか。