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2022/11/4

ゼロからわかるESG投資 個人で始めるための基礎知識

監修者:株式会社ZUU

環境・社会・企業統治の3要素を考慮して行う投資であるESG投資。これまでは大きな資産を運用する機関投資家が行うイメージが強いものでしたが、近年は個人投資家を対象にしたESG関連の金融商品も増えています。本コラムでは、ESG投資の基礎知識を、初心者でもわかりやすいよう解説していきます。

■そもそもESG投資とは?

ESG投資のEは「Environment(環境)」、Sは「Social(社会)」、Gは「Governance(企業統治)」の頭文字をそれぞれとっています。

つまり環境・社会・企業統治の3要素を考慮して行う投資を意味し、企業経営のサステナビリティ(持続可能性)を評価することに重きを置いている点が特徴です。

ESG投資においては売上高や利益といった財務情報のみならず、企業の気候変動問題に対する取り組みや社会貢献活動、経営の透明性など非財務情報も投資をする際に考慮に入れます。これによりSDGs(持続可能な開発目標)の実践につながるほか、持続可能性の高い企業に投資できるため、長期的に安定したリターンを獲得できるメリットがあります。

ESGに関しては、国連が責任投資原則(Principles for Responsible Investment: PRI)という行動原則を提唱しており、ESG課題を投資の意思決定プロセスに組込むことを促しています。

2015年に世界最大級の機関投資家とされる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がこのPRIに署名し、日本でもESG投資が広がるきっかけとなりました。

■ESG投資をする方法は主に2種類

ESG投資の手法としては、主に以下の2パターンがあります。

●株式投資でESG投資

1つ目のパターンは株式投資によるESG投資です。ESGの取組みが評価されている企業の株式に投資したり、気候変動問題など特定のテーマから関連する企業を探して株式に投資したりする方法があります。

●投資信託でESG投資

もう1つのパターンは、投資信託への投資によるESG投資です。証券会社は脱炭素や水といったテーマごとにファンドをつくって金融商品として販売しており、そうした投信を選ぶこともESG投資だといえます。投資信託であれば株式よりも少額から積立てが可能なため、投資初心者でもリスクを抑えながら始められます。

■どうやって株式や投資信託を探す?

それでは、具体的にどのようにしてESG関連の株式や投資信託を探せばよいのでしょうか。

世界のESG投資協会7団体が加盟しているGlobal Sustainable Investment Alliance (GSIA)はESG投資の具体的なアプローチを示しており、その中から投資初心者でも実践しやすい4つの視点を示しています。

●①関連テーマから探す

1つ目は、ESGに関連するテーマから株式や投資信託を探す方法です。ESGに関連するテーマとしては、例えば以下のものが考えられます。

  • 持続可能な農業
  • グリーンビルディング
  • 低炭素ポートフォリオ
  • ジェンダー平等
  • ダイバーシティ

こうしたテーマの中から関心があるものを選び、それを基準に銘柄や金融商品を探すのが1つ目のアプローチです。

●②ESGスコアが高い企業を探す

2つ目は、ESGスコアを用いる手法です。

ESGスコアは第三者機関が企業のESGの取組みを評価し、数値化したものです。このESGスコアを参考に、数値が高い企業に投資するのが2つ目のアプローチです。

ESGスコアを算出している第三者機関には、アメリカに本拠を置くモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)やS&P Globalなどがあります。

企業のESGへの取組みを評価するには、数値化されておらず財務情報には表れないさまざまな情報を集め、分析する必要があります。こうした分析には一定の労力がかかるため、投資初心者にとっては簡単な作業ではありません。

ESGスコアを利用することで、投資初心者でもよりESGに配慮した企業へ投資できます。

●③特定のセクターを除外する

3つ目は、①とは反対に特定のセクターを除外する方法です。

例えば、石炭は燃焼すると二酸化炭素を排出し、二酸化炭素は地球温暖化の原因と考えられています。このような理由から石炭はESGとの親和性が低いといえるため、ESG投資を行うなら、投資の対象から石炭関連セクターを除外することも選択肢の一つとなります。

同様のアプローチとしては、ほかに兵器関連やタバコ関連のセクターを除外することも考えられます。

●④規範に違反した企業を除外する

4つ目は規範に違反した企業を投資対象から除外する手法です。

例えば、一部の国では子どもが危険な仕事に就く、児童労働が問題になっています。こうした児童労働は国際的な規範に反しているといえ、ESGの観点からは好ましくありません。

児童労働だけでなく、人権侵害や環境破壊などの国際規範に反する行為が確認された企業への投資は、ESG投資に当てはまらないといえます。

■ESG投資は個人でも挑戦しやすい環境に

ESG投資は、一部の機関投資家に限らず、個人でも始められる投資分野になってきました。今では各金融機関が多数のESG関連商品を取り扱っており、少額から積み立てられるなど個人が挑戦しやすい環境が整いつつあります。

投資である以上はリスクが伴いますが、これを機に、ESG投資を始めることも検討してみてはいかがでしょうか。

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