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「レア硬貨」とは?キャッシュレス時代でも残り続ける硬貨の価値

株式会社ZUU

2022年3月15日

クレジットカードやスマホ決済などキャッシュレスでの支払いが増え、硬貨に触れる機会が減っている方も多いのではないでしょうか。実際、キャッシュレス化などの理由で一部の硬貨の流通量は年々減っていますが、流通量が少なくなることで、相対的に希少価値が高まるケースもあります。中でも、特に希少価値が高い硬貨は「レア硬貨」とも呼ばれます。

本コラムでは、キャッシュレス時代に注目度がじわりと高まっている「レア硬貨」に関する最新事情を紹介します。

■新500円硬貨の流通で起きること

約20年ぶりにデザインを刷新した「新500円硬貨」の流通が、2021年11月1日から始まりました。硬貨のデザインを変える必要があるのは、偽造防止の観点からです。例えば新500円硬貨には、縁の彫り込みの形状を変更するといった工夫がされています。

一方、新硬貨が流通すると古い硬貨はどうなるのでしょうか。旧500円硬貨も引き続き使用可能ですが、古い硬貨は日本銀行が徐々に回収していくことから、旧硬貨の流通量は減っていきます。

流通量が少なくなるということは、旧硬貨の希少価値が高まるということです。いわゆる「レア硬貨」「プレミア硬貨」の一部は、こうした硬貨の新陳代謝の過程を経て生まれます。

いまやお金がデジタル化されている時代ですが、通貨という実物を伴う「モノ」だからこそ、こうした価値の高まりが起きるわけです。

■どんな硬貨が「レア硬貨」?

前述の通り、流通量が少なくなった硬貨は相対的に希少価値が高まります。しかし、そもそも発行量が多かった硬貨は、流通量が減ったとしても相当数が市場で流通し続けるため、レア硬貨とは呼べません。

そのため、元から発行量の少ない古い硬貨がレア硬貨として高い価値を持ちやすい傾向があります。例えば、発行枚数が極端に少ない年の硬貨、少しだけしか市場に出回っていないエラー硬貨、といった具合です。

●硬貨によって発行枚数が少ない年がある

発行枚数が少ない年は、簡単に調べることができます。硬貨の製造を担っている造幣局が、貨幣ごとの年別の発行枚数を公表しているからです。

例えば5円硬貨の場合、昭和に限っていえば1957年(昭和32年)や1967年(昭和42年)の発行枚数が目立って少なくなっています。1957年の発行枚数は1,000万枚、1967年の発行枚数は2,600万枚です。ほかの多くの昭和の年は1億枚以上発行されています。

しかも5円硬貨は1959年(昭和34年)から字体が楷書体からゴシック体に変わっています。つまり、1957年の5円硬貨は発行量が少なく、かつ希少性が高い楷書体のため、本来の価値の50倍前後もの価値で取引されることも珍しくありません。

そのほかにも、1986年(昭和61年)は10円硬貨の発行数がほかの年より少ない年でした。そしてこの年に発行された10円硬貨は前期と後期で異なるデザインとなっており、このうち後期のデザインは希少性が高いことで知られています。

具体的には、10円硬貨に描かれた平等院鳳凰堂の階段を囲む線のデザインが前後期で異なっており、「発行枚数が少ないこと」と「デザインの希少性」のかけ算により、なんとこの硬貨1枚で2万円ほどの価値があるとも言われます。

●希少性が高い記念硬貨、1円硬貨や5円硬貨もレア硬貨に?

記念硬貨もそもそもの流通量が少ないため、希少価値があります。なお直近では、2019年に「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念10,000円金貨幣」が、2021年に「郵便制度150周年記念10,000円金貨幣」などが発行されました。

また、キャッシュレス化などを背景に、1円硬貨や5円硬貨などの“少額硬貨”の発行枚数が減っており、流通量も減っています。そのため、こうした少額硬貨がいずれレア硬貨と呼ばれる日が来るかもしれません。

なお1円硬貨は2001年(平成13年)から2010年(平成22年)までの10年間の平均発行枚数は約7,600万枚ですが、2011年(平成23年)は45万6,000枚、2012年(平成24年)は65万9,000枚しか発行されておらず、こうした年に発行された1円玉には数千倍の価値がつくケースもあります。すでに価値の高騰が起きているわけです。

●穴なし5円玉などの「エラー硬貨」もレア度が高い

製造過程の異常により正しく製造されなかった、いわゆる「エラー硬貨」もほとんど流通していないため、レア度が高くなっています。エラー硬貨の種類はさまざまですが、具体的には「穴なし」もしくは「穴ズレ」の5円硬貨、鋳造ミスでデザインが崩れた1円硬貨などがあります。

■モノとしての価値、モノとしての楽しみ方がある

キャッシュレス化が進む中、最近は硬貨や紙幣で支払いをする機会がほとんどないという人も少なくないでしょう。

しかしこの記事で触れたように、「モノ」である硬貨にはレア硬貨が存在したり、電子マネーにはない「デザイン性」があったりと、モノとしての価値、そしてモノとしての楽しみ方が存在し続けているのも事実です。

財布を開いて改めて硬貨を眺めながら、その価値を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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