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【FPが解説】新年の貯金計画の立て方と、2022年に注目したいマネー関連ニュース

馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)

2022年1月6日

2022年がスタートしました。年始は気分を一新して「今年はどんな年にしよう」とじっくり考えたり、新しいことに挑戦したりしたくなる人も多いと思いますが、今年は少し時間をかけて、貯金計画の練り直しやお金まわりの整理整頓をしてみるのはいかがでしょうか。本コラムでは、その進め方やポイントについて解説します。

■今年こそ!実現できる貯金計画を立てよう

「なかなかお金を貯められない!」「去年は思うように貯金できなかったな……」という人は、今年こそしっかりと貯金計画を立ててみるのがおすすめです。

貯金は、なんとなく「余ったら貯めていこう」と思っているだけではなかなか実現しにくいものです。なぜ、いつまでに、いくら、どうやって貯めるのか考えて実行に移しましょう。

■貯金計画を立てるときの4つのポイント

理想を叶えつつ、現実的な貯金計画を立てるためのポイントは主に次の4つです。

●ポイント1:目的を明確にする

まずは「何のために貯めるのか」を考えてみましょう。単に「旅行資金」「老後資金」といったことだけでなく、できるだけ具体的にイメージすることが大切です。

例えば、老後資金を貯める場合は、貯金のイメージを具体的にするために、以下のような質問で掘り下げて考えてみるとよいでしょう。

・理想の老後生活を送るには毎月いくらかかりそうか
・年金と退職金でどこまでまかなえそうか
・お金はいくら足りなさそうか
・いつまでにお金が必要なのか
・なぜ、それまでにお金が必要なのか など

イメージが具体的になれば、どれくらいのペースで貯めていけば間に合うのか、今年はどれくらい貯金すればよいのか逆算して考えることができます。また、散財しそうになったときや心が折れそうになったときも、貯金の目的を思い出すことで「頑張ろう!」と踏みとどまりやすくなります。

●ポイント2:家計のバランスを考えよう

貯金のために節約が必要なとき、むやみにすべての支出を削ろうとすると上手くいかない場合があります。節約のコツは、お金をかけたい部分と、かけなくてもよい部分を明確に区別し、バランスを取ること。言い換えれば、限りあるお金を何に使いたいのか、優先順位をはっきりさせることが大切です。

何を重視したいかは人によるので、一度自分の支出を「食費」「住居費」など費目ごとにリストアップしてみて、合計100%になるように理想のお金の割り振り方を考えてみるのがおすすめです。以下はその一例です。

・住居費 ……5%~25%
・食費  ……10%~20%
・教育費 ……5%~10%
・日用品費……3%~5%
・通信費 ……2%~4%
・保険料 ……3%~8%
・貯蓄  ……10%~25%  など

理想の割合から予算を決めてそれを守るように意識することで、家計管理がしやすくなります。

●ポイント3:数年先、数十年先の支出も考えてみよう

毎月のやりくりにあくせくしていると、数年先、数十年先の家計に意識が向きづらい場合もあります。そんなときこそ、未来を見据えると貯金のよい動機づけになります。この先にどんな出費が控えているのかを考えて、今のお金の使い方で問題なさそうなのか検証してみましょう。

例えば、子どもがいる世帯なら今後の学費にいくらかかるか知っておくと、貯めるべき金額が見えてくるかもしれません。もっとも学費の負担が大きくなりやすい大学進学のタイミングでは、初年度の納入額が100~150万円ほど、大学4年間の合計で400~500万円ほどかかると言われています。

少し難しく感じるかもしれませんが、今は金融庁や日本FP協会の公式サイトなどで無料ツール(ライフプランシミュレーション)が公開されていて、一生分のお金の余裕度が診断できます。「この先のライフプランのイメージがつかめない……」という方は、チェックしてみるとよいかもしれません。

●ポイント4:貯金できる仕組みづくりもセットで進めよう

最後に、自然と貯金できる仕組みをつくっておくと“計画倒れ”しにくくなります。

例えば、銀行の定額自動入金サービスや、勤務先によって導入されている財形貯蓄制度を利用して、毎月の給料から自動的に預金を一部移動させるようにしておくと「余ったら貯金」でははなく「貯金分を差し引いた金額で生活する」に変わり、途中で貯金が続かなくなる事態を避けることができます。

■お金まわりの整理整頓も同時に行おう

貯金計画と併せて、保険契約や銀行口座などお金まわりの断捨離や整理整頓に取り組むのもおすすめです。まずは、お金に関する以下のような情報を整理して、正しく把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。

・保険契約……家族の誰が、どこの保険会社の、何の保険に入っていて、どんなときにいくらお金を受け取れるのか
・銀行口座……どこの銀行に口座があるのか、残高がいくらあるのか、すぐ引き出せるものか
・投資関係……どこの証券会社に口座があるか、何にいくら投資していて、いくらくらい増減しているのか

新年の初めに、内容を把握して不要なものは解約する、書類は紛失しないよう保管する、家族が困らないようわかりやすく整理して情報をシェアしておくなど、一度まとまった時間を設けて取り組んでみましょう。資産運用を行っている方は、どれくらいお金が増減したのかチェックして今後の方針を考えてみてもよいと思います。

お金関係の書類をひとつのファイルなどにまとめるとともに、家族にそれを説明して現状を知ってもらう時間を設けるのもよいかもしれません。また、定期的に「お金の家族会議」のような形で、今月のやりくりの状況や直近の大きな支出予定などについて話し合うことも有効でしょう。

日々忙しくしているとなかなか手が回らないものですが、どれも重要なことです。

■2022年、マネーに関する注目ニュース

2022年も、様々なマネー関連のニュースが世間を賑わせそうです。新年の始まりにお金の関心を高めると同時に、今後どんな変化が起こりそうか予測してみることが、家計を守っていく上で役立つかもしれません。

例えば、今年は以下のような動きがあります。

・年金制度改正法の施行……働き方の多様化に合わせ、2022年4月から年金制度が変わる
・食品などの値上げ……原油や原料費の価格高騰によりパン、冷凍食品、コーヒーなどが値上げ
・新学習指導要領の開始……2022年度から、高校の家庭科の授業で「資産形成」を学ぶことに

特に、年金制度の改正や、食品の値上げは生活にも直結します。自身への影響が大きそうだと思う方は、積極的に情報収集に努めましょう。

例えば、年金制度は改正法によって厚生年金・健康保険に加入できる要件が引き下げられ、対象者が拡大します。「フルタイムで働いていない」という方も、2022年4月から厚生年金・健康保険の加入対象となるかもしれません。そのほか改正では、在職老齢年金制度の見直しや、確定拠出年金の加入可能要件の緩和が行われるほか、年金の受給開始年齢を75歳まで繰下げできるようになります。

今回の年金制度改正では、高齢になっても多様な働き方ができつつある現代に合わせた年金制度へと刷新することを目的としています。老後資金をどのように賄うのか、年金や働き方について今一度考えてみましょう。

値上げについても、単に「商品の値段が上がる」という意味に留まりません。例えば、値段は変わらないのに「内容量が減っている」という値上げのケースもあります。気づかないうちに値上げの影響を受けている可能性もあるため、家計を考えて商品を選ぶようにしましょう。

マネー関連のニュースは「難しそう」「よくわからない」と避けてしまう人も少なくありません。しかし、日頃からアンテナを張っておけば「知らないと損する情報」を逃さずに済みます。心穏やかに豊かに過ごすためのヒントになることもあります。

苦手意識がある人は、今年はニュースに触れる機会を増やして、わからない言葉が出てきたら調べてみるなど、少しずつでもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

■新年を機に、あらためてお金と向き合ってみては?

「一年の計は元旦にあり」と言われるように、物事を為すには初めにしっかりと計画を立てることが大切です。「今年こそお金のことをちゃんとしたい」「きちんと貯金できるようになりたい」という方は、貯金計画とお金まわりの整理整頓に取り組むことから始めてみましょう。

また、年金制度や値上げなど2022年にも家計を取り巻く状況はいろいろと変化していきそうです。この一年、さらにもっと先まで考えて、お金と向き合ったり家族で話し合ったりする時間を設けてみてはいかがでしょうか。

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