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シニア世帯の平均貯蓄額はいくら?

執筆者:冨士野喜子(ファイナンシャル・プランナー)

2021年8月17日

平均寿命が延びたことで老後の期間が長くなり、その上、税金や社会保険サービスなどの負担が増加していく昨今。老後に資金不足が発生しないか、老後資金はいくら準備しておけばよいか、不安や疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。家計の状況は一人一人違うので、「これだけあれば大丈夫」という金額の正解はありませんが、具体的なマネープランを考える上では、「平均」が参考になります。今回は60代世帯の金融資産保有額の平均額や家計の収支状況を紹介しながら、生涯安心のマネー対策について考えていきます。

■60代はどのぐらい貯蓄しているのか

60代の資産額について、単身世帯と二人以上世帯の現状を見ていきましょう。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2020年)」によると60代単身世帯の金融資産の平均値は1,305万円、二人以上世帯については、1,745万円となっています。

この統計において、金融資産とは、預貯金、保険、有価証券、その他金融商品を指します。

ただし、この数字には「金融資産のない世帯」も含まれており、「金融資産がある世帯だけ」の平均値に絞ってみると、単身世帯1,872万円、二人以上世帯2,154万円となり、平均値が約4~500万円増えました。この様に、平均値の数字は極端に資産の保有額が少ない人、逆に保有額の多い人によって左右される側面があり、実態とかけ離れた結果になってしまうことがあります。

そこで用いられるのが「中央値」です。平均値が調査対象者の金融資産の合計を人数で割ったものである一方、中央値とは、調査対象の結果を低い順に並べて真ん中にある数値で、より実態に近い数字であると考えられています。

前述の統計における60代の金融資産(金融資産のない世帯を含む)の中央値をみると、単身世帯は中央値300万円(平均値は1,305万円)、二人以上世帯については中央値875万円(平均値は1,745万円)となっています。以上のことから、60代は単身世帯で300万円、二人以上世帯で875万円が一般的な資産額と言えるでしょう。

■単身世帯と二人以上世帯、平均値や中央値から何が見える?

単身世帯と二人以上世帯で中央値が2倍以上の開きがあるのは、収入の違いが一つの原因と考えられます。単身世帯では年収500万円未満が約80%、二人以上世帯では約50%となっているからです。もちろん、収入が多いからといって、貯蓄ができるとも限りません。平均値と中央値に開きがあることからも分かるように、貯蓄額の個人差は大きいのです。

それ以外には、二人以上世帯の方が単身世帯に比べて、子育てなどのライフイベントが多く、家計の見直しや貯蓄プランを考えるなど、お金と向き合う機会があるため、その意識が貯蓄額に反映しているものと思われます。

■60歳代以降の家計収支は?

では、60歳代以降の月々の家計収支はどうなっているのでしょうか?総務省「家計調査~家計収支編(二人以上の世帯)~2020年」を見ると、60歳以降の勤労者の世帯では、実収入が46万6,747円(うち、勤め先収入が33万5,932円、社会保障給付が9万7,613円)、無職世帯では、26万4,689円(うち、社会保障給付が20万667円)と、就労の有無で20万円程度の収入差があることが分かります。

実支出(消費支出[食費などの生活費]+非消費支出[税金や社会保険料])に関しては、勤労世帯が36万257円に対して、無職世帯は26万5,890円であり、就労の有無で支出金額は10万円程度の差となります。この支出の差の原因としては、無職となり年金収入だけになることで、節約意識が高まるためだと考えられます。逆に、就労している間はお金を使ってしまいがちなので、資産を増やしたい方は財布の紐を緩めないように注意しましょう。

家計の黒字金額を計算すると、勤労世帯は10万6,490円のプラス、無職世帯は1,200円のマイナスです。この家計の赤字は、同調査の2017年から2020年の3年を比較してみると、年々減っていることが分かります。勤労収入が増えたこと、支出が減ったことが要因で、60歳以降も収入を維持し、支出削減で資産の減少を食い止めようとしているのではないかと思われます。

■老後の貯蓄プランを見直そう

「資産が平均値(中央値)に達していない」と諦める必要はありません。必要な老後資金の金額は人それぞれなのです。自身のご家庭で必要となる資金を算出し、貯蓄プランを考えることから始めることが大切です。

まずは、受給できる年金額をチェックして、家計の支出項目と金額を書き出し、赤字が毎月どれくらいになるのかを計算します。勤労収入がいつまで・いくらくらいあるのかも非常に重要なポイントです。前述の調査において、年金を受給しながら就労する世帯では、月に10万円程度の貯蓄が可能であることが分かりました。家計管理をしっかりすれば、資産は増やしていけるでしょう。

また、年金額に関しては「繰り下げ受給」を申請することで、年金額を増やすことが可能です。増加率は、1ヶ月の繰り下げで0.7%、最大5年の繰り下げができます。つまり、老齢基礎年金を70歳から受給するようにした場合(5年繰り下げ)は、年金額が42%アップします。長生きすればするほど、お得な制度と言えます。

そして、住宅ローンなど、ローンの支払いが終われば、貯蓄のスピードも上がるはずです。もちろん、家計費の無駄があればカットしていくことも意識していきましょう。さらに、「資産寿命」(資産が無くなるまでの期間)を延ばすためには、お金に働いてもらう=資産運用も大切なポイントです。

毎月一定金額を積立しながら投資でき、運用益が非課税となるつみたてNISAの制度も活用できるでしょう。「運用を任せたい」という方には、自動で商品の売却や組み替えをしてくれるロボアドバイザーも選択肢の一つとして検討してみると良いと思います。資産運用は、元金割れのリスクもありますので、預貯金など他の金融商品などとバランスをとり、ご自身のリスク許容度に合わせた運用を心がけましょう。

人生100年時代、いつ何が起きるか分かりません。元気なうちに貯蓄プランを練って、お金で困ることのないように資産形成をしていきたいものです。