【初心者必見】FXに関わる税金とは 必要条件や計算方法について
執筆者:中田 真(ファイナンシャルプランナー)
2021年7月29日
FX(外国為替証拠金取引)の取引で得た利益には、どのような税金・税率がかかるのでしょうか。今回は、FX取引で得た利益にかかる税金・税率や確定申告の有無などについて解説します。
FXにはどんな税金が関わってくるか
FX取引で発生した利益には「先物取引に係る雑所得等(※1)」として、所得税+住民税(地方税)が課税されます。課税方式は申告分離課税となるため、原則として確定申告が必要です。
- ※1先物取引に係る雑所得等
一定の先物取引による事業所得の金額、譲渡所得の金額、雑所得の金額の合計額となります。
FXの税率とは?
FX取引で発生した利益に対する税率は、一律20.315%(所得税15.315%(※2)、住民税(地方税)5.0%)となります。
- ※2復興特別所得税
東日本大震災の復興に必要な財源の確保に関する特別措置法に基づき、2037年まで特別復興所得税として各年分の所得税の額に2.1%を乗じた金額が追加で課税されます。
確定申告は必要?必要な条件は?
FX取引で確定申告が必要な条件について確認していきます。利益が発生した場合と、損失が出た場合で変わるので、それぞれについて説明します。
<FX取引で利益が発生した場合>
利益が発生した場合は、原則として確定申告が必要となります。ただし、以下の場合は確定申告が不要です。
- 年収2,000万円以下の会社員で、給与を1カ所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、給与所得・退職所得以外の所得(FX取引で得た利益を含む)の合計額が20万円以下の場合
- 自営業者やフリーランス、無職などで、年間の所得の合計額が48万円以下(基礎控除額)の場合
いずれの場合も住民税(地方税)の申告は必要ですので、注意しましょう。
<FX取引で損失が発生した場合>
ほかの「先物取引に係る雑所得等」の利益があれば、損益通算が可能です。
例えば、日経225先物(株価指数先物取引)で50万円の利益、FX取引で20万円の損失が発生した場合、日経225先物(株価指数先物取引)の利益とFX取引の損失を通算(50万円-20万円)することで、課税対象となる通算利益を30万円(損益通算なしの場合は50万円の利益に対して課税)とすることができます。
なお、FX取引の損失で損益通算を行っても、その年に控除しきれなかった損失が残った場合は、確定申告を行うことで損失を翌年以降3年間にわたって先物取引に係る雑所得等の利益から控除できます。
税金の計算方法について
FX取引の利益(課税対象)の計算式は、以下の通りです。
FX取引の利益(課税対象) = 為替差益 + スワップポイント(※3) - 諸経費 (※4)
<計算例>
為替差益30万円、スワップポイント1万円、諸経費1万円
FX取引の利益(課税対象) = 30万円 + 1万円 - 1万円 =30万円
FX取引で発生した利益に対する税率は、一律20.315%(所得税15.315%、住民税(地方税)5.0%)となりますので、所得税額、住民税(地方税)額は、以下の通りとなります。
所得税額 = 30万円 × 15.315% = 45,945円
住民税(地方税)額 = 30万円 × 5% = 15,000円
税額合計(所得税額+住民税(地方税)額) = 60,945円
- ※3スワップポイント
FX取引では、金利の異なる2つの通貨を売買します。よって、2つの国の金利差が発生し、この金利差を日割りにしたものがスワップポイントです。例えば、金利の高い国の通貨を買い、金利の低い国の通貨を売った場合、スワップポイントを受け取ることになります。
- ※4諸経費
FX取引における手数料だけではなく、雑所得(先物取引に係る雑所得等)では必要経費が認められます。必要経費としては、FX取引セミナーの受講料、FX取引の勉強をするために購入した参考書などの書籍代、FX取引のために購入したパソコン費用などについて認められる場合があります。所轄の税務署などで確認するとよいでしょう。
FX取引は確定申告を行ったほうが良い
確定申告が不要となるケースを除き、FX取引で利益が発生した場合は原則として確定申告が必要です。また、FX取引で損失が発生した場合でも、確定申告を行うことで損失を先物取引に係る雑所得等の利益から控除できるケースがあります。加えて、雑所得(先物取引に係る雑所得等)では、必要経費が認められていることもあることから、FX取引を行う場合は利益の有無にかかわらず、確定申告を行ったほうが良いといえるでしょう。
- ※投資は自己責任でお願いします。