確定申告とは?確定申告が必要な人は?株や副業の収入が20万円以上なければ納税不要って本当?
(執筆者:auカブコム証券株式会社)
2021年3月3日
確定申告とは?
一般的に、確定申告とは租税に関する申告手続きを意味します。1月1日~12月31日までの間で発生した所得を税務署へと申告し、納税するまでの一連の流れをまとめて「確定申告」と呼びます。確定申告は、年に1度、対象となっている人は必ず行わなくてはなりません。なお、確定申告の期間は所得があった年の翌年2月16日~3月15日です。対象の日にちが土日の場合は翌営業日となります。例外として、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の状況を受けたため、4月16日までに申告期限が延長されました。
確定申告が必要な人
ほとんどの会社員や公務員は、所属先の経理担当者が年末調整を行ってくれています。給料から所得税を差し引かれたうえで、納めてもらっているため、原則自分で確定申告をする必要はありませんが、例外もあります。それでは、どんな人が確定申告が必要なのか?を確認しましょう。大きく分けて3パターンあります。
1)給与の収入金額が2,000万円を超えている場合
年間の給与収入が2,000万円以上あると、会社員でも確定申告をしなくてはなりません。
2)給料以外の所得が20万円以上ある場合
1つの会社から給料を源泉徴収でもらいながら、不動産投資や株式など所得が20万円を超えている場合も確定申告の対象です。ただ、特定口座源泉徴収ありの場合は確定申告が不要です。給与所得や退職所得も対象から外されています。そのほか、一定以上の公的年金や個人年金を受け取っている人も確定申告の対象です。
3)給与が2か所以上からあり年末調整されない給与が20万円以上の場合
複数の会社から給料をもらっている人も、確定申告をすることがあります。年末調整されなかった給与額と、そのほかの所得が年間20万円を超えれば確定申告しなければなりません。そのかわり、給与の合計から所得控除の合計を引いた結果、150万円以下になって、各種所得金額の合計も20万円以下ならば申告は不要です。なお、そのほかの所得、各種所得金額に給与所得、退職所得は含みません。退職所得でも、外国の企業から受け取った場合など、源泉徴収されなかった分は確定申告の対象です。
確定申告をしなかったら?
ペナルティが発生する
通常は、懲罰が科せられます。「無申告加算税」といって、申告しなかった分のペナルティを支払わなくてはなりません。納税額に対して50万円までは15%、50万円を超えるケースでは20%の無申告加算税が発生する決まりです。また、遅れて納税する場合にも延滞税が生じます。延滞税は納期限の翌日以降は7.3%、2ヶ月以上経過したら14.6%と負担が大きい傾向です。
重加算税とは
さらに、悪質な隠ぺいや偽装が発覚すると「重加算税」を支払うこともあります。確定申告をしていた場合の重加算税は、35%で無申告なら40%です。いずれもかなりの額となるので、確定申告は正しく行いましょう。
株や副業の収入が20万円以上でなければ納税の義務はないのか?
auカブコム証券のお客さまでもよく、「株の利益が20万円以下だから確定申告しなくていいよね?」という問い合わせがあります。株などの取引の利益や、副業の収入などの所得の合計が年間20万円以下であれば申告は不要ですが、これはあくまでも「所得税」に限ってのことです。市区町村に支払う住民税に関しては、20万円ルールのような特例措置はありません。住民税は、別に申告しなくてはなりません。
確定申告は所得税額を算出して申告するものですが、この確定申告の情報はそのまま市区町村に送られます。住民税は所得に応じて加算されるため、確定申告の情報をベースに決まります。しかし、20万円ルールにもとづいて確定申告をしなければ、自治体に必要な情報が届きません。そのため、本来は納めなくてはならない住民税を、納め忘れてしまうことが起こります。
株や投資信託の取引であれば、「特定口座の源泉徴収あり」の口座で取引をしていれば、申告漏れを防ぐことができます。
納税は国民の義務である
所得のある人にとって、納税は重要な義務です。所得税を減らすための対策はさまざまありますが、「そもそも確定申告をしない」「数字をごまかして申告する」といったことは犯罪となります。万が一、確定申告をしていなかったり、申告漏れが見つかったりすれば多額のペナルティを科せられるため、正直に申告することが大事です。