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ESG投資のメリット・デメリットとは?長期的な資産形成に適した新たな投資手法

執筆者:木崎涼(ファイナンシャルプランナー)

2021年2月26日

世界的に注目が集まるESG投資。財務面以外の情報にも目を向けるESG投資は、長期の資産形成に適しています。この記事では、ESG投資の意味やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。ESG投資を始めたい投資家はぜひ参考にしてください。

■ESG投資とは?

ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を考慮して行う投資方法のことです。

これまで、投資家は財務情報を参考に投資先を選ぶことが一般的でした。しかし、そうすると資金調達をしたい企業は、財務指標をよくするために短期的な利益を追求せざるを得なくなり、かえって長期的な成長の妨げになるという点が問題視されていました。

また、現在の財務状況が優れているからといって、必ずしもその企業が長期的に成長するとは限りません。投資家としても、投資先を選ぶ上で、財務情報以外にも幅広く目を向けようという動きが出てきました。

そこで、企業の成長に加えて、ビジネスの持続可能性を加味して投資先を選ぶESG投資が注目されるようになったのです。

ESG投資では、たとえば次のような企業の取り組みを評価し、投資先選定に活かします。

<環境>

  • 環境に配慮した製品の製造
  • 再生可能エネルギーの導入
  • 使用済み製品のリサイクル
  • CO2削減の取り組み

<社会>

  • 男女の雇用機会の均等
  • 障がい者の雇用
  • 健康経営実現のための取り組み
  • 長時間労働の抑制

<ガバナンス>

  • リスクマネジメントの強化
  • 積極的な情報開示
  • 内部統制の仕組みを確立
  • 人材育成

ESG投資は世界的にも関心度が高く、ヨーロッパやアメリカ・カナダ・オーストラリア・アジアなどさまざまな地域で市場が拡大しています。

ESG投資と似た概念にSRI(社会的責任投資、Socially Responsible Investment)がありますが、SRIでは道徳意識が重視されるのに対し、ESG投資では、投資先としての価値に焦点が当たります。「環境・社会・ガバナンスに配慮している企業は、リスクに耐性があり、長期的に成長して投資家にリターンをもたらすだろう」というのがESG投資の考え方です。

■ESG投資のメリット・デメリット

「つづいて、ESG投資のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

●ESG投資の2つのメリット

ESG投資の1つ目のメリットは、長期的な資産形成に適していることです。環境・社会・ガバナンスを無視した経営は、どこかで破たんする可能性が高いといえるでしょう。

逆に環境・社会・ガバナンスへの配慮を怠らない企業は、クレームが起きた時や法規制が大きく変わった時も、柔軟な対応ができると予想されます。このような理由で、年金を運用するGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)をはじめとした機関投資家も、ESG投資に注目しています。

ESG投資の2つ目のメリットは、投資を通じてSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献できる可能性があることです。環境・社会・ガバナンスに配慮した企業に投資すれば、間接的に世の中がいい方向に向かうのを後押しできるとも考えられるでしょう。

長期的な資産形成ができることに加え、精神的な充足感が得られるのも、ESG投資のメリットといえるでしょう。

●ESG投資のデメリット

短期的なリターンを望む場合、財務情報をもとに投資先を決める従来の投資方法の方が、効果が大きいことがあります。ESG投資は長期の資産運用に向いた手法です。多少のリスクをとっても大きなリターンを狙いたい場合、ESG投資は向いていないかもしれません。

また、ESG投資では、財務情報に加えて環境・社会・ガバナンスに配慮した取り組みを考慮して投資先を決めます。従来の投資と比べると、扱う情報が増える分、投資先の見極めが難しく感じるかもしれません。

投資先に迷う場合には、ESG投資の1つであるESG債を検討するといいでしょう。ESG債は、環境・社会・ガバナンスに配慮した債券のことで、資金使途が厳格に定められています。そのため、独自に企業の取り組みを調べなくても、ESG投資ができます。

■より一層の成長が期待されるESG投資に注目

財務情報だけで投資先を選ぶ時代から、企業の取り組みを評価して投資する時代へと切り替わりつつあります。

世界的にも注目度の高いESG投資は、今後ますます広がりを見せていくことでしょう。先んじてESG投資をすることで、将来的に大きなリターンを見込めるかもしれません。ESGの視点を取り入れ、投資先選定に活かしましょう。

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