withコロナで気をつけたい出費×貯蓄術
執筆者:冨士野喜子(ファイナンシャルプランナー)
2020年12月22日
「新しい生活様式」の導入で、マスクの着用が当たり前になり、人との接点が少なくなるなど日常ががらりと変わりました。テレワークの導入などで通勤が少なくなったり、休日の過ごし方が変わったりした方もいらっしゃると思います。そこで見直したいのが、お金の使い方や貯め方です。今一度、収支を整理してwithコロナ時代に困らないための家計づくりについて考えていきましょう。
減った支出、増えた支出
総務省が発表している「家計調査(2020年4月~6月期平均)」より、減った支出と増えた支出をチェックしてみましょう。2020年4月~6月の消費支出は前年同期と比べると、11%減っています。具体的に減っている支出は、外食費(△51.4%)、被服及び履き物(△35.6%)、交通費(△63.6%)、宿泊料(△85.3%)、交際費(△32.7%)などです。移動や人と会う機会が減ったことから交通費や被服費、交際費などが減っています。
外食費は減っている一方で、魚や肉類、野菜などの食材購入費は増えており、酒類も18.6%増加しています。全体的な支出は減っていますが、家の中で楽しむための「巣ごもり消費」関連は支出が増えているようです。例えば、テレビやパソコン、楽器などの教養娯楽用耐久財(17.4%)、冷暖房用器具(13.1%)のほかに、家電製品などの家庭用耐久財(8.5%)の支出が増えています。自宅で仕事をする環境づくりのための出費かもしれません。
また、自転車購入に関しては30.5%も増加しています。電車などの交通機関を避けて移動するためでしょう。調査から、withコロナによって、お金の使いみちが変わっていることが窺えます。今後はGoToトラベル、GoToイベントなどのコロナ危機に対する経済政策や、在宅勤務の増加、単身赴任の解消などの新しい働き方によっても支出は変化していくと考えられます。
自粛生活で気をつけておきたい支出
自宅にいる時間が長くなると、気をつけたいのがネットショッピングや通販です。外出できないストレスの解消に、ついつい買いすぎてしまうことも考えられます。本当に必要なものなのか、冷静に考えてから購入するようにしましょう。
withコロナ時代の貯蓄術
支出だけでなく、収入の変化があった方もいらっしゃるでしょう。auじぶん銀行株式会社の「コロナ禍におけるお金への意識調査」によると、「給与が減った」と答えた人は3人に1人(37.8%)という結果が出ています。また、具体的な出来事として、「派遣の契約更新ができなかった」「ボーナスが減った」といった声がありました。
何が起こるかわからない緊急時に備えて、生活費の6ヵ月~1年分の貯蓄はいつでも引きだせる銀行の預貯金口座に準備しておくとよいでしょう。いくら準備しておけばよいかわからない場合は、家計の支出を書き出してみることをおすすめします。生活の変化で、今まで必要だった定期代や習い事代などの固定費が減っていることもあります。
また、毎月、もしくは1年間で「貯蓄できる金額」を把握しておきましょう。飲み会などの交際費やランチ代、娯楽費が減っても、ほかで使ってしまっては本末転倒です。将来に備えて残せるお金はしっかり残していきましょう。
さらに、支出金額だけでなく、保険や通信費、光熱費のプランなどの契約内容もチェックしておくことをおすすめします。今のライフスタイルに合った内容になっているか、見直してみてください。契約明細書はインターネットで確認ができるものが多いのですが、IDやパスワードを忘れてしまっていることも多いのではないでしょうか。これを機に、IDやパスワードの整理をしてみるのもよいでしょう。
また、使わなくなった銀行口座やクレジットカード、ポイントカードを処分し、お財布の中をすっきりさせるのも、時間がゆっくり流れる今だからできることかもしれません。
withコロナで「不要不急」を控えるアナウンスを耳にして、「必要なもの」「必要でないもの」の線引きを意識されることもあるのではないでしょうか。お金においても「不要不急」の支出を見直し、お金を上手に使って貯めていきましょう。