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注目の「二拠点生活」が増えている理由──お金持ちでなくても、若い世代でもできる【二地域居住】

執筆者:冨士野喜子(ファイナンシャル・プランナー)

2020年1月23日

都心と地方など、生活の拠点を複数構える「二拠点生活(二地域居住)」が注目を集めています。「お金持ちがすること」「定年退職後にするんでしょう?」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。働き盛り、子育て世代の20~30代で「平日は都心部で働き、休日は地方でのんびり田舎暮らしを満喫」という理想の生活を手に入れる人たちもいます。二拠点生活の実態とはどのようなものなのでしょうか。

二拠点生活を始める理由 最も多いのは「ゆとりある暮らしがしたい」

二拠点生活をする理由、メリットは何でしょうか。

例えば「趣味を満喫したい」「なるべく親の近くにいたい」「子育て環境の充実」「将来、移住するためのお試し」「地方に貢献するための起業」「自然に癒されてのんびりしたい」「自然災害に備えて、生活拠点を増やしておきたい」──など様々あるでしょう。

国土交通省の「社会情勢の変化に応じた二地域居住推進施策に関する検討調査(2012年度)」によると、二地域居住の実施理由は「ゆとりのある暮らしがしたかった」が最も多い回答となっています。

次に多い理由は「親の介護や実家の管理をしなければならなかった」、そして「利便性の高い暮らしをしたかった」と続きます。

二拠点生活をする人は増えている

前述の調査は少し前のデータではありますが、2007年から2012年の5年間で二拠点生活者が2.0%から3.8%へ増えています。二拠点生活を後押しするサービスが増えるなど、環境が整ってきたことも後押ししていると考えられます。

自治体によっては、移住を視野に入れてもらうために二地域居住を支援する取り組みを行っているところもあります。希望者はお試し居住や体験暮らしができるため、気軽に気になる地域に足を踏み入れることができるわけです。賃貸や売買できる中古住宅や土地の情報もネットで見られます。こうしたサービスが、空き家の所有者と田舎暮らしがしたい人をマッチングさせています。

地域によっては、企業が地域の空きスペースを利用したコワーキングスペースやサテライトオフィスなどを開設しているところもあります。都心のオフィスに行かなくても、地方にあるサテライトオフィスで働けるとなれば、二拠点生活の不便さは軽減されそうです。こうしたサテライトオフィスは、特にデザイン系やIT系などの業種・職種が積極的なようです。

二拠点生活に必要な費用はどれくらい?

二拠点生活で最も気になるのはコストでしょう。家賃や家の維持費が2ヵ所でかかりますし、交通費もかかるでしょう。

前述の調査によると、二拠点生活を実施している人の必要資金は52.3%が300万円程度以下と回答しています。必要資金が100万円程度以下という回答も36.2%います。二拠点生活をしている人の3人に1人は資金100万円程度以下でスタートさせているわけです。

住宅費に限ってみてみると、50.9%の人が300万円程度以下で準備をしています。そのうち、住宅費用が100万円程度以下の割合は全体の35.7%です。二拠点生活の実施者の住まいで最も多いのは「集合住宅を借りて住む」、次いで「空き家を借りて住んでいる」となっています。

こうして見ると、都心に家を購入するような大きな資金は必要なさそうですから、20~30代の若い人たちがチャレンジするのもうなずけます。

憧れだけで決めると失敗する可能性も……慎重に考えよう

二拠点生活に対し「いいなぁ」と憧れている人もいるでしょう。しかし、旅行ではなくあくまで“生活”をする以上、実際に住んでみると「イメージと違った」「移動が思ったより大変だった」など、理想と現実にギャップが生じる可能性もあるため、慎重に考える必要はあります。

とはいえ、人口が減っている地方の多くでは、二拠点生活をしたい人を今以上に呼び込みたいはずです。人とのつながり、きずなの重要性が叫ばれる中、金銭には代えられない豊かさを求めて今後も二拠点生活をする人は増えそうです。

二拠点生活にちょっとでも関心をもったなら、すぐに始めるかどうかはさておいて、お金の使い方や今のライフスタイルを見つめ直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。