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なぜ米国は家庭の資産が増えているのか?アメリカの学生が受けている金融教育とは?

執筆者:株式会社ZUU

2019年11月21日

米国では家計の金融資産が順調に増えています。その理由の一つが、小さい頃から金銭に関する教育を受ける機会が多いことです。日本でもこうした動きがあり、「貯蓄から資産運用へ」という流れは今後加速しそうです。米国の金融教育と日本の今後の潮流を考察します。

家計金融資産、日米で伸びに差

金融庁が発表した「平成28事務年度 金融レポート」によると、日本とアメリカの「家計金融資産」を1995年と2016年で比較した場合、日本は1,182兆円から1,815兆円と1.54倍となっているのに対し、アメリカでは2,343兆円から8,821兆円と3.32倍になっており、日本を上回る形で大幅に増えています。

金融資産に占める「株式」や「投資信託」の割合でも日米で大きな差があり、日本の18.6%に対しアメリカは46.2%となっており、家計所得に占める「勤労所得」と「財産所得」の比でも2015年時点で日本が「8:1」、アメリカが「3:1」と、小さくない開きがあります。

このようにアメリカでは投資や資産運用に対する関心が高く、そのことが金融資産の増加にも結びついています。

ただかつてはアメリカも現在の日本のように、株や投資信託が金融資産に占める割合は、決して高くはありませんでした。そんな中、差が出た要因の一つは学校における金融・経済教育だと指摘する声があります。

アメリカで盛んな金融教育、日本でも

アメリカでは小さいころからマネーリテラシーや経済リテラシーを養うための授業を受ける機会が与えられています。その中心的役割を果たしているのが非営利組織(NPO)である「全米経済教育協議会」(NCEE)などの組織で、幼稚園や小中学校、高校における金融・経済教育の方向性を定めています。

児童・生徒たちは高校卒業までに、収入や支出、貯蓄と投資のそれぞれの必要性、金銭管理やクレジットなどについて段階的に学び、お金や金融・経済の知識を深めていきます。州によって教育内容などには差があるものの、経済学を教える教師の育成もプログラム化され、盛んに行われています。

日本でもこうしたアメリカにおける金融・投資教育の実践に関する書籍が出版されるなど注目度は高く、金融教育先進国の先例に学びつつ、最近では金融教育に関する授業が各学校で積極的に行われるようになってきています。

日本銀行の金融広報中央委員会が発行する「金融教育プログラム〜社会の中で生きる力を育む授業とは〜」では、社会科や総合的な学習の時間などの中で金融教育が実践されやすいよう、全国の小中学校や高校向けに指導計画例などを紹介しています。

例えば高校においては、インフレやデフレ、金融商品の仕組みなどを取りあげる授業例が紹介されているといった具合です。

日本も「貯蓄から資産形成」の流れへ

ここまで金融資産の伸び率の差と金融教育に関する日米の差について説明してきましたが、差があるのは教育だけではなく、リスクに対する考え方だという指摘もあります。

またアメリカでは、家庭や個人の相談にのる「独立系金融アドバイザー(IFA)」が多くおり、こうした点も影響しているとみられています。ただ日本でも「貯蓄から資産形成へ」という政府のスローガンの下でIFA制度が2004年からスタートしており、家庭や個人を取り巻くこうした環境には日米で今後大きな差は無くなっていくとみられています。

NISA(少額投資非課税制度)や個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の認知度も高まりつつある中、日本でも貯蓄から資産形成へという流れは今後強まっていくことが考えられ、学校や家庭で子供たちが金融や経済のことに触れる機会は恐らく増えていくでしょう。

こうした流れは日本の家計金融資産の今後の伸びにも、大きな追い風となりそうです。