「不動産投資なんてするつもりはない」という人も知っておきたい基礎知識を超カンタン解説
執筆者:三原由紀(ファイナンシャルプランナー)
2019年5月23日
不動産投資について、「難しい」「多額の資金がないとできない」というイメージから、「自分には関係ない」と思っている人も少なからずいることでしょう。しかし、不動産投資は決して難しいものではありません。不動産投資をする予定がないという人も、その仕組みについて簡単におさえておきましょう。
不動産投資で収益を得るには「売る」か「貸す」か
不動産投資の仕組みはシンプルです。収益を得る方法は、買った物件を“売る”か“貸す”かしかありません。安く買って高く売る、つまり売却した時の価格が購入した時の価格を上回れば差益がでます。これを「キャピタルゲイン」といいます。また買った物件を売らずに貸せば賃料が得られます。この収益を「インカムゲイン」といいます。
「不動産投資は難しい」と感じている人の多くは、「不動産投資=キャピタルゲインを狙うもの」と思っているのではないでしょうか。たしかに安く買って高く売るのは簡単ではないでしょう。ビルやマンションを買うとなるとそれなりに資金も必要です。
このため、個人が不動産投資をする場合は、物件を所有しながら賃料、すなわち継続した現金収入を得るインカムゲインを狙うのが一般的です。
特にここ数年、注目が高まっている「民泊」もこの流れを後押ししていると言えそうです。民泊とは、所有している家や部屋を旅行者などに貸し出すことができるサービス。ホテルや旅館の経営者でなくても、空いている部屋を宿泊者に貸して収入を得られます。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックや2025年の大阪万博に向けて、観光客誘致の動きはますます盛んになると見られ、空き部屋から利益を生む民泊には今後も引き続き注目が集まるでしょう。
不動産投資の特徴 他の投資とどう違う?
不動産投資にはどんな特徴があるのでしょうか。投資と言うと、株式や投資信託、為替などを思い浮かべる人が多いでしょうから、これらの金融商品への投資と比べてみましょう。
まず不動産は、他の金融商品よりも換金性・流動性が低いと考えられます。建物を売るのと株式や投資信託を売るのとを比べれば、不動産のほうが時間はかかるでしょう。なお、実際に物件を買うのではなく、投資家から集めた資金で不動産投資が行われ、そこで得られた収入から投資家に配当を出す金融商品もあります。これが「不動産投資信託」もしくはREITと呼ばれる商品です。REITの中には上場しているものもあり、物件そのものを買うよりは換金性・流動性は高い投資と言えそうです。
また、不動産投資では空室リスクへの注意が必要です。空室になったり家賃を払ってくれなかったり、さらには火事や地震で住めなくなったりして、収益が途絶えるリスクのことです(ただし株式や債券などへの投資でも、これらを発行している会社などが倒産してしまえば利益は生まれませんし、損失につながる可能性があります)。
一方、不動産は株式などと比べて短期的に値動きするものではないため、日々の相場をチェックする必要性は高くありません。「株式や為替に投資をすると、毎日の値動きが気になって仕方ない」という人には向いているかもしれません。
さらに、不動産投資の特徴として、ローンが組める点が挙げられます。不動産は、お金を借りて投資できる数少ない商品と言えます。
不動産投資もリスク対策が重要
不動産投資はよく「安定した収入」「私的年金代わり」「死亡保険代わり」「節税効果」になると宣伝されます。たしかに、借り手が多くつくようないい物件を買えれば、安定した賃料収入が入ってきますから、年金代わり・保険代わりにもなるでしょう。また、値上がりしそうな物件が買えれば、将来、転売することで大きな収益も期待できます。
しかし不動産投資にも「空室」「災害」「金利上昇」などのリスクがあります。不動産投資に限らず、すべての投資には必ずリスクとリターンがあります。実際に不動産投資で収益を上げている人もいますが、損をしている人もいるわけです。
投資に絶対はないと言われます。それは「絶対儲かる」ことはないことと同時に、「絶対損する」わけでもないことを意味します。不動産投資は一般に、リスクとリターンが高すぎず低すぎない“ミドルリスク・ミドルリターン”の商品とも言われます。
株式投資をしている人は、不動産に関連するビジネスについて知っておくことで、不動産企業への投資につながるかもしれません。実際に不動産投資をするかどうかはさておき、その仕組みや基本的な仕組みを知っておいて損はないはずです。