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「キャッシュレス化」が加速している理由、メリットとデメリットは?

執筆者:鈴木まゆ子(税理士)

2019年4月11日

最近、コンビニなどで「キャッシュレス決済を受け付けています」というポスターを目にすることが増えました。クレジットカードや電子マネーのほか、スマホを使ったQRコード決済などキャッシュレス決済が急速に広がっているようです。その背景やメリット・デメリットについて考えてみましょう。

日本のキャッシュレス決済比率は2割

クレジットカードやデビットカード、電子マネーなど現金を使わない支払い「キャッシュレス決済」の比率は、日本では2割前後と言われています(2016年のデータ)。

一方、お隣の韓国ではキャッシュレス決済の比率が9割以上、中国と米国では5割前後。このように、海外ではキャッシュレス決済が浸透している国・地域が多くあります。なぜ日本ではキャッシュレス決済が進まなかったのでしょうか。経産省は平成30年4月発表の「キャッシュレス・ビジョン」の中で、次のような背景があると説明しています。

盗難が少ないことや現金を落としても戻ってくることが多い「治安の良さ」、紙幣の偽造防止技術の水準が非常に高く、偽札の流通が少ないなどの「現金に対する信頼」、店頭で現金払いをする際にも手間がかからない「POSレジの速さや正確さ」、そしてATMが多く「現金の入手が容易」--です。これらの理由で、現金決済を好む人が多かったと考えられています。

しかし、国はキャッシュレスの比率を高めたいと考えています。2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博を控え、外国人客がますます増えることが予想されるからです。キャッシュレスに慣れた外国人客に「現金決済のみ」と言えば商機を失います。そのため、政府は現在「2025年までにキャッシュレス決済を4割に」という目標を掲げ、キャッシュレス化を推し進めているのです。

また、現金には貯蔵や輸送にコストがかかります。最も大きいのが人件費です。店舗での現金決済に限らず、中小企業での現金集計にはかなりの人件費がかかっていると言われ、その額は8,861億円にのぼるという調査結果もあります。今後少子高齢化が進み、経済力の低下が懸念される日本において、現金決済の負担は大きくなっていくでしょう。

キャッシュレスのメリット・デメリット

ここで確認しておきたいのは、キャッシュレスのメリット・デメリットです。国がいくら推進しても、国民の私たちがメリットを分からなければ、キャッシュレス決済をする気になれません。

メリット 現金がなくても買い物できる、ポイント還元でお得

支払いに使うのが紙幣や硬貨ではなく、スマートフォンやカードになることから、持ち歩くモノが減ります。近くにATMがなく現金が引き出せなくても買い物ができ、財布を忘れてもスマホで支払いができます。クレジットカードなら、カードの紛失・盗難の際、サービスを止めて悪用を防ぐことができます。

決済データが残るため、自分がいつ何を購入したかがすぐ分かります。家計簿をつけている人は手間が減るでしょう。また、キャッシュレス決済を広めたい企業がポイント還元などを行っているため、お得に買い物ができます。

国や企業にもメリットがあります。国は紙幣や硬貨の発行、管理のコストが減ります。電子決済を通じて決済データを把握できるため、企業はビッグデータを活用し効率的なマーケティングを行うことができます。このような国や企業が享受するメリットが、私たちの生活をより便利にしてくれる可能性もあります。

デメリット 使えない場合もある、使いすぎてしまう

デメリットは、使えない場合があることでしょう。日本国内なら日本円を受け取らない店はないでしょうが、クレジットカードや電子マネーなどに対応していないお店では使えません。

キャッシュレス決済の中でも、特に後払い方式のものは「使いすぎてしまう」心配があります。現金払いでは、「財布と相談して」買うかどうか決められますが、キャッシュレスだと「今どれくらい使っていいのか」の判断が甘くなる可能性があります。

紛失・盗難の際の悪用リスクもあります。記名式の電子マネーなら残高やポイントが補償される場合もありますが、すべての電子マネーが対応しているわけではありません。

対策をしながら少しずつキャッシュレスを取り入れよう

国がキャッシュレス比率を高めようとしているため、キャッシュレスで決済する場面は今よりもっと増えるでしょう。たしかにデメリットもありますが、使えないお店は減っていくでしょうし、使いすぎについては上限額を設定するなどの対策ができます。また紛失のリスクは現金も同じです。

こうした対策を講じながら少しずつキャッシュレスに慣れて、うまく自分の生活に取り入れ、賢く買い物ができるようになりましょう。

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