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孫に教育資金を出してあげたい祖父母のための賢いお金の渡し方

執筆者:鈴木まゆ子(税理士)

2019年2月7日

子どもが成人するまでにかかる教育費は多額です。

そのためか、「教育目的のお金は両親(子にとってはおじいちゃん、おばあちゃん)に助けてもらえないか」と思っている人も多いのではないでしょうか。祖父母のほうも「孫の教育資金ならプレゼントしてもいい」と考える人はいるでしょう。それなら、教育資金を贈与税非課税で子や孫にあげられる制度を活用してみてはいかがでしょうか。

1,500万円まで税金がかからない? 教育資金の贈与税の非課税制度

通常、まとまったお金を子や孫に渡せば贈与税がかかります。贈与税は1年(1月1日から12月31日)に贈与でもらった財産の価額を合計して計算します。110万円の贈与までは贈与税はかかりませんが、この基礎控除額を超えた部分については贈与税が課税されます。

しかし、教育資金には贈与税の非課税制度という仕組みがあります。これは、30歳未満の子や孫に教育資金を、金融機関との一定の契約に基づきまとめて贈与した場合、1,500万円までは贈与税がかからないというものです(学校等以外に支払われる教育資金については上限500万円)。この場合、信託銀行など金融機関を通じて教育資金非課税申告書を提出する必要があります。

ただ親など扶養義務者からその都度支払われる教育資金――学費や教材費、文具費など――については原則、非課税です。

なお本制度は2019年3月31日までの非課税措置です。信託銀行と信託受益権契約を結び、預け入れをしなければいけません。
※制度の適用条件については金融庁のサイトでご確認ください。

これは対象?それとも対象外?

本制度で非課税になる贈与資金は、教育目的の資金に限定されています。「教育目的」とは「学校等に対して直接支払われるもの」(非課税の上限は1,500万円)のほか、「学校等以外に対して直接支払われるもの」(同500万円)も含まれます。

例えば前者(学校等に対して直接支払われるもの)に含まれるものは、入学金、授業料、入園料、保育料、修学旅行費、給食費、指定学用品費、入学試験検定料などが含まれます。後者(学校等以外に対して直接支払われるもの)に含まれるものは、通学定期代、留学のための渡航費用、教育・スポーツ・文化芸術・その他教養の向上に関する指導料、施設の使用料、またこれらで使う物品の購入費などです。音楽レッスンのための楽器の購入費も後者に含まれます。

具体的には、次に挙げる項目は対象範囲内なのでしょうか。

●インターナショナルスクール、認定こども園、保育所

本制度の対象です。いずれも「学校等に対して直接支払われる」教育資金になります。

●海外留学

本制度の対象です。ただし、「学校等以外に対して直接支払われる」教育資金のため上限500万円に分類されます。

教育資金の贈与税の非課税制度のメリットと注意点

本制度のメリットと注意点を挙げてみましょう。

●メリット 次世代を担う人材の「教育」にお金を有効活用できる

最も効果として大きいのが、高齢世代の資金を「教育」という目的で子や孫に遺すことができる点でしょう。高齢世代の祖父母が保有する資産を孫の教育資金として生かし、その資金をもとに得た知識や知恵、学歴などは、将来の孫の収入や資産形成の基盤となるはずです。

ひと昔前のように安定的かつ継続的な昇給が望めなくなっている中で、現役世代である親が負担できる教育費には限度があります。親が支払えるお金だけで受けられる教育よりも、孫の選択肢や進路の幅、可能性は広がるのではないでしょうか。

●注意点① 30歳までに使い切らないといけない

本制度は贈与を受ける側が30歳未満であることが条件です。30歳までに使い切らないと残額は贈与税の課税対象となります。また、本制度の資金は教育目的での活用に限られます。残りそうだからと言って教育目的外に使うと、これに関しても贈与税の課税対象となります。

●注意点② 一度自腹を切ってから後日精算する必要がある

本制度は金融機関との教育資金管理契約が必要です。そして、実際の活用は「いったん親や子や孫が自分の財布から教育資金を支払ってから、後日領収書で金融機関の窓口で清算する」形になります。そのため、受贈者側の手元資金が潤沢でない場合には、かえって負担の大きい制度になるかもしれません。

本制度は多くの場合、「祖父母から孫へ」の贈与で活用されます。ただ、いったん社会に出た20代の子が30歳目前にして、進路変更して突如多額の教育資金が必要になることもあるでしょう。この場合、本制度を活用すれば贈与税が課されることなく、親が子を、祖父母が孫を応援することもできます。

本制度は2019年3月までの非課税措置です。残りわずかですので、検討される場合は早めに相談したほうがよいでしょう。もし本制度を使わない場合でも、金融機関や専門家に相談することで、贈与に関しての情報や制度を教えてもらえるかもしれません。

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