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シングルマザー、シングルファーザーが知っておきたいお金の話

執筆者:冨士野喜子(ファイナンシャルプランナー)

2019年1月31日

いわゆるシングルマザー、シングルファーザーの「ひとり親世帯」は過去約20年で約1.5倍に増えています(厚生労働省「平成29年国民生活基礎調査の概況」より)。行政はもとよりNPO法人、企業によるひとり親世帯への支援も手厚くなっています。支援の柱は4つで、子育て・生活支援、就労支援、経済的支援、子どもの学習支援です。シングルマザー・シングルファーザーが知っておきたい支援サービスについて紹介します。

ひとり親世帯の状況は

母子家庭の世帯数は123.1万世帯、父子家庭の世帯数は18.7万世帯です(厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」)。ひとり親世帯となった理由を見てみると、最も多いのが「離婚」(母子家庭:79.5%、父子家庭:75.6%)で、次いで母子家庭では「未婚の母」(8.7%)、父子家庭では「死別」(19.0%)です。

ひとり親世帯の世帯平均年収(平成27年)は、母子家庭が348万円、父子家庭が573万円となっていますが、これは養育費や遺族年金や公的年金及び自身以外の収入も合わせた合計額で、自身の就労収入だけで見ると、母子家庭200万円、父子家庭398万円です(厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」より)。児童のいる世帯の平均年収(平成27年)は647万円なので、就労収入だけで比較すると、収入が250万円~450万円程度少なくなる世帯が多いようです。

金銭面の支援制度

ひとり親世帯に限らず、中学校卒業までの子どもを扶養している人には児童手当が支給されますが、ひとり親世帯には「児童扶養手当」も支給されます。

「児童扶養手当」は、18歳に達する日以降の最初の3月31日までの子(障害がある場合は、20歳未満)を扶養している人に支給され、手当額は子どもの数や所得によって変わってきます。子どもが1人の場合で、全額支給される金額は月々4万2,500円となっています。

その他、毎月の固定費である家賃の一部を助成する「住宅費助成制度(住宅手当)」があります。市区町村独自の制度となりますので、助成金額や条件は異なります。例えば、東京都武蔵野市の場合は、条件を満たせば月々1万円(家賃が1万円未満の場合は家賃相当額)が助成されます。

また、収入を向上安定させるための支援もあります。就業に向けての制度「自立支援教育訓練給付金」では、母子家庭の母又は父子家庭の父が教育訓練を受講(資格取得などの為に学校へ通うなど)した場合に、受講料の60%(1万2,001円以上で20万円を上限)が支給されます。さらに、看護師や介護士の資格を取得する目的で教育訓練を受ける時は「高等職業訓練促進給付金」により、月額10万円(住民税非課税世帯の場合)が3年を上限に支給される制度もあります。

サービスの割引制度

生活に欠かせない、医療費や税金が割引される制度があります。医療費に関する制度には「ひとり親家庭等医療費助成制度」がありますが、助成の内容や条件は住んでいる自治体によって異なります。医療費の自己負担額が低くなり(通常は3割負担)、月々の医療費の上限額が設けられ、上限を超えた場合は差額が返ってくるという内容となっています。

例えば、東京都の場合は、医療費の自己負担割合が1割となり、通院の上限額は月に1万4,000円、入院の場合は5万7,600円となっています(住民税課税世帯の場合)。

次に見ていきたいのが「寡婦(夫)控除」です。配偶者と離婚、死別した場合に、条件を満たせば所得から一定の金額が控除されるので、所得税や住民税が安くなります。寡婦(女性)と寡夫(男性)の場合で控除される金額が異なる場合もありますが、所得が低くなることで、保育料が安くなったり、行政からの手当が多くなったりすることがあります。手続きは、年末調整や確定申告の際に行えます。未婚の母の場合は、現状では「寡婦控除」の対象とはなりませんが、制度の改正に向けての議論が進んでいます。

それ以外にも「電車やバス料金の割引」「水道料金の割引」など、自治体単位で多様な優遇制度が設けられています。

行政以外の支援サービスも

行政などの公的支援の他に、シングルマザー・シングルファーザー世帯に向けて支援をしている団体としてNPO法人があります。子どもの進学時にお祝い金を支給したり、子どもの居場所づくりとしてイベントや学習支援、夕食を提供したりする団体があります。

近年は、空き屋をリノベーションし、親子が安心して暮らせるシェアハウスとして住まいを提供する団体も増えてきました。行政では行えない、きめ細やかな支援が受けられる場所となっているのではないでしょうか。

ひとり親でなくとも子育ては大変ですし、お金もかかります。ひとり親であればなおさらでしょう。一人で頑張りすぎず、制度を知って上手にサポートを受けられるよう、いろいろと調べてみてはいかがでしょうか。

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