お金を貯められる人になるために持ちたい「コスト意識」
執筆者:三原由紀(ファイナンシャルプランナー)
2018年11月1日
お金を貯めるには、「出費を減らす」方法と「収入を増やす」方法があります。このうち、すぐに取り組めそうなのは、収入を増やす方法よりも出費を見直して減らす“節約”でしょう。しかし、やみくもに節約を始めても続けられなかったり、労力をかけた割には効果が少なかったりすることがあります。効果の出る節約を続けて、貯蓄へつなげるために大切なのは「コスト意識」を持つことです。
食費節約のためにお店巡りは効率的?
節約を考えたとき、飲食にかかる費用を切り詰める人は多いでしょう。例えば、コーヒーやミネラルウォーターを買うのをやめて「マイボトルを持参する」「会社のウォーターサーバーなどで済ませる」といった節約です。たとえ、1回150~300円ほどの節約でも、1ヵ月(20日間)で合計3,000~6,000円ほど節約できます。家でコーヒー1杯をつくって、マイボトルに入れるのは5分もあればできるので負担なく続けられるでしょう。
また、家から車で30分かけて遠いスーパーへ買い物に行ったり、自転車で何店もの店を回ったりする人もいるのではないでしょうか。特売デーで数百円節約できたらうれしいですが、一方で、「それに費やした労力に見合ったものといえるかどうか」もあわせて考える必要があります。往復の時間を費やしただけでなく、ガソリン代などの交通費がかかっているとしたら本末転倒です。
これらはあくまで一例ですが、節約においても考えたいのが「コストパフォーマンス」(以下、コスパ)という考え方です。これは、かけた費用(コスト)に対してどのくらいの効果(パフォーマンス)があるかを見極めようとするものです。コストには実際の支出だけでなく、かかる時間や労力も入れて考えます。時間は一見、コストには当てはまらないと思いがちですが、自分が費やした時間や労力もコストとしてとらえましょう。
コスパを考えた節約
コスパのいい節約を実現するには、毎月の支出のうち食費や日用品・交際費などの「変動費」だけでなく、住宅ローン返済や光熱費・生命保険料支払いなどの「固定費」を見直すことが有効です。なぜなら、固定費は毎月決まって支払う必要があるものだからです。一度支出額を減らせれば継続して節約ができるでしょう。
例えば、加入している保険の見直しや、住宅ローンの借り換え、スマホなどの通信プランの見直しなどあげればきりがありません。面倒と感じてしまうかもしれませんが、一度見直して毎月の返済額を減らすことができれば、それ以降、減らした額をそのまま貯蓄に回せます。
買い物するときにも意識したいコスパ
飲食以外の面の支出でもコスパを意識してみましょう。例えば、洗濯機を購入する際、乾燥機付きにするかどうか迷ったら、乾燥機能があることで労力や時間はどうなるのかイメージしてみるとよいでしょう。乾燥機がない場合、洗濯物を干して取り込む作業に20分かかるとします。日々忙しく時間をやりくりしている人なら、20分あれば「もう一品おかずをつくれる」「子どもの顔を見て話ができる」などと思うかもしれません。
2万円高くなったとしても、毎日の20分という自分の時間・労力のコストより安いと感じられるなら、コスパがよいといえるでしょう。商品のレビューや価格だけで決めず、「自分に必要な機能か」「自分がお金を投じる意味があるか」についてもあわせて考えましょう。
節約や買い物で得したお金は別口座で管理する
節約や買い物で得した分は、使ってしまわないよう生活費とは別の口座で管理するとよいでしょう。コスパのよい節約や買い物は、あくまでもお金を貯めるための手段。目的はお金を貯めることです。そして、貯めたお金を増やすためには、貯金だけではなく一部を投資に回してみるといいかもしれません。
投資にはリスクがありますが、貯金だけではお金は貯まっても、お金を大きく増やすのは難しい傾向にあります。お金を増やせる人になるためには、まず先に貯められる人になる必要があります。コスト意識を持ち、かけた労力にみあった効果が得られるコスパのいい節約を心掛け、しっかりと貯蓄につなげましょう。